理解し合えない言葉についての小論文解答例【文学部・教育学部】です。
【要約】私たちのコミュニケーションの方法が、ゆたかにそして多様になった。そして、意思や気持ちの伝え方も異なるようになったために、おたがいの間に知らない言葉や有名でも意味を共有できない言葉が増えた。そもそも言葉は辞書上の意味に限らず、人々の記憶や行為などが重なることで生まれる沢山の意味をもつ。コミュニケーションをゆたかにするには、言葉をゆたかにする必要がある。そのためには、言葉に沢山触れながら自分の辞書をつくり、どれくらい自分をゆたかにできるかが重要である。
【問題】「おたがいのあいだに共有できないでいる言葉も少なくありません」ということについて、あなたの考えを述べなさい。字数は七〇〇字以上八〇〇字以下とします。
共有できない言葉についての小論文解答例
(前提)筆者が言う「おたがいのあいだに共有できないでいる言葉」とは、話し手と聞き手それぞれが異なる意味として捉えている言葉である。また、言葉の意味はその人の心情や記憶によって左右されるため、こうした言葉を使って会話をすると衝突が生じることがある。
→文字数も少なく、問題の題意が明確であることから、主張から始めるべきです。
(主張・理由)なぜこのようなトラブルが発生してしまうのだろうか。それは、私たちが言葉には自分が感じている1つの意味しかないと無意識に思い込んでいるからである。そのために、自分の感覚を基準にして言葉を選んだり、相手が発した言葉を解釈してしまうのである。
(具体例)「頑張ってね。」という言葉を例にとってみる。私は大勢の観客の前でプレゼンテーションをしたことがあった。その発表の直前に、友人から笑顔で「頑張ってね。」と言われた時は、友人が自分を応援してくれていると感じとても嬉しかった。しかし学校で勉強がはかどらず悩んでいた時に、同じ友人から「頑張ってね。」と言われた時は、嬉しいどころかむしろプレッシャーに感じてしまい、何も返答をしなかったため、友人は不愉快そうな表情をしていた。
→主張・理由(1つの意味しかないと無意識に思い込んでいるから)に対しての具体例が飛躍しています。
(解決策)このように、相手と言葉を共有できない状況を回避するためには、自分の中に豊富な言葉を蓄積しておくべきである。たしかにメールなどを使えば絵文字やスタンプを押すだけで自分の感情を表現でき、コミュニケーションを図れるので、言葉の蓄積は必要ないと言う人もいるかもしれない。しかし私は、相手の状況に応じて言葉を選び表現し合うことこそが、真のコミュニケーションであると考える。多様なコミュニケーション手段がある現代であっても、言葉で正しく自分の意見を伝え、正しく相手の言葉を理解する力が求められているのである。
(まとめ)以上のことから、私たちは自分の感情や意見を表現するために、積極的に言葉を使い、伝わり方や解釈の仕方について日々学んでいくべきである。それにより、自分の言葉の引き出しが増えて相手と言葉を共有できるようになると考える。
共有できない言葉についての小論文の添削一部公開
【添削➋】
(原文×)しかし学校で勉強がはかどらず悩んでいた時に、同じ友人から「頑張ってね。」と言われた時は、嬉しいどころかむしろプレッシャーに感じてしまい
(修正〇)一方で、学校で勉強がはかどらず悩んでいた際に、同じ友人から「頑張ってね。」と言われた時は、嬉しいどころかむしろプレッシャーに感じてしまい
↓
しかし…(逆接)前の事がらから予想される結果とは逆の結果になることを示す。
一方で…(対比)前の事がらと後の事がらを比べる。
→今回は、どちらでもいいのですが、「一方で」についての意味も知ってほしかったのでピックアップしました。
↓
「時に」は、「まれに何かの事情でそういう自体もありうる様子」「その事があったその時」という意味で使用します。
「際に」よりも「時に」の方が、意味が広いです。「際に」は「時に」に言い換え可能ですが、「時に」は常に「際に」に言い換えられるわけではないので注意が必要です。
⇒今回は、「時」「時」が続くことや、意味的にも、最初の「時」は、「際」にしました。
コメント