承認欲求についての大学入試小論文の解答例

承認欲求小論文サムネイル 小論文
スポンサーリンク

承認欲求についての大学入試小論文解答例【文学部・教育学部】人文科学系です。

【問題文の要約】
日本では携帯電話が登場した当初、人々はそれらに縛られ監視されると警戒した。昨今メールは必要な用件を伝えるだけでなく相互承認のツールとする使い方が増えた。社会はグローバリズムにより価値観が多様化した。しかし、自己肯定できず不安から、同じ価値観同士で「いいね」を共有し繋がる。それは人間関係を広げずに逆に分断化を招いている若者対策として、この問題に対し親たちの異質な他者との関係を開く姿勢が大切である。

【問題】
この文章を読んで、あなたの考えを600字以内で述べよ。

スポンサーリンク

【ある人の例】承認欲求の小論文解答例

携帯電話の普及により人間関係の分断化を招いているという意見に同意する。近年、通信システムや携帯電話の普及に拠り、電子メールを使う機会や人は数段に増えた。なぜ、この便利なシステムが人間関係の広がりを阻むのか。それは筆者のいう「使う側の心性に問題がある」からではないだろうか。

コンピューターネットワークを利用した電子メールは、多くの文字や文章にファイルを添付し迅速に自分の必要な時に用件を伝えることを可能にした。受信すると相手は時間、場所に関わらず、自身の都合のいい時間に開くことができる。加えて、安価である。社会がグローバル化した今、最も便利な通信ツールである。

一方で、携帯電話が普及した昨今、若者の間に自己の行動、思いに自信が持てずに不安を抱える者が増加している。承認欲求のためにメールを発信し、自分と同じ価値観の相手からの共感を通じて安心する。これは人の持つ自己承認の要求にほかならない。「いいね」を待ち「既読無視」を恐れつつも価値観を共有できる人だけとの繋がりを確認する。

彼らの不安が、人間関係を隔て分断化させている要因である。人間関係を広げていくためには、人はそれぞれ役割があり多様な価値観を持っていることを認め、異質な他者に対し関係を開き構築することを心掛け、実行することが大切である。

スポンサーリンク

【添削・アドバイス】承認欲求の小論文解答例

1.冒頭部分の整理
冒頭で「筆者のいう『使う側の心性に問題がある』」と述べていますが、「筆者」が誰を指しているのかが曖昧です。また、この表現が後に深く掘り下げられていないため、冒頭のつかみとして十分に機能していないように思います。以下のように、背景や課題を簡潔に述べたほうがよいでしょう。

例文:「近年、通信システムや携帯電話の普及により、電子メールやSNSといったツールを通じたコミュニケーションが増加している。一見、これらのツールは人々をつなげる役割を果たしているように見えるが、その一方で、かえって人間関係を分断させているという指摘もある。」

2.具体例を追加して説得力を強化
「承認欲求のためにメールを発信する」「『いいね』を待つ」「『既読無視』を恐れる」といった部分は具体的で説得力があります。知っていれば、さらに統計データや具体的な事例を挙げると説得力が増します。

例文:「例えば、ある調査によれば、日本の若者の約60%がSNSでの反応が少ないことにストレスを感じているという。また、『既読無視』が原因で友人関係にひびが入ったというケースも少なくない。」

3.「人間関係を広げるための提案」の具体化
結論部分で述べている「多様な価値観を認め、異質な他者と関係を構築する」という主張は重要ですが、抽象的な表現に留まっています。具体的にどのような行動が必要かを示すと、より実践的な内容になります。

例文:「具体的には、対面でのコミュニケーションを増やすために、趣味のサークルや地域活動に参加すること、また、オンラインではなくオフラインで直接意見交換する場を設けることが有効である。」

4.全体の一貫性の強化
「携帯電話」や「電子メール」を例に挙げていますが、途中で「SNS」や「既読無視」といった別のテーマに移行しており、少し焦点がぼやけています。「携帯電話が普及した現代の問題」として一貫させるか、「SNSを中心にした人間関係の分断」とテーマを明確にすると、議論が締まりやすくなります。

スポンサーリンク

【全体修正案】承認欲求の小論文解答例

近年、携帯電話や通信技術の発展により、電子メールやSNSを通じて、いつでもどこでも簡単に情報をやり取りできるようになった。一見、これらのツールは人と人をつなげる役割を果たしているように思える。しかし、実際にはこれらのツールが原因で、人間関係が狭まり分断される傾向があることも事実である。

携帯電話やSNSは、便利で効率的なコミュニケーションを可能にした。メールやメッセージアプリを通じて、自分の都合のよいタイミングで用件を伝えられる点は現代社会において大きなメリットだ。また、安価であり、グローバル化が進む中で最も手軽な通信手段として多くの人に利用されている。

一方で、特に若者の間では、これらのツールが自己承認欲求を満たすための手段として利用されるケースが多い。例えば、SNSに投稿をし「いいね」を求める行動や、メッセージアプリでの「既読無視」を恐れる心理が挙げられる。これらの行動は、自分と同じ価値観を持つ相手とのみ繋がりを求める傾向を強め、結果として異なる価値観を持つ他者との関係を避ける要因となっている。

このような状況を変え、人間関係を広げていくためには、多様な価値観を認める姿勢が不可欠だ。そのためには、趣味のサークルや地域活動といった対面での交流の場を増やすことが有効である。また、オンライン上でのやり取りに依存せず、直接対話を行う機会を意識的に設けることが重要だ。

携帯電話やSNSがもたらす利便性を活用しつつ、人間関係を広げるための工夫を心掛けることで、より豊かなコミュニケーションが実現できるだろう。

スポンサーリンク

【関連用語】承認欲求について知っておきたい関連用語

➊フィルターバブルによる弊害
フィルターバブルとは、「インターネット上で泡(バブル)のなかに包まれたように、自分の見たい情報しか見えなくなること」という意味。

➋エコーチェンバー現象
SNSにおいて、価値観の似た者同士で交流し、共感し合うことにより、特定の意見や思想が増幅されて影響力をもつ現象。攻撃的な意見や誤情報などが広まる一因ともみられている。

小論文
スポンサーリンク
【大好評】大学入試小論文講座
プロの講師が24h以内に添削返信してくれる通信(メール)完結型の大学入試小論文講座。一人ひとりの志望大学・学部に合った講座で、自分のぺースで講座を進めていけます。
シェアする

コメント

テキストのコピーはできません。