大学入試の小論文では、単なる知識や意見だけでなく「社会に対する洞察力」と「論理的な構成力」が求められます。特に「学校教育と社会力の関係」は頻出テーマのひとつです。現代社会では、学力だけでなく協調性や主体性といった社会力が不可欠とされており、小論文においても「どのように学校教育の中で社会力を育むか」を具体的に論じることが大切です。この記事では、合格レベルの答案作成につながる書き方のポイントや解答例をわかりやすく解説します。
【2022年度】奈良教育大学教育学部学校教育教員養成課程(一般前期)の小論文解答例「学校教育」です。改題となります。
【問題】【社会科教育専修】問2.「個別の教育支援」として,現在学校教育にどのようなことが求められているか、あなたの考えを述べよ。
子どもが社会力を身につけるために小論文解答例
私は「学校での教育」において子どもが社会力を身につけるためには、フィールドワークの機会を積極的に設けることが有効であると考える。ここでいう社会力とは、他者と協力しながら問題を解決する力や、多様な価値観を理解する力を指す。その理由を二点述べたい。
第一に、フィールドワークは子どもたちが学校外の人々と直接関わる機会を提供する点で有意義である。例えば地域での聞き取り調査やアンケート調査を行う際、相手は友人や教師といった限られた関係者ではなく、世代や職業、立場の異なる多様な人々となる。そのような交流を通じて、子どもたちは自分の考えを言葉で伝える力や、相手の意見に耳を傾ける姿勢を養うことができる。これは、社会で必要とされる基本的なコミュニケーション能力の涵養につながる。
第二に、地域社会に触れることで「社会の一員である自覚」が芽生える点が挙げられる。学校という閉じられた環境では、子どもや教師といった限られた関係性しか目にすることができない。しかし地域に出れば、高齢者、障害者、働く人々など、多様な立場の人がそれぞれの役割を果たしながら生活していることに気づく。この経験は、自分が社会の中で生かされている存在であることを実感させ、他者への配慮や責任感を伴った社会力の形成を促す。
以上のように、学校教育におけるフィールドワークは、子どもに多様な人々との交流を経験させると同時に、社会の構造や支え合いの仕組みに気づかせるものである。したがって、子どもが社会で生き抜く力を育むためには、教室内での知識伝達だけでなく、地域社会との接点を重視した教育が不可欠であると私は考える。
子どもが社会力を身につけるために小論文講評(一部公開)
論文の主張は興味深く、子どもの社会力形成においてフィールドワークが有益であるという立場が明確です。指摘する点は説得力があり、特に地域社会との接触が重要であることを強調しています。学校の壁を越えて地域社会に目を向けることで、子どもたちは多様性に触れ、共感と理解を深めることができると主張されています。
【改善点】
より具体的な事例や研究データを交えることで、主張がより裏付けられるでしょう。また、逆に学校内での教育においてもどのようにフィールドワークを導入するか、それに対する教育効果や課題についても触れると論文がより充実します。
総じて、論文は興味深く、提案されたアイデアは社会力の向上に資するものですが、より具体性や裏付けるデータを追加することで、論文の説得力と深みを増すことができるでしょう。
子どもが社会力を身につけるために小論文添削(一部公開)
今回の論であれば、「地域社会と連携した教育を毎週必須化にする」など言い方を変えるだけでも印象は変わる。しかしながなら、現在、学校教育では、フィールドワークを通した学びは、昔と比べずいぶんと増えているが、その辺りの弁解はどうするだろう?
話し言葉に気を付けましょう。
×学校の中だけだと、
○学校の中だけでは、
【新たな視点】
①勉強だけでなく研究(実験)の授業を増やす。勉強は、過去思考であり、過去の事実を学ぶことが多く、極論、一人でも学習は可能。一方で、研究は、未来志向であり、まだ答えはなく、試行錯誤の中で学んでいくことができる。研究は、一人では難しく、チームで取り組むものである。そこには、役割を把握したり、コミュニケーションをとったり、社会で必要になる能力を、実践を通して、身につけることができる。
②そのほかに、無学年方式の導入、クラスをなくす、特別免許制(または、免許をなくす)にし、様々な背景もつ教師を増やすなどなど、多くの視点がありそうです。
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