大学入試小論文では、「コミュニケーション」をテーマにした問題が多く出題されています。特に全学部共通で問われるテーマであり、人間関係・社会・メディア・文化など幅広い視点から考察する力が求められます。
本記事では、大学入試小論文でよく出題される「コミュニケーション」に関するテーマについて、解答例と書き方のコツを紹介します。実際の試験で応用できる構成方法や注意点も解説するので、志望校の対策にぜひ役立ててください。
【問題】コミュニケーション能力について、あなたの考えを600字程度で書きなさい。
コミュニケーションについての小論文解答例
現代社会は多様化が進み、年齢や性別、国籍を問わず、さまざまな人と関わる機会が増加している。学校や職場といった所属集団の垣根を超えて相互理解を深めるためには、コミュニケーション能力が不可欠である。実際、意思の疎通が不十分であるがゆえに、誤解や摩擦が生じ、時には事件や事故につながることもある。このような状況を踏まえ、私はコミュニケーション能力の本質について考察したい。
一般に、コミュニケーション能力とは、単に会話を弾ませる技術ではなく、互いの気持ちに寄り添い、共感を通じて信頼関係を築く力である。その要素として「話す力」が重視される傾向にあるが、私はむしろ「聴く力」こそが基盤になると考える。なぜなら、相手の言葉に耳を傾けることで初めて、相手を理解し、適切に応答することが可能となるからである。
実際、私自身の経験からもその重要性を実感している。私は苦手とする分野に精通した人々と知り合う機会が増えたが、その際、相手の話を理解しようと真剣に耳を傾ける姿勢を自然と身につけた。相手の言葉をただ受け止めるだけでなく、相槌や表情、身振りといった非言語的表現を交えて応じることで、相手も安心して話を続けてくれるようになった。このような過程を通じて、相互の信頼関係が深まり、良好な人間関係が築かれていったのである。
このことから明らかなように、コミュニケーション能力は必ずしも外交的で話題の豊富な人だけに備わるものではない。むしろ、相手を慮り、関心をもって話を聴く姿勢を持つことで、誰もが磨くことのできる力である。現代社会は情報化や効率化が進む一方で、人と人とのつながりが希薄になりがちである。そのような時代においてこそ、相手を理解しようとする「聴く力」に根ざしたコミュニケーションが、社会の円滑な運営に不可欠であるといえる。
以上より、コミュニケーション能力とは、相手の言葉に耳を傾け、共感を通じて信頼を築く力であると結論づけられる。私たちは「話す力」に偏らず、「聴く力」を養う姿勢を持つことによって、多様化する社会の中でより豊かな人間関係を形成できるのである。
【大学受験小論文】コミュニケーションに関する書き方のポイント

大学入試小論文では、「コミュニケーション」が頻出テーマのひとつです。人間関係や社会の仕組み、情報化の進展など、幅広い観点から論じることができるため、多くの大学で出題されています。ここでは、小論文で「コミュニケーション」を扱う際の書き方のポイントを整理します。
1. 出題意図を理解する
小論文の設問で「コミュニケーション能力の重要性を論ぜよ」「現代社会におけるコミュニケーションの課題について述べよ」といった問いが出るのは、受験生の社会的理解力・論理的思考力・表現力を測るためです。
したがって、ただ「大切だ」と主張するのではなく、なぜ重要なのか、どのような課題があるのか、どう解決できるのかを筋道立てて説明する必要があります。
2. 論じ方の基本構成
小論文は以下のような三段構成でまとめると分かりやすく、評価も高くなります。
序論:テーマの背景や重要性を示す
例:「現代社会はSNSの普及により、対面以外のコミュニケーションが急増している」
本論:課題や意見を具体的に論じる
例:「利便性が高い一方で、誤解や分断を生みやすいという課題がある」
結論:自分の立場や解決策を提示する
例:「相手の立場を尊重する姿勢を持ち、直接対話とデジタルツールを使い分けることが重要である」
3. 視点を広げる
コミュニケーションを論じる際には、以下のような切り口が考えられます。
- 個人の成長:友人関係・家族・部活動での経験
- 社会的側面:職場・地域社会・国際交流
- 現代的課題:SNS・オンライン会議・AIとの関係
自分の経験や具体例を交えて論じると、説得力のある文章になります。
4. 注意すべき点
- 「コミュニケーションは大切だ」だけで終わらない
- 主張に具体例や根拠を添える
- 結論は「社会にどう役立つか」まで広げると高評価
まとめ
大学入試小論文で「コミュニケーション」をテーマにした問題では、背景の理解、課題の提示、解決策の提案という流れを意識して書くことが大切です。普段の生活や社会の出来事と関連づけて、自分の考えを論理的に展開する練習をしておきましょう。
コメント