【2019年度】新潟大学人文学部(学校型推薦)小論文解答例「言語の用い方」です。改題となります。
【問題】私たちはことば(言語)をコミュニケーション(考えや情報を伝えること)にだけ用いているわけではない。こうした「コミュニケーション以外のことば(言語)の用い方」について論じよ。
ノンバーバルコミュニケーションに関する小論文解答例
筆者は、私たちが話し相手との会話がとぎれたとき、必死にことばを紡ぎ出そうとすることを、ことばの不在をおそれていると表現している。ではどうすれば私たちはことばの不在をおそれずに済むのだろうか。
そのためには、私は会話中の沈黙をすぐに悪いことだと決めつけず、しぐさや表情などを相手から読み取り、非言語コミュニケーションを図ることが必要だと考える。そうすることによって、相手との友好な関係を維持できると考える。
例えば、私が友人と遊園地に行き、順番を長時間待っていたとする。そのときにはじめは饒舌だった友人が急に話さなくなったからといって、私といることがつまらないのだと決めつけてはいけないと思う。そこで、友人の表情が辛そうだったり、足をさすっていたりという非言語の部分から、待つことに疲れているのだと読み取り、私も静かに待つことで円満な関係を築けるのである。
確かに、ことばの不在はきまずいので嫌だという人もいるだろう。しかし、筆者が、精神科医が患者に無言でお茶を入れたときの患者の深い充足感を例として挙げたように、私は非言語コミュニケーションを重要視して日常生活の中で多用するべきであると考える。心理学者のマレービアンによれば、好意の伝達においては、非言語コミュニケーションが9割以上を担うという。つまり、ただ「あなたが好きです」ということばを言えばいいのではなく、勇気を振り絞っている表情や、恥ずかしくても相手に近づくという非言語の部分が、相手の心を打つのだと思う。よって対人関係において、非言語コミュニケーションは大変重要なのである。
以上のことから、私は対人関係において、ことばに頼りきらずに相手のしぐさや表情を積極的に読み取り、非言語コミュニケーションを図るべきであると思う。そうすることで、隠れている相手の真意を読み取ることができ、沈黙をおそれずに良好な関係を維持することができると考える。
ノンバーバルコミュニケーションに関する小論文の講評(一部公開)
【採点官1】素晴らしい論文です。非言語コミュニケーションの力を強調し、具体例を交えて理解しやすく説明されています。特に友人との遊園地のエピソードや、精神科医の事例がリアリティを与え、論点を裏付けています。心理学者のマレービアンの引用も論文に厚みを与えています。また、著者の個人的な信念や経験が論文に感情を加え、読者との共感を生んでいます。簡潔で明快な表現が読みやすさを高め、論文全体が一貫しています。素晴らしい洞察と論理展開に感銘を受けました。
【採点官2】この論文は非常に洞察に富み、具体例を交えて非言語コミュニケーションの重要性を説得力をもって提示しています。筆者は沈黙を悪と決めつけず、相手の非言語を読み取ることで円満な関係を築く提案が素晴らしいです。友人との遊園地のエピソードや精神科医の事例がリアリティを与え、読者に深い共感を呼び起こします。心理学者のマレービアンの引用も論文を裏付け、信頼性を高めています。全体的に簡潔で明確な表現が用いられ、論理展開が一貫しています。。素晴らしい洞察と論理的な説得力に感銘を受けました。
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