【2021年度】徳島大学生物資源産業学部の小論文解答例「バイオプラスチック」

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【2021年度】徳島大学生物資源産業学部(学校推薦型・Ⅰ型)の小論文解答例「バイオプラスチック」です。改題となります。

【問題】グラフA、Bより、バイオマスプラスチックとプラスチックの生産量を比較して読み取れることを述べなさい。その後、プラスチックが社会に及ぼす影響を踏まえ、社会が担うべき課題を示し、それに対してあなたが考える解決策を述べなさい。全体で500-600字以内とすること。なお、バイオマス(生物資源)を原料に製造されたものをバイオマスプラスチック、バイオマス以外(石油等)から生産されたものをプラスチックと呼称している。

【改題】バイオプラスチックとは、微生物によって分解される生分解性プラスチックと、サトウキビやトウモロコシなどの植物バイオマス由来の原料から作られたバイオマスプラスチックの総称です。このようにバイオプラスチックを製造し、使用することの利点と問題点を800字程度で論じなさい。
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【ある人の例】バイオプラスチックの活用の小論文解答例

バイオプラスチックを製造し、使用することの利点として循環が可能だという点が挙げられる。

生分解性プラスチックは微生物により分解される際、水と二酸化炭素を発生させる。これらは植物を育成するために必要な要素だ。そのため、分解されてできた水と二酸化炭素を用いて植物が成長する。その植物を生分解性プラスチックに使用する。使用後は植物育成の原料となる。このように再生のサイクルを成立させることが可能になる。従来のように石油を原料としていない植物由来のため、温室効果ガスを排出しない。したがって、地球温暖化対策にもなる。

この循環は、カーボンニュートラルにも繋がる。バイオプラスチックを製造、焼却する際、二酸化炭素が発生する。しかし、原料となる植物を育成する段階で、光合成により二酸化炭素を吸収する。そのため、育成から廃棄までの二酸化炭素排出量は実質ゼロになる。

一方、問題点としては分解するための条件と時間が必要ということだ。プラスチック製品のため、ある程度の強度を必要とする。そのため、高温でないと分解しない。また時間を要するため、使用されなくなったプラスチック製品が長時間に渡って残留することになる。これらの問題は海洋にも当てはまる。

近年、海洋ごみのプラスチックが問題となっている。海洋では分解の条件を満たせないため、分解が起こらない。そして、分解には長い時間を要するため分解途中などで破片となったプラスチックが海の生物を攻撃する。その結果、死に追いやってしまうケースがある。

このように、現在起こっている環境問題を解決することなく、さらに悪化させてしまう原因になると予想される。プラスチックの強度を保ちながらどのようにして分解しやすい製品にするかがこれからの課題となってくるだろう。

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【添削・アドバイス】バイオプラスチックの活用の小論文

1.全体構成の見直し
文章は論理的にまとまっていますが、一部段落のつながりがやや弱く感じられます。例えば、利点の説明から問題点に移行する部分で、もう少しスムーズに話題を転換すると読みやすくなるでしょう。

改善例:バイオプラスチックには循環可能な利点がある一方で、分解に関する課題も存在する。以下、その利点と課題を考察する。

2.利点の具体例を強化
利点の説明は十分詳細ですが、より読者に理解しやすくするために具体例やデータを補足すると説得力が増します。

改善例:例えば、生分解性プラスチックの中にはPLA(ポリ乳酸)という種類があり、トウモロコシなどから作られる。このPLAは一定の条件下で分解され、植物育成の循環に利用されることが可能だ。

3.問題点の詳細を補完
問題点について「高温でないと分解しない」とありますが、「高温」とは具体的にどれくらいか、また「時間を要する」とは具体的にどの程度なのかが不明確です。具体的な数値や状況を加えると、議論が深まります。

改善例:例えば、生分解性プラスチックの分解には約50℃以上の温度が必要とされる。一般的な自然環境ではこの温度条件を満たすことは難しい。そのため、使用済みプラスチックを専用施設で処理する手間が増える。

4. 結論部分の補強
結論で「これからの課題となるだろう」と述べていますが、より強い印象を与えるために、具体的な提案や希望を述べると効果的です。

改善例:今後は、より低温でも分解可能な素材開発や、効率的に分解を促進する仕組みの導入が求められる。また、海洋での分解を想定した製品設計を進めることが、地球規模の環境問題の解決に繋がるだろう。

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【全体修正案】バイオプラスチックの活用の小論文

バイオプラスチックには循環可能という大きな利点がある一方で、分解に関する課題も存在する。以下、バイオプラスチックの利点と課題について具体的に考察する。

まず、バイオプラスチックの利点として、持続可能な循環サイクルを構築できる点が挙げられる。生分解性プラスチックは微生物によって分解される際、水と二酸化炭素を生成する。これらは植物を育成するために必要な要素であるため、分解された水と二酸化炭素を利用して植物が成長する。この植物を原料として再びバイオプラスチックが製造されることで、持続可能な再生のサイクルが成立する。例えば、ポリ乳酸(PLA)というバイオプラスチックはトウモロコシを原料に作られるものであり、分解後は再び植物育成の材料として循環することが可能である。また、石油由来のプラスチックと異なり、植物由来のため温室効果ガスの排出を抑えられ、地球温暖化対策にも寄与する。

さらに、この循環はカーボンニュートラルの実現にもつながる。バイオプラスチックを製造および焼却する過程で二酸化炭素が排出されるが、その原料となる植物は光合成によって二酸化炭素を吸収する。このため、育成から廃棄までの二酸化炭素排出量は実質ゼロとなる。このように、バイオプラスチックは地球環境に優しい素材として注目されている。

一方、課題も存在する。バイオプラスチックはプラスチック製品としての強度を保つ必要があるため、分解には高温や特定の条件が必要である。例えば、PLAは50℃以上の高温環境でなければ分解が進まず、自然界でこの条件が整うことは少ない。また、分解には数ヶ月から数年の時間を要するため、使用されなくなったプラスチック製品が長期間にわたり残留することになる。この問題は特に海洋環境で深刻である。海洋では分解に必要な高温条件が整わないため、分解が進まず、プラスチック製品が細かい破片となって海洋生物に悪影響を及ぼすことがある。実際に、プラスチック片を誤食した生物が死亡するケースも報告されている。

これらの課題を解決しなければ、バイオプラスチックはかえって環境問題を悪化させる原因になる可能性がある。そのため、今後はより低温でも分解可能な素材の開発や、分解を促進する新しい処理技術の導入が求められる。また、海洋環境での分解を想定した製品設計や、使用済みプラスチックを効率的に回収・処理する仕組みを整備する必要があるだろう。これらの取り組みを進めることで、バイオプラスチックの真の利点を最大限に活かし、持続可能な社会を実現することが期待される。

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【豆知識】バイオプラスチックの活用

バイオマスプラスチック活用サイクル図
バイオプラスチックとバイオマスプラスチックの違い図解
(バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックの違い)
・バイオマスプラスチックは「生物由来の資源を原料にした」プラスチック
・生分解性プラスチックは「使用後に分解されて自然に還る」プラスチック

それぞれの名称について、「バイオマス」とは「原料」のことを指し、生分解性プラスチックの「生分解性」とは「機能」のことを意味しています。

そのため「バイオマスプラスチック」かつ「生分解性プラスチック」で、生物由来で分解することもあれば、「バイオマスプラスチック」だけど「生分解性プラスチック」ではない、またはその逆もありえます。

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