【2019年度】金沢大学国際学類の小論文解答例「言語交替」

スポンサーリンク

【平成31年度(2019年度)】金沢大学国際学類の小論文解答例です。

【問題】あなたは、将来日本において英語が日本語との関係でどのように使われていくと思いますか。本文で論じられているアイルランドの状況と比較したうえで、800字以内で自分の見解を具体的に述べなさい。
スポンサーリンク

金沢大学国際学類言語交替についての小論文解答例

筆者が言う様に、アイルランドの言語交替は、アイルランドに住む人々が、母国語のアイルランド語よりも英語を話すことができる方が自分や子供の将来のためになると考えたことから生じた。しかし私は、将来の日本ではこのような言語交替は発生せず、英語はあくまでも国際社会で使用したり、外国人と会話したりする際の特別なコミュニケーション手段として存在すると考える。

では、なぜ日本語は英語に置き換わらないと言えるのだろうか。それは、17世紀以降に言語交替が起こったアイルランドと現代の日本では、母国語の捉え方が大きく異なるからである。

まず教育という視点で考えると、当時のアイルランドに住む親は、子供にはアイルランド語より英語を話せるようになってほしいと願っていた。その結果、成長した子供は英語を用いて生活するようになった。一方、現代の日本の親は、子供の英語教育に力を注ぐと同時に、子供には正しい日本語を話してほしいと願っている。よって学校教育においても、生徒に国語という学習科目として日本語の読み書きを学ばせている。

次に外交の視点で考えると、筆者が言う様にアイルランドはかつてイギリスの植民地として支配されており、さらに大飢饉によるアイルランド話者の急速な減少が生じた。しかし今日の日本は、先進国として世界の中で自国の立場を確立している。たしかに、日本語より英語の方が圧倒的に世界で使用されている。事実として文化庁発表の話者人口ランキングでも英語が世界第2位であるのに対し日本語は第9位である。しかし海外での日本語学習者人口を見てみると、2015年には365万人であったが2018年には385万人になり、年々増加傾向にある。よって今後、世界的に見ても、日本語話者が増加すると考える。

以上のことから、私は将来の日本でも日本語が母国語として使用され続け、英語はあくまでも世界と関わるための特別な手段に留まると考える。

スポンサーリンク

金沢大学国際学類言語交替についての講評(抜粋)

総じて、論文は日本とアイルランドの言語状況においての違いを考慮した興味深い比較を提供していますが、将来の予測についての論拠や補足がもう少し充実すると、より強力な論文となるでしょう。

将来の予測についての論拠や補足を加えるには、以下のようなアプローチが考えられます教育および外交の視点から将来の言語使用を予測するための具体的な例文です。

例文1: 教育の視点からの論拠
現代の日本では、英語教育が一層強化されているが、これは日本語の価値を補完するものであると考えられる。例えば、英語は国際的なビジネスや学術研究の分野で重要だが、同時に正確で適切な日本語の使用も不可欠だ。したがって、将来の日本では、英語教育は国際的なコミュニケーション能力を向上させつつも、日本語の適切な使用も同様に重視すべきだろう。

例文2: 外交の視点からの論拠
日本は先進国として、世界的な影響力を持つようになっている。しかし、これは日本語の使用が制限されることを意味せず、むしろ国際的な交流において日本語が一層重要視される契機となると考える。外交関係の発展においても、日本語が共通の言語として使用されることで、文化的な理解と国際的な連携が促進され、英語だけでなく日本語も国際的なコミュニケーションにおいて重要な役割を果たすことが期待できる。

言語交替についての添削一部公開

(添削➊)
(原文×)筆者が言う様に
(修正案1)筆者が言うように
(修正案2)筆者が述べるように
→平仮名が望ましいと思います。
「様に」、「程」、「位」を漢字ではなく「ように」、「ほど」、「くらい」とひらがなに開くだけで文章の素人臭さが減ります。

そのほか
<ひらがなが望ましい例>
(右の漢字を使う人がいるけれど)
-するうえで(上 )
-すること(事) ※場合によるけれど、わからないときは、ひらがながいい。
-するごと(毎)
-するため(為)
-のとおり(通り)
-するとき(時)
-ところ(所)
-のほうが(方)
-のほか(他)
-するわけ(訳)
など。

コメント

テキストのコピーはできません。