【2015年度】慶應義塾大学法学部の小論文解答例「生物多様性」

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平成27年度【2015年度】慶應義塾大学法学部の小論文解答例「生物多様性」です。

【問題】次の文章は「生物多様性」を題材に論じたものである。著者の議論を400字程度でまとめ、人間社会における「関係価値」について具体例を挙げながら論じなさい。
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【ある人の例】生物多様性についての大学入試小論文解答例

【筆者の議論】生物多様性の定義は混沌としてきている。この言葉は社会的関心をもたらした一方で、概念的に多くの異質なものまでをも取り込んでいる。そして、生物多様性条約においては一見相反する「保全」と「利用」のふたつの目的が掲げられたことによって、生物多様性は誰のものかという点が問題になっている。さらに、今日の動向はそれの経済価値にも言及し、市場メカニズムによる保全を国際的に協力して行おうとしている。

【主張】生物多様性の利用と保全の議論の中で地域の役割についてはまだ曖昧となっている。そこで、生物学者は生物相互のつながりに価値を見いだした。生物学者はそれらが相互に繋がることが大事だと述べ、生物多様性に使用価値と交換価値を見いだした。今日では関係価値によってグローバル経済における交換価値の枠組みでの生産者-消費者の距離を縮めようとしている。

【具体例】映画「この世界の片隅に」が良い例だ。この映画はクラウドファンディングを活用して作られたものだ。見てみたい、応援したいと思った消費者が生産者に出資するこの仕組みはまさに関係価値の象徴と言える。実際にこの映画はクラウドファンディングによって支援者3374人から資金が約3900万円集まり、日本アカデミー賞を受賞するなど大成功を収めた。

【まとめ】こういった形態の商品生産が増えていくことで、国際的に関係価値が定着していくだろう。このように、私たちは生物多様性を保存しながらの経済活動を行うというバランスのとれた新たな価値を見つけなければならない。

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【アドバイス】生物多様性についての大学入試小論文解答例

1.論旨の流れを明確にする
中盤の「生物多様性の利用と保全の議論の中で地域の役割についてはまだ曖昧となっている」から始まる段落が少し唐突で、論理の繋がりが薄い印象を受けます。「地域の役割」を議論するなら、具体的な例や背景情報を補足すると良いでしょう。

例文:生物多様性の利用と保全の議論において、地域社会の役割は依然として曖昧である。この曖昧さを克服するためには、生物多様性が地域住民の日常生活や文化とどのように結びついているかを再評価する必要がある。たとえば、伝統的な農業や林業においては、生態系の保全と資源の持続可能な利用が同時に行われている事例が存在する。こうした地域の知恵や実践をグローバルな議論に取り入れることが重要である。

2.具体例とテーマのつながりを強調する
「この世界の片隅に」の例は関係価値を説明する良い事例ですが、生物多様性との関連性が薄く感じられます。この事例がどう生物多様性の保全や利用の議論と繋がるのか、もう少し具体的に説明すると説得力が増します。

例文:映画「この世界の片隅に」のクラウドファンディングの成功事例は、関係価値が持つ力を端的に示している。この仕組みは、消費者が単なる受け手ではなく、生産者と共に作品を育てる存在であることを象徴している。生物多様性においても同様に、地域住民や消費者が自然環境の保全に積極的に関わる仕組みを作ることで、保全と利用の両立が可能になる。つまり、関係価値の考え方は、単なる経済活動の枠を超えて、生物多様性の新たな保全モデルを示唆している。

3.専門用語の説明を加える
「使用価値」「交換価値」「関係価値」などの概念が提示されていますが、それぞれの違いや生物多様性にどう関わるかを簡単に説明するといいですね。

例文:生物多様性に関連する「使用価値」「交換価値」「関係価値」は、それぞれ異なる視点で価値を評価するものである。使用価値とは、自然資源そのものが持つ直接的な有用性を指す。たとえば、薬草の治療効果や森林の木材利用がこれに該当する。一方、交換価値とは市場経済における資源の売買価値を意味する。そして、関係価値は、人々が自然環境や他者との関わりを通じて得る精神的・文化的な価値を表す。この関係価値の重要性が、近年ますます注目されている。

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【全体修正案】生物多様性についての大学入試小論文解答例

生物多様性の定義は複雑化している。この言葉は社会的関心を集める一方で、さまざまな概念を包含しており、生物多様性条約においては「保全」と「利用」という一見相反する目的が掲げられた。これにより、「生物多様性は誰のものか」という問題が生じている。さらに近年では、その経済価値が注目され、市場メカニズムを活用した保全が国際的に進められている。

しかし、生物多様性の利用と保全の議論の中で、地域社会や個々の生活とのつながりについてはまだ曖昧である。こうした中、生物学者たちは生物同士の相互関係に価値を見出し、それを「使用価値」や「交換価値」として捉えてきた。近年では、これに「関係価値」という概念が加わり、グローバル経済において生産者と消費者の距離を縮める試みが進んでいる。

映画「この世界の片隅に」は、関係価値を示す好例である。この作品はクラウドファンディングを活用して制作され、視聴者が「応援したい」「見てみたい」という思いから資金を提供する仕組みが採用された。その結果、3374人から約3900万円が集まり、日本アカデミー賞の受賞など、大きな成功を収めた。このプロセスは、消費者が単なる受け手ではなく、生産活動に関与するという点で、関係価値を象徴している。

こうした形態の経済活動が広がることで、国際社会における関係価値の定着が期待される。同様に、生物多様性の保全と利用を両立するためにも、私たちは経済活動において関係価値を見出し、持続可能な新たな価値観を創出する必要があるだろう。

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