日本人の思いやりについての大学入試小論文解答例です。
【ある人の例】日本人の思いやりについての解答例
日本ならではの日本文化や四季は、昔から継承されてきたものばかりであり、誰もが美しいと感じるはずだ。例えば、花見だ。桜を見に行く人は皆、満開で美しい桜を見るために行くはずである。では、人の行いの美しさとは何があるだろうか。それは「思いやり」だと考えた。
相手を思って行動することは素晴らしいことであり、その姿は美しいものである。そこで二つの経験を思い出した。一つ目が、担任の先生が修学旅行先の空港で、落ちていたゴミを拾ってポケットに閉まっていたことだ。誰かが掃除をしてくれるだろうと思い、私は拾うことに躊躇するだろう。しかし、あたかも自分のゴミのようにそっと拾い上げる人は中々いないと思う。
二つ目は、バスである女性が妊娠中の女性に席を譲っていたことだ。お腹は目立つほど大きくなっていなかったが、妊婦さんのかばんに妊娠中のことを示すキーホルダーが付いていたのだ。周りの目を気にしてしまう人が多いと言われる世の中で、相手を思って行動する姿はヒーローのようであり、美しかった。
これらの二つに共通することは、誰かのために行動していることだ。コロナ禍で行動に制限され、生きづらい世の中で人々はより思いやりの気持ちを持つことを意識すべきだ。それは、互いに支え合うことにも繋がる。そんな姿にも、美しさが存在するのではないだろうか。
【添削・アドバイス】日本人の思いやりについて
1.冒頭の導入部分の明確化
「日本文化や四季」というテーマから「人の行いの美しさ」への移行が少し唐突に感じられます。冒頭を簡潔にしつつ、後半につながるよう工夫すると、スムーズな展開になります。
例:日本の文化や四季は、その美しさが多くの人に愛されてきた。しかし、美しさとは風景や伝統だけでなく、人の行動にも宿るものだと私は考える。その象徴が「思いやり」だ。
2.具体例の説明を簡潔に
ゴミ拾いのエピソードと妊婦さんへの席譲りのエピソードは適切ですが、やや説明が長く、主張が埋もれてしまう印象があります。ポイントを簡潔に述べ、エピソードの意図を明確にしましょう。
例:修学旅行先の空港で、担任の先生が落ちていたゴミをそっと拾い上げる姿を見た。自分なら「誰かが掃除してくれるだろう」と見過ごしていたかもしれない。先生の行動は、無言で人々を気遣う思いやりに満ちていた。
3.結論の強調
最後の部分は考えをまとめる箇所です。「人々はより思いやりを持つことを意識すべきだ」という主張は良いですが、やや一般的に聞こえるため、文章全体を締めくくるような強い印象を残す工夫ができます。
例:コロナ禍で生きづらさが増す今だからこそ、人々は「思いやり」という美しさを大切にすべきだ。その姿勢が、互いを支え合う社会の礎となり、より美しい未来を築くのではないだろうか。
4.全体の構成を整える
主張→具体例→まとめ、という構成は良いのですが、各段落がやや長く感じられるため、適宜段落を分けることで読みやすさを高めることをおすすめします。
【全体修正案】日本人の思いやりについて
日本の文化や四季は、その美しさが多くの人に愛されてきた。しかし、美しさとは風景や伝統だけでなく、人の行動にも宿るものだと私は考える。その象徴が「思いやり」である。相手を思って行動する姿には、他にはない美しさがある。その美しさを感じた出来事が二つある。
一つ目は、修学旅行先の空港でのことだ。担任の先生が、落ちていたゴミをそっと拾いポケットにしまっていた。誰もが見過ごしがちな場面で、自分のゴミのように扱うその姿に、私は深い感銘を受けた。
二つ目は、バスの中での光景だ。ある女性が妊婦さんに席を譲る場面を目撃した。妊婦さんの体型は目立たなかったが、キーホルダーに気づいた女性がすぐに席を譲ったのだ。周囲の目を気にして行動できない人が多い世の中で、その女性の行動はヒーローのように感じられた。
これら二つに共通しているのは、「誰かのために行動する」という思いやりの心だ。コロナ禍で制約が多い時代だからこそ、私たちはこの心を大切にしなければならない。それは、人々が互いに支え合い、美しい未来を築く力になると信じている。
コメント