大学入試小論文解答例|承認欲求の本質と現代社会における問題点・克服法を考察する

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近年、SNSの普及により「承認欲求」という言葉が身近なものとなった。他者からの「いいね」や評価を求める行動は、私たちの自己肯定感や人間関係のあり方に大きな影響を与えている。
しかし、承認欲求は決して悪いものではなく、人間が社会的存在である以上、誰もが持つ自然な感情でもある。本稿では、承認欲求の本質やその功罪を考察し、現代社会における課題と、健全に向き合うための方法について論じていく。

【問題文の要約】日本では携帯電話が登場した当初、人々はそれらに縛られ監視されると警戒した。昨今メールは必要な用件を伝えるだけでなく相互承認のツールとする使い方が増えた。社会はグローバリズムにより価値観が多様化した。しかし、自己肯定できず不安から、同じ価値観同士で「いいね」を共有し繋がる。それは人間関係を広げずに逆に分断化を招いている若者対策として、この問題に対し親たちの異質な他者との関係を開く姿勢が大切である。

【問題】この文章を読んで、あなたの考えを600字以内で述べよ。

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承認欲求の本質の構成ポイントと考察

序論:承認欲求の定義と現代的背景

序論:承認欲求の定義と現代的背景
承認欲求とは「他者から価値を認められたい」という人間の根源的な欲求であり、心理学ではマズローの欲求段階説の「所属と愛の欲求」「承認の欲求」に位置づけられる。近年はSNS(Instagram、Xなど)の普及により、他者からの反応が可視化され、承認欲求が日常的に刺激される社会になった。序論ではまず承認欲求を肯定的に示しつつ、「過剰になると問題が生じる」という問題提起を行うとよい。

  • 定義:他者から認められたいという社会的欲求
  • 背景キーワード:SNS、マズロー、他者評価、自己肯定感
  • 書き方のコツ:肯定→問題提起の順で論を始める

本論:現代社会における問題点と原因分析

本論:現代社会における問題点と原因分析

主な問題点(着眼点)
  1. 他者評価への過度な依存
    SNSの「いいね」やフォロワー数で自己価値を判断しやすくなり、自己肯定感の不安定化や精神的ストレスを招く。
  2. 比較意識の強化
    他人と自分を常に比較することで劣等感が増幅し、幸福感が低下する。SNS上の理想像が比較対象として機能する点を指摘する。
  3. 匿名性・過激化による社会的悪影響
    注目を得るために過激な表現や行動が増え、誹謗中傷や社会的分断を生むリスクがある。
背景にある要因(分析ポイント)
  • 評価経済化:数字(いいね・フォロワー)で価値が可視化される仕組み。
  • 競争的環境:教育・職場における成果主義が他者評価を強める。
  • コミュニティの希薄化:リアルな承認機会の減少と代替としてのデジタル承認。
受験生へのアドバイス:本論では具体例(SNSの具体的な影響、ニュースでの誹謗中傷事例、身近な集団での比較体験など)を用いると説得力が増します。事例は簡潔にまとめ、原因→結果→問題点の順で論理的に展開しましょう。

結論:承認欲求との健全な向き合い方・克服法

結論:承認欲求との健全な向き合い方・克服法

克服・改善の方向性(具体策)
  • 内的承認への転換
    外部からの評価に頼らず、自分自身で達成の過程や努力を認める習慣を育てる。
  • リアルな人間関係の重視
    直接会う・語り合う関係を大切にすることで、安定した承認感を得る。
  • メディアリテラシー教育の推進
    若年層がSNSの影響を理解し、適切な距離感を保てるような教育が必要。

まとめとして、承認欲求自体は否定すべきではない。重要なのは他者評価に振り回されない「自己承認力」を育むことであり、それが長期的な精神の安定と社会的な成熟につながる、という結論で締めくくるとよい。

まとめ:小論文作成のチェックリスト

まとめ:小論文作成のチェックリスト

段階 内容の要点 キーワード例
序論 承認欲求の定義とSNS等の背景、問題提起 SNS・マズロー・自己肯定感
本論 問題点(依存・比較・過激化)とその原因分析 評価経済・比較意識・コミュニティ希薄化
結論 内的承認・リアル関係・教育の必要性を示す 自己承認・メディアリテラシー・心の成熟
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【全体修正案】承認欲求の小論文解答例

近年、携帯電話や通信技術の発展により、電子メールやSNSを通じて、いつでもどこでも簡単に情報をやり取りできるようになった。一見、これらのツールは人と人をつなげる役割を果たしているように思える。しかし、実際にはこれらのツールが原因で、人間関係が狭まり分断される傾向があることも事実である。

携帯電話やSNSは、便利で効率的なコミュニケーションを可能にした。メールやメッセージアプリを通じて、自分の都合のよいタイミングで用件を伝えられる点は現代社会において大きなメリットだ。また、安価であり、グローバル化が進む中で最も手軽な通信手段として多くの人に利用されている。

一方で、特に若者の間では、これらのツールが自己承認欲求を満たすための手段として利用されるケースが多い。例えば、SNSに投稿をし「いいね」を求める行動や、メッセージアプリでの「既読無視」を恐れる心理が挙げられる。これらの行動は、自分と同じ価値観を持つ相手とのみ繋がりを求める傾向を強め、結果として異なる価値観を持つ他者との関係を避ける要因となっている。

このような状況を変え、人間関係を広げていくためには、多様な価値観を認める姿勢が不可欠だ。そのためには、趣味のサークルや地域活動といった対面での交流の場を増やすことが有効である。また、オンライン上でのやり取りに依存せず、直接対話を行う機会を意識的に設けることが重要だ。

携帯電話やSNSがもたらす利便性を活用しつつ、人間関係を広げるための工夫を心掛けることで、より豊かなコミュニケーションが実現できるだろう。

【関連用語】承認欲求について知っておきたい関連用語

➊フィルターバブルによる弊害
フィルターバブルとは、「インターネット上で泡(バブル)のなかに包まれたように、自分の見たい情報しか見えなくなること」という意味。

➋エコーチェンバー現象
SNSにおいて、価値観の似た者同士で交流し、共感し合うことにより、特定の意見や思想が増幅されて影響力をもつ現象。攻撃的な意見や誤情報などが広まる一因ともみられている。

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