【2019年度】金沢大学人間社会学域経済学類KUGS特別入試(学校推薦型選抜Ⅰ)の小論文解答例「ビッグデータ」です。改題となっています。
【問題】問2.傍線部のようなビッグデータによる管理は、テイラリズムと同じ失敗を繰り返さないだろうか。テイラリズムの失敗した理由を説明した上で、あなたの考えを説明せよ。(800字以内)
※テイラリズム…テイラーの科学的管理法の指導理念を指し、現代のマネジメントの原点で、経営学や経営管理論、生産管理論の基礎のひとつ。
企業で個人情報が利用されることについての小論文解答例
私は、企業のマーケティングや顧客サービスの向上のために個人情報が利用されることについて、企業と消費者両方にとってメリットをもたらしてくれると考える。
ビッグデータの進展によって、多くの顧客情報を処理・分析し、企業のマーケティングに活かす事が可能となった。このメリットとして、企業は消費者が何を求めているのかを的確に掴み、ニーズに合った製品や商品を顧客一人一人に推奨し、販売することができる。例えば、アマゾンでは「この商品を見たお客様はこれも見ています」という商品推奨を行なっている。これはビッグデータが多くの顧客の購買行動を分析し、似ている顧客の購買行動から推奨する商品を割り出し行なっている。これは消費者にとっても自分が本当に求めているもの、あるいは自分に合っているものを見つける事ができる。個人情報の活用は企業と消費者両方にとってメリットとなると考える。
しかし過去には、企業が管理していた個人情報が流出するといった事件が起きている。これは、個人情報を扱う上で1番気をつけなければいけないことだ。情報の漏洩には、サイバー攻撃以外にも企業の内部の人間が意図して漏洩するケースもある。その事例がベネッセの個人情報漏洩事件だ。これは派遣社員としてベネッセのグループ企業に勤務していたエンジニアが、情報を持ち出し名簿業者に売却したという事件だ。この事件によりベネッセは経営赤字となり重大な打撃を受けた。
個人情報の利用には大きなリスクもある。確実に安全といえる管理システムを実現することは難しいかもしれないが、強度を上げていかなければならないと考える。
これらのことから、ビッグデータによる個人情報のマーケティングへの利用は、企業と消費者にとってメリットとなり、画期的な方法だと考える。しかし、個人情報の漏洩は確実に回避しなければならないし、管理システムの向上を行なっていくべきだと考える。
企業で個人情報が利用されることの小論文の講評一部公開
論文はビッグデータ利用のメリットとリスクを包括的に論じています。良い点として、ビッグデータが企業と消費者の双方に利益をもたらす例が具体的に示され、論点が明確です。
ただし、改善点としては、異なる業界や企業の事例を加えて幅広い視野を示すことで論文をより充実させられます。また、個人情報漏洩に対する具体的な解決策や予防策を提案し、管理システムの向上に焦点を当てることで、読者により具体的な概略的説明(ガイダンス)を提供できるでしょう。より深い洞察と提案を加えることが必要です。
企業で個人情報が利用されることの小論文の添削一部公開
【用語解説】
【用語解説】
(原文)アマゾンでは「この商品を見たお客様はこれも見ています」という商品推奨を行なっている。
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