大学入試小論文におけるグラフの読み取りの実戦問題

海水のpHの推移アイキャッチ 小論文
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大学入試小論文におけるグラフの読み取りの実戦問題です。

二酸化炭素排出の推移グラフ
【問題】
ハワイ周辺海域における大気中と海水中の二酸化炭素濃度および海水のpHの推移を示したものである。この図から読み取れることについて以下の注意事項に従ってあなたの考えを800字で以内で述べなさい。

<注意事項>
1、この図から読み取れる現象を述べること
2、1で述べた現象が起こる理由を科学的に説明すること
3、1での述べた現象が原因となって起きている、あるいは今後起こると予測される問題について述べること
4、3で述べて問題を解決するための方法について述べること

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【ある人の解答例】グラフの読み取りの実戦問題

この図から読み取れる現象は、大気中のCO2が1960年に約310ppmvから2010年に約380ppmvになり、およそ70ppmv濃度が上昇した。海水中の濃度は、1990年に325ppmvだったのが、2010年には約360ppmvになり、35ppmv上昇している。これらのことから、大気中のCO2濃度も、海水中のCO2濃度も高くなっていることがわかる。また、海水のpHは、1990年に8.12から2010に8.08まで下がっていることがわかり、酸性に傾いてきている。

これらの現象が起こる理由は、2つある。1つ目は、私たちのCO2排出量が増えたからである。産業の発達のより、自動車を使う人が増えたことが例に挙げられる。2つ目は、海水がCO2を吸収したからだ。海水のpHが長期に渡って低くなる現象である水素イオン濃度の低下が起こっていると考えられる。

これらのことが原因となって起きている現象は、2つ挙げられる。1つ目は、海洋への影響である。海洋の酸性化が進むと、海水中の炭酸カルシウム飽和度が減少し、石灰化生物の骨格形成が難しくなる。多様な生物が住んでいるサンゴ礁生態圏の中心であるサンゴが減少し、さらに他の多くの生物が多大な影響を受ける。

2つ目は、CO2増加による気温上昇である。この気温上昇により氷が解けて海面が上昇する。これにより、これまでに経験したことのない大洪水など異常気象が起こり生態系の崩壊や人間の経済活動にも影響が出ると考えられる。

これらの問題を解決するための方法として、家庭内での工夫と、世界全体での対策が必要である。家庭内では、自動車ではなく自転車や公共交通機関を使ったり、ペットボトルやレジ袋の使用を減らしたりすることが必要である。世界全体での対策では、CO2を多く排出する化石燃料ではない、太陽光などの新エネルギーを開発する必要があると考えている。

グラフの読み取りの実戦問題の添削(一部公開)

【講評】
海洋酸性化と気候変動の影響を具体的に挙げ、それぞれの影響について詳細に説明している点、家庭レベルと世界レベルでの具体的な対策を提案しており、実行可能性を考慮している点は高評価です。

【より高得点を目指して】全体修正案(原因の説明の補強、影響の具体化、解決策の具体性を加筆しています。)
この図から読み取れる現象は、大気中のCO2濃度が1960年に約310ppmvから2010年に約380ppmvへと、およそ70ppmv増加していることだ。海水中のCO2濃度は、1990年に325ppmvだったのが2010年には約360ppmvに上昇し、35ppmv増加した。これにより、大気中と海水中のCO2濃度が共に増加していることが分かる。また、海水のpHは1990年に8.12だったのが2010年には8.08に低下し、酸性化が進んでいることが示されている。

これらの現象が起こる理由は2つある。1つ目は、私たちのCO2排出量が増加したことだ。特に産業の発展や交通機関の利用増加が顕著な例だ。2つ目は、海洋が大気中のCO2を吸収しているためだ。CO2が溶け込むことで炭酸が生成され、海水のpHが低下する、いわゆる「海洋酸性化」が進行している。

この状況の影響として、まず海洋生態系が挙げられる。海洋酸性化により、炭酸カルシウムの飽和度が低下し、貝類やサンゴの骨格形成が困難になる。特にサンゴ礁生態系は、石灰化生物の減少により壊滅的な影響を受け、多くの海洋生物の生息地が失われる恐れがある。また、CO2の増加は地球温暖化を促進し、これにより氷河の融解や海面上昇が引き起こされる。これにより、大規模な洪水や異常気象が発生し、人間社会の経済活動にも深刻な影響を与える可能性がある。

これらの問題を解決するためには、家庭内での取り組みと国際的な対策が必要だ。家庭内では、自動車の利用を控え、自転車や公共交通機関の利用を促進することが重要である。また、再利用可能な製品の使用や省エネ家電の導入なども効果的だ。国際的には、化石燃料に代わる再生可能エネルギーの開発と普及が急務である。具体的には、太陽光発電や風力発電の導入を進めるとともに、CO2排出を削減するための国際協定を強化する必要である。

【添削】
論文においては、促音「っ」を使わない方が文は締まります。別の言葉に書き換えられないか考えてきましょう。(例)いっぱい➨多くの

△(原文)海水のpHが長期に渡って低くなる現象である水素イオン濃度の低下が起こっていると考えられる。
〇(修正)このことで、海水のpHが長期に渡って低くなる現象である水素イオン濃度の低下が発生していると考えられる。

△(原文)自転車や公共交通機関を使ったり
〇(修正)自転車や公共交通機関を使用したり

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