【大学入試小論文解答例】日本の食料自給率の低さをどう克服するか|原因・現状・対策を徹底解説

小論文
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日本の食料自給率はカロリーベースで約38%と、先進国の中でも極めて低い水準にある。この背景には、食生活の変化、農業人口の減少、輸入依存体質など、複合的な要因が存在する。本記事では、大学入試の小論文で頻出テーマである「日本の食料自給率の低さ」について、現状と課題、そして今後の対策を踏まえた小論文解答例を紹介する。入試で評価される論理的な構成や書き方のポイントも解説するので、志望校対策に役立つだろう。

<前提確認>
日本の食料自給率グラフ

<課題>日本の食料自給率の低さについて、あなたの考えを600字以内で述べよ。

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日本の食料自給率とは — 現状・背景・対策を解説

日本の食料自給率の概要

日本の食料自給率の概要
食料自給率は、国内で消費される食料のうちどれだけを国内で賄えているかを示す指標です。主にカロリーベース(摂取カロリー比)生産額ベース(価格・付加価値反映)の2つの算出方法があります。カロリーベースは穀物や油脂など輸入に依存しやすい食品を反映しやすく、日本はカロリーベースで低い数値が続いています。

日本の食料自給率の現状

日本の食料自給率の現状
一般に参照される値として、カロリーベースで約38%前後とされます。一方、生産額ベースでは価格や付加価値の影響で数値が高くなる傾向があり、年度や算出方法で差が出ます。数字は算出方法・年度により変動するため、単純比較には注意が必要です。

日本の食料自給率はなぜ低いのか

日本の食料自給率はなぜ低いのか

  • 食生活の変化:米の消費減少と肉・乳製品・油脂類の増加。これらは飼料や原料を多く輸入するため自給率を押し下げる。
  • 農業人口の高齢化・担い手不足:就農者の減少と平均年齢上昇で生産基盤が弱体化。
  • 農地の減少・耕作放棄:都市化や採算性の問題で耕作地が減少。
  • 国際競争と価格:安価な輸入食品の流入で国内生産が圧迫される。
  • 気候変動リスク:異常気象による収量変動も影響。

日本の食料自給率の対策

日本の食料自給率の対策
政府・自治体と民間が連携し、以下のような取り組みを進めています。

  • 備蓄と供給安定化:主要穀物の備蓄強化や多様な供給ルートの確保。
  • 担い手支援:若手農業者への補助金、研修、企業参入促進で所得と魅力の向上を図る。
  • スマート農業:ドローン・IoT・AIによる省力化と収量向上で生産性を高める。
  • 6次産業化・地産地消:加工・販売を含めた地域経済の循環を促進し付加価値を創出する。
  • 代替飼料・技術革新:輸入飼料依存を下げる研究・導入。
  • 消費喚起:国産志向や食品ロス削減の啓発。

日本の食料自給率の効果と課題

日本の食料自給率の効果と課題
短期的には自給率向上が価格上昇を招く可能性がありますが、技術革新や効率化、地域連携が進めば中長期的に安定供給と地域振興につながります。一方で、気候変動への適応、若者を惹きつける農業の仕組み作り、そして消費者の行動変容(国産選択・食品ロス削減など)は依然として大きな課題です。

ワンポイントまとめ

日本の食料自給率は数値上低く、食料安全保障の観点から重要な課題です。しかし、単なる数値改善だけでなく、持続可能な生産・地域経済の再生・消費行動の変化・気候リスク対応を同時に進める総合的な戦略が必要です。政府、自治体、民間、消費者が協力して取り組むことが不可欠です。

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【ある人の例】日本の食料自給率の低さについての解答例

現在、日本の食料自給率は低下傾向が続いている。私は将来的にさらなる食料不足が生じる可能性に懸念を抱いている。

その主な理由は、他国が食料を輸出できない状況に陥った場合、日本への輸入が停滞する可能性があるからだ。日本は世界有数の食料輸入国であり、主要な輸入相手であるアメリカからの食料供給が途絶えると、日本の食生活に大きな影響を及ぼすだろう。アラブ諸国における石油危機が日本に与えた影響もその一例だ。他国に依存することは、それだけのリスクを背負うことを意味する。

現在、世界では急激な人口増加に伴う食料不足が深刻な問題だ。東アフリカを中心に、約4000万人が水不足に直面しており、異常気象や紛争などの要因で食料供給が不安定な状況が続いている。現在の総人口は約70億人であり、今後も増加していく中で飢餓に苦しむ人々が増加するだろう。このような状況下では、いつかは日本に食料を輸出する余裕がなくなる可能性も考えられる。そのため、日本は自らの力で国内の食料供給を確保する必要がある。

食料自給率を向上させるためには、少子高齢化に伴う後継者不足や、TPP問題によるここ数十年の農業の衰退傾向を解決する必要があると考える。

【添削・アドバイス】日本の食料自給率の低さについて

1.文章構成の整理
段落ごとにテーマを明確にし、論理の流れをよりスムーズにすると説得力が増します。
<例>
現状の指摘(食料自給率の低下)
問題の原因(輸入依存のリスク)
世界的な文脈(人口増加や食料不足)
解決策(国内農業の課題への対応)

2.具体例の強化
「アラブ諸国の石油危機」や「東アフリカの水不足」といった例は有効ですが、日本の状況により関連する具体例を補足すると説得力が増します。

例:国内でも輸入依存のリスクを象徴する事例が存在する。2020年、新型コロナウイルスの感染拡大により物流が滞った際、一部の食品が不足し、価格が高騰した。この出来事は、日本が輸入に過度に依存している現状を浮き彫りにしたと言える。また、輸入小麦の価格が国際情勢の影響を受けて急騰した際、パンや麺類など国民の主食にまで影響が及んだことも記憶に新しい。これらの事例は、他国への依存がいかに不安定な要素を内包しているかを物語っている。

3.解決策の明確化
解決策として「後継者不足」や「TPP問題の影響」を挙げていますが、具体的な取り組み例や施策を追加すると良いでしょう(例:農業のデジタル化、若者の農業参入促進策など)。

例文:農業の衰退を防ぐためには、後継者不足の解消が重要である。若者が農業に興味を持ち、参入しやすい環境を整えるべきだ。そのためには、農業のデジタル化やスマート農業技術の導入が有効である。例えば、AIを活用した栽培管理や自動運転トラクターの利用は、農業の効率性を向上させるとともに、従来の肉体労働のイメージを刷新する可能性がある。また、農業の収益性を向上させるために、地産地消の推進や高付加価値作物の生産にも注力すべきである。これらの取り組みを通じて、農業を持続可能な職業として魅力的にすることが重要である。

4.結論部分の追加
最後に、日本の未来に向けての決意やビジョンを述べることで文章が引き締まります。

例文:食料自給率の向上は、単なる農業政策の問題にとどまらず、国の安全保障や持続可能な社会の実現に直結する課題である。日本が将来の食料危機に備えるためには、農業の再生と輸入依存からの脱却を進める必要がある。これは、単に自国の食料を確保するだけでなく、国内の農業や地域社会を活性化させる絶好の機会でもある。日本が世界的な食料不足の波に呑まれることなく、未来の世代に豊かな食文化と安定した生活を残すために、今こそ具体的な行動を起こすべきである。

【全体修正案】日本の食料自給率の低さについて

現在、日本の食料自給率は低下傾向が続いており、私は将来的な食料不足の可能性に強い懸念を抱いている。特に、他国が何らかの理由で食料を輸出できなくなった場合、日本への輸入が停滞するリスクは看過できない問題だ。

日本は世界有数の食料輸入国であり、主要な輸入相手国であるアメリカからの供給が途絶えると、日本の食生活は深刻な影響を受けるだろう。たとえば、1970年代のアラブ諸国における石油危機は日本の経済や生活に大きな混乱をもたらした。このように、他国への依存は常にリスクを伴う。

さらに、世界的には急激な人口増加に伴い、食料不足が深刻化している。国連の報告によれば、現在、約40億人が水不足に直面しており、異常気象や紛争が食料供給の安定性を脅かしている。現在の世界人口は約80億人に達しており、今後も増加が予測される中、飢餓に苦しむ人々が増え続ける可能性が高い。このような状況下で、日本に食料を輸出する余裕を持つ国はますます少なくなるだろう。そのため、日本は自国で食料供給を確保する必要がある。

食料自給率を向上させるためには、農業の後継者不足や、TPP問題などによる農業衰退傾向を解決する必要がある。具体的には、農業のデジタル化やスマート農業の導入による生産性向上、農業の魅力を若者に伝える取り組みが求められる。また、地域ごとの特性を活かした地産地消の推進も重要だ。さらに、政府や自治体が農業支援の制度を拡充し、安定した収益が得られる環境を整えるべきだ。

日本が持続可能な社会を実現するためには、食料自給率の向上が不可欠である。今こそ、農業の復興と新たな発展を目指し、食料安全保障を確立する取り組みを進めるべきだ。これは、将来世代への責任であり、日本の未来を守るための重要な課題である。

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