【2020年度】群馬県立女子大学文学部の大学入試小論文解答例「共有できない言葉」

共有できないでいる言葉サムネイル 小論文
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【2020年度】群馬県立女子大学文学部の大学入試小論文解答例です。

【問題】「おたがいのあいだに共有できないでいる言葉も少なくありません」ということについて、あなたの考えを述べなさい。字数は800字~1000字程度とします。
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【ある人の例】お互いの間に共有できないでいる言葉

筆者が述べている通り、おたがいのあいだに共有できないでいる言葉は存在すると考えられる。インターネットの発達により、人と直接会わなくても自分の思いを伝え合うことが容易になった。たが、そうなったからこそ、言葉にのせた伝えたい思いが上手く相手に伝わらないことが増えたのも確かである。

なぜなら、その言葉が自分の知っている意味だけで使用されるものだと無意識のうちに捉えてしまっているからだ。ある言葉を見た時に真っ先に思い浮かべるのは、自分が捉えているその言葉の意味だろう。そして自分の中にある言葉だけが、正しいものとして考えてしまうことでトラブルが生じる。

実際SNS上のやり取りでは言葉の取り違いによるトラブルが頻繁に起っている。例えば、ある動画クリエイターが投稿した動画での発言に対し、一部の視聴者が批判のコメントを送るといったことがある。明らかに相手を傷付ける内容とは別として、捉え方の違いから批判が生じているケースは多い。批判をする人は、その言葉に他の意味や使い方があることをよく調べたりせず、自分の考えだけが正しいと思ってしまうのである。こうして同じ言葉であるのに共有することができないといった事態が生まれる。

このような状況を回避するためには、同じ言葉でも解釈を増やすことで、共有できない言葉を減らすことができると考える。そのためにインターネットを使用するのは有効的だ。昔は辞書でしか調べることができなかった言葉が今ではスマートフォンで簡単に調べることが可能だ。さらに、インターネットでの検索では、言葉の意味だけでなく、その言葉に関連した様々な情報を同時に得ることもできる。これを繰り返すことで自分の言葉の引き出しが増え、相手とのコミュニケーションが円滑に進むことに繋がるだろう。

以上のように共有できない言葉は存在する。しかし、自分が捉えている言葉の意味だけを信じるのではなく、その言葉に含まれている感情や出来事など多くの関連したものを吸収していくことで、共有できない言葉を減らすことができると考える。

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【添削・アドバイス】お互いの間に共有できないでいる言葉

1.冒頭の掴みを強化する
現在の冒頭部分は主張が直接的に述べられていますが、もう少し具体例や問題提起を用いて関心を引く工夫ができると、より説得力が増します。

例:「インターネットが普及し、誰もが簡単に言葉を使って他者と交流できる時代になった。しかし、便利になった反面、言葉の解釈を巡るトラブルがかえって増加している。果たして私たちは、言葉を正しく共有できているだろうか。」

2.「共有できない言葉」の説明を補足
「共有できない言葉」という表現が重要なキーワードであるため、具体的に何を指すのかを初めに明示すると、読者が議論の方向性を理解しやすくなります。

例:「ここで言う『共有できない言葉』とは、同じ言葉であっても、人によって解釈が異なるために、思いが正確に伝わらない言葉を指す。」

3. 問題提起部分を深める
「SNS上のやり取り」を例に挙げている部分は具体的で良いですが、背景や現代の文脈を少し補強すると説得力が増します。

例:「近年、SNSは個人間のコミュニケーションにおいて不可欠な役割を果たしている。しかし、この便利なツールを通じたやり取りでは、言葉の解釈を巡るトラブルが頻発している。例えば動画クリエイターの発言が批判を浴びる場合、そこにはしばしば言葉の意味や背景の認識の違いが存在している。」

4. 具体例をさらに具体化
現在の具体例は分かりやすいですが、より詳細なシチュエーションや仮の会話例を挿入すると、イメージが深まります。

例:「例えば、ある動画クリエイターが『遊び心を持って楽しもう』と発言した際、それを一部の視聴者は『不真面目だ』と解釈し批判した。一方、クリエイターの意図は『創造性を大切にしよう』というものであり、捉え方の違いがトラブルを生じさせたのだ。」

5. 提案部分を具体的かつ多面的に
提案部分はインターネットの有効性に焦点を当てていますが、他にも解決策を提示できると、より説得力が増します。

例:「このようなトラブルを回避するには、インターネットで言葉の意味を調べるだけでなく、次のような取り組みも重要である。例えば、対面での対話を通じて言葉の感情的なニュアンスを確認することや、異なる文化や背景を持つ人々との交流を通じて言葉の多様な解釈を学ぶことだ。」

6. 締めを力強くする
最後の段落をより簡潔かつ力強く締めることで、主張がより印象的になります。

例:「私たちの言葉の引き出しを増やし、他者の視点を受け入れる姿勢を持つことで、『共有できない言葉』は確実に減らせるだろう。言葉の力を信じ、思いを繋ぐための努力を惜しむべきではない。」

修正後の全体構成(要約)
導入:現代のインターネット社会における言葉のトラブルを問題提起。
問題の原因:「共有できない言葉」の定義と背景。
具体例:SNSにおける言葉の解釈の違いによるトラブル。
提案:インターネットの活用に加え、対話や異文化交流の重要性を提示。
結論:言葉の多様な解釈を受け入れることで、トラブルを減らす可能性を強調。

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【全体修正案】お互いの間に共有できないでいる言葉

現代社会では、インターネットの発達により、言葉を通じて他者とつながる機会が増えた。誰もがスマートフォン一つで自分の思いを発信できるようになった一方で、言葉の解釈をめぐるトラブルも増加している。このような状況を目にすると、私たちは本当に言葉を共有できているのかという疑問が浮かぶ。

ここで言う「共有できない言葉」とは、同じ言葉であっても人によって解釈が異なるために、意図した思いが正確に伝わらない言葉のことを指す。インターネット上では、相手の表情や声のトーンといった非言語的な要素が欠けているため、言葉そのものの解釈に依存する度合いが大きくなる。その結果、自分の中にある解釈を唯一の正解と信じることで、他者との間に摩擦が生じるのである。

実際、SNS上でのやり取りでは、言葉の取り違えによるトラブルが頻繁に起こっている。例えば、ある動画クリエイターが投稿した動画で「遊び心を持とう」という発言をしたとする。この発言に対し、一部の視聴者は「不真面目だ」と批判を展開した。一方、クリエイターの意図は「創造性を大切にしよう」というポジティブなメッセージであった。このように、同じ言葉であっても解釈の違いが原因でトラブルが生じることが多い。こうしたケースでは、批判する側がその言葉の背景や別の解釈を十分に調べず、自分の考えだけに基づいて判断していることが問題だと言える。

では、このような「共有できない言葉」を減らすためには何が必要だろうか。一つの有効な方法として、インターネットを活用して言葉の意味や背景を調べることが挙げられる。かつては辞書を使って調べるしかなかった言葉も、今ではスマートフォンで簡単に検索することが可能である。さらに、インターネット検索では、言葉の意味だけでなく、それに関連する文化的背景や具体的な用例を知ることもできる。こうしたプロセスを繰り返すことで、自分の中の言葉の引き出しが増え、他者とのコミュニケーションがよりスムーズになるだろう。

また、インターネットだけに頼らず、対面での対話や異文化交流を通じて、言葉の多様なニュアンスを学ぶことも重要である。例えば、自分と異なる文化や価値観を持つ人々との交流を通じて、新たな解釈を知る機会が得られるだろう。このような経験は、自分の言葉に対する偏見を和らげ、他者の視点を受け入れる柔軟性を育む。

以上のように、「共有できない言葉」は確かに存在する。しかし、それを解決する鍵は、自分の解釈に固執するのではなく、他者の視点を積極的に取り入れる姿勢にある。言葉の背景や多様な意味を理解し、他者との対話を重ねることで、言葉を共有できる可能性は広がる。言葉は人と人をつなぐ重要なツールである。その力を最大限に活かすためにも、言葉に対する学びと対話を怠るべきではない。

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