大学入試の小論文では、「子どもの目標設定」や「主体的な学び」に関するテーマが頻出です。現代の教育現場では、結果よりも過程を重視し、自ら考えて行動できる子どもを育てることが求められています。本記事では、「子どもの目標設定の仕方」というテーマをもとに、考察の方向性・構成例・具体的な解答例を紹介します。教育における指導者の役割や、子ども自身が納得感をもって目標を設定するためのポイントを整理し、合格レベルの小論文を書くためのヒントを解説します。
【設問】あなたがもしこのB先生の立場にあったとしたら、A子さんのつぶやきを聞いた経験から、何を学び取ろうと考えますか。B先生になったつもりで、あなたの考えを800字以内にまとめなさい。
「子どもの目標設定の仕方」をテーマにした大学入試小論文の考察の方向性
(1) 問題提起

- 現代の子どもは学習・生活の中で「何のために目標を立てるのか」を理解しないまま目標設定を強いられることがある。
- 結果偏重の教育や他者比較によって、子どもが目標達成に対して過度にプレッシャーを感じたり、主体性を失ったりする可能性がある。
- ここでの論点:子どもが納得感を持って目標を設定し、学びや成長に結びつけられるようにするにはどうすればよいか。
(2) 目標設定の意義

- 自己理解の促進:自分の能力や興味を把握し、現実的かつ挑戦的な目標を立てる力を育む。
- 学習意欲の向上:目標に向かって努力する過程で達成感や満足感を得る。
- 自己効力感の形成:目標達成の経験を通して、「自分で考え行動する力」を身につける。
(3) 目標設定の課題

- 教師や親が一方的に目標を決める場合、子どもは受動的になり、学習意欲が低下する。
- 目標が抽象的すぎると達成感が得られず、逆にモチベーションが下がる。
- 過度に結果に偏った評価は、挑戦意欲の低下やストレスにつながる。
(4) 解決策・実践方法

- SMART目標の活用:具体的(Specific)、測定可能(Measurable)、達成可能(Achievable)、現実的(Realistic)、期限付き(Time-bound)
- 過程評価の導入:努力の過程や工夫を認めることで、結果以外の学びも評価
- 子ども自身による目標設定の支援:教師がガイド役となり、子どもが主体的に目標を考えられる環境を整える
- 成功体験と失敗体験の両方を学びに変える指導
(5) 総合的な考察

- 目標設定は単なる達成指標ではなく、子どもの自己成長を促す手段である。
- 教師・親の役割は「結果を押し付けること」ではなく、子どもが自ら納得して目標を立てられる支援を行うことにある。
- 過程と目的を意識した目標設定により、子どもは主体性・自己効力感を高め、将来の学びや生活に活かすことができる。
小論文構成例(段落ごと)
| 段落 | 内容 |
|---|---|
| 序論 | 子どもが目標設定をどのように行うかは、学習意欲や主体性に直結する重要なテーマであることを提示。問題提起。 |
| 本論1(意義) | 目標設定の教育的意義(自己理解、学習意欲、自己効力感)を具体例を交えて説明。 |
| 本論2(課題) | 現状の問題点(教師任せ・抽象目標・結果偏重)を整理。子どもが主体性を失う危険性を指摘。 |
| 本論3(解決策) | SMART目標、過程評価、主体的設定支援などの具体策を提示。教育現場での実践例も加えると効果的。 |
| 結論 | 目標設定は子どもの成長手段であり、教師は過程支援者として関わることが重要であるとまとめる。 |
ポイント
- 「序論→本論→結論」の王道構成で論理を明確にする。
- 具体例(鉄棒、勉強目標など)や教育現場での実践例を挿入すると説得力が増す。
- 「結果よりも過程を評価する」「子ども自身の納得感」を強調することで大学入試小論文らしい深みを出せる。
子どもの目標設定の仕方の小論文解答例
私はA子さんのつぶやきを聞き、まず重要なのは、生徒が体育の授業の意義を理解することであると感じた。 例えば鉄棒の授業であれば、握力や腕の筋力など身体的能力の向上が目的の一つである。しかし教師は、それらの力を鍛えることが将来どのような場面で役立つのかという点まで生徒に具体的に示す必要がある。 単に技の習得を目標とするのではなく、その学習の背景や目的を生徒に意識させることが、授業に主体的に取り組む意欲を高めると考える。
A子さんの「逆上がりの練習が苦痛であり、早くできるようになって練習から逃れたかった」という言葉からは、体育の授業が「できるか・できないか」という単純な達成目標に偏っている現状が浮かび上がる。確かに「逆上がりができるようになる」という明確な目標はわかりやすいが、達成後に学びが途切れてしまう危険性がある。 したがって、教師は単なる技能習得に留まらず、その経験を今後の生活や学びにどう結びつけるかという視点を提示することが求められる。
体育の授業では、個々の運動能力の差が大きく、得意・不得意の二極化が生じやすい。 そのため、体育を苦痛に感じる生徒も少なくない。しかし、体育の目的は競技の上手下手を競うことではなく、健康の増進や協調性の育成、さらには困難に向き合う姿勢の涵養にある。上手くできないときに試行錯誤を重ねたり、友人と助け合ったりする過程こそが、生涯にわたる学びの基礎を形づくる。なぜなら、こうした経験を通じて、困難に直面した際に自ら考え、解決策を導き出す力が育まれるからである。
近年、生徒は「成功しなければならない」という固定観念に囚われがちである。教師はこの価値観を和らげ、成果よりも過程を重視する評価を行うべきである。加えて、「何のためにこの授業を行うのか」という目的を常に明確に伝えることで、生徒が学びの意味を実感し、自らの成長に結びつけることができる。
以上のことから、私は体育をはじめとするすべての授業において、授業の目的と学びの意義を事前に生徒に理解させることが不可欠であると考える。その理解こそが、学習意欲を高め、将来に生きる力を育む礎となるのである。
コメント