エシカル消費についての大学入試小論文解答例です。
【ある人の例】エシカル消費についての小論文解答例
私は、エシカル消費を根付かせるためには 次の三点のことが重要だと考える。
一つ目は、フェアトレードについての学習の強化だ。日本国内の消費者の大部分は、作物や原材料を生産する人々の労働の実情を知らない。そのため、今後の消費活動を担う若い世代に教育を行うべきである。例として、フェアトレードを実際に行なっている国や地域への訪問や、該当地域での労働体験などだ。日本は世界でも有数の輸入大国であるので、海外生産者の労働の質や賃金の向上が期待できるだろう。
二つ目は、企業へのサスティナビリティ商品の展開の推奨だ。国内での商品の割合が増えれば、必然的に購入量も増加すると考えられるからだ。これを実行するためには、政府が作物や原料の購入先のリストアップや補助金の用意をすることが求められる。
三つ目は、国際的な社会課題を消費者に深刻に捉えさせることだ。本文によれば、日本国内で実際にエシカル消費を行って いる人は全体の1割程度であり,ほとんどの 消費者は問題についてそこまで考えていないのではないかと考えられる。そのため、政府は積極的に人権や環境問題などに関するキャンペーンを行い、消費者の利他的な意識の発芽を促すべきである。
以上の3点を行うことで、エシカルな消費 活動が根付くだろう。ただ、商品選択を行う のは消費者自身であるから、自主的に選択をすることも大切である。
【添削・アドバイス】エシカル消費についての小論文
1.序論の明確化
最初の一文はわかりやすいですが、エシカル消費の重要性や背景を少し補足するといいです。
修正例:私は、エシカル消費を根付かせるためには次の三点が重要だと考える。エシカル消費とは、人権や環境問題に配慮した消費行動を指し、持続可能な社会の実現には欠かせない要素である。しかし、日本におけるエシカル消費の普及率は未だ低く、特に消費者意識の向上が課題となっている。
2.具体例の強化
各提案に具体例が含まれていますが、もう少し現実性や裏付けを加えるといいです。
一つ目のフェアトレードの学習
「フェアトレードを実際に行なっている国や地域への訪問」という具体例は良いですが、現実的に多くの学生にとって実施が難しい場合もあります。オンラインの教材やVR体験など、身近な方法も提案に加えると良いでしょう。
三つ目のキャンペーン
「政府は積極的にキャンペーンを行うべき」という提案について、実際に過去の成功事例(例えば、プラスチック削減キャンペーンや食品ロス削減活動など)を挙げると説得力が増します。
3.言葉の正確性・自然さ
いくつかの表現をより正確または自然な形に修正すると、読みやすさが向上します。
「フェアトレードについての学習の強化だ」
→「フェアトレードについての教育の充実だ」
「教育」という言葉の方が広範囲を含む印象を与えます。
「消費者に深刻に捉えさせることだ」
→「消費者に真剣に意識させることだ」
「深刻に捉えさせる」という表現は少し硬いため、「真剣に意識させる」の方が読み手に伝わりやすいです。
4.結論の深化
最後の結論部分を少し膨らませて、全体をまとめつつ読者に行動を促す形にすると良いでしょう。例えば:
修正例:以上の三点を実行することで、エシカル消費は日本社会に浸透していくだろう。ただし、最終的に商品を選択するのは消費者自身であり、一人ひとりの意識改革が不可欠である。私たちは、より良い未来を築くために、日々の選択を見直し、小さな行動から変化を起こす必要があるのではないだろうか。
【全体修正案】エシカル消費についての小論文
私は、エシカル消費を根付かせるためには次の三点が重要だと考える。エシカル消費とは、人権や環境問題に配慮した消費行動を指し、持続可能な社会の実現には欠かせない要素である。しかし、日本におけるエシカル消費の普及率は未だ低く、特に消費者意識の向上が課題となっている。
一つ目は、フェアトレードについての教育の充実だ。日本国内の消費者の大部分は、作物や原材料を生産する人々の労働の実情を知らない。そのため、今後の消費活動を担う若い世代に対し、学校教育でフェアトレードを学ぶ機会を設けるべきである。例えば、該当地域での労働体験や、オンライン教材やVRを用いた仮想体験の導入などが挙げられる。日本は世界でも有数の輸入大国であり、消費者が生産者の労働環境に関心を持つことは、結果として彼らの労働条件や賃金の向上につながるだろう。
二つ目は、企業へのサステナブル商品の展開推進だ。国内でのエシカル商品が増えれば、必然的に購入量も増加すると考えられる。これを実現するには、政府が商品の認証基準を整備し、エシカル商品の仕入れ先リストを提供することが求められる。また、企業が持続可能な商品を展開する際には、税制優遇や補助金の支給などを通じて後押しすべきである。
三つ目は、国際的な社会課題への消費者意識の喚起だ。本文によれば、日本国内で実際にエシカル消費を行っている人は全体の1割程度であり、多くの消費者が問題について深く考えていないと推測される。そのため、政府や地方自治体は、人権や環境問題に関するキャンペーンを積極的に展開し、消費者の利他的な意識の発芽を促す必要がある。過去には食品ロス削減キャンペーンが注目を集めたように、創意工夫次第で大きな効果が期待できるだろう。
以上の三点を実行することで、エシカル消費は日本社会に浸透していくだろう。ただし、最終的に商品を選択するのは消費者自身であり、一人ひとりの意識改革が不可欠である。私たちは、より良い未来を築くために、日々の選択を見直し、小さな行動から変化を起こす必要があるのではないだろうか。
【一般論】エシカル消費を根付かせる施策
■フェアトレード教育の強化
消費者に作物や原材料の生産者の実情を理解させるために、フェアトレードに関する教育を強化する。
■企業のサスティナビリティ商品の推奨
企業に対して、サスティナビリティ商品の開発・提供を奨励し、これを市場に増やすことを促進する。
■政府の関与と支援
政府は、購入先のリストアップや補助金の提供など、エシカルな商品の導入を支援する政策を検討する。
■消費者への社会課題の啓発
国際的な社会課題に関するキャンペーンを展開し、消費者に対して人権や環境問題などの重要性を啓発する。
■若い世代への教育
未来の消費者である若い世代に対して、エシカルな消費に関する教育を積極的に行い、意識を育む。
■自主的な商品選択の奨励
消費者には自主的にエシカルな商品を選択する意識を醸成し、持続可能な消費行動を奨励する
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