【大学入試小論文】農山村地域の農業の課題と解答例|持続可能な地域社会を考える

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大学入試小論文では、「農業の課題」や「農山村地域の持続可能性」といったテーマが頻出です。高齢化や後継者不足、耕作放棄地の増加など、日本の農山村が抱える問題は深刻であり、地域社会の存続や食料安全保障とも深く関わっています。
本記事では、「農山村地域の農業の課題」をテーマにした小論文解答例を紹介します。出題意図の理解、構成の立て方、論じる際の視点も解説するので、志望校の小論文対策に役立ててください。

【2022年度】龍谷大学政策学部公募推薦の小論文解答例「農村問題」です。改題となります。
【問題】問2.今、日本では、食料自給率の低下、農業者の減少・高齢化による生産力の低下や農村の衰退、食料輸入の増加による食の安全性の問題、食品の大量生産による食ロス・ごみ問題等、様々な問題を抱えている。日本における食料・農業・農村に関する問題を一つ取り上げ、その問題を解決するためにどのような対策や活動をするべきか述べよ。またそのように考える理由も述べよ。

【改題】いま日本の農山村地域の農業に生じている重要と思われる諸問題からひとつを取り上げて、その問題を改善するために今後どのような取り組みを行う必要があるかについて、自分の考えを述べなさい。
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龍谷大学政策学部推薦(2022年度)の小論文解答例

現在、日本の山村地域は人口減少と高齢化が並進している。そのため、農山村地域には重大な問題が起きている。この問題を改善するためには、人口を維持し、新居住者確保の対策を講じることが重要といえる。そのためには、専攻には関わらず大学生に援農ボランティアへの働きがけをする。就農を将来への選択肢の一つとして提案し、援農体験を行った学生には、インターンシップ制度として単位として認定するのである。

昨今、グリーンツーリズムなどにより都市に住む人々や子どもの自然と触れ合う農村交流は活発になっている。農山村地域での観光、福祉、教育の必要性は高まってきているのである。

ではなぜ、人口が減り続けるのか。別の地域に移りたい理由を調査したところ、次のようなアンケート結果が出た。上位3位は「近くに病院がない」「近くで食料品、日用品が買えない」「家族の中で車を運転できる人がいない」の順である。農業に従事し生活を維持する労働力となる年代が減少し、その地域で生きてきた人が高齢化したことで農業は衰退しているのである。加えて、地域の活力、経済の低迷を招き、生活と地域社会に影響を及ぼしている。従って、農山村には耕作以外にも若者のなせることがあるとのではないだろうか。

援農ボランティアをインターンシップ制度とすることで、学生が農業体験するなか、生産、消費などの経済活動の地域内での循環が生まれ暮らしやすくなることで、就農を促すことができるのではないだろうか。

龍谷大学政策学部推薦(2022年度)の小論文の講評一部公開

論文は的確に日本の農山村地域の問題を指摘し、新しい住民確保のための提案を述べています。援農ボランティアの導入とインターンシップ制度の提案は有益で、地域経済の循環を促進し、就農志向を醸成する可能性があります。

【改善点】
人口減少の理由や対策の中で、医療や交通の不便性への対応により具体的な提案があるとよかったです。たとえば、医療や日用品調達の困難に対する具体的な解決策の検討が望まれます。全体的に、論文は具体的かつ良く練られており、地域の挑戦に対する包括的な理解が示されています。

龍谷大学政策学部推薦(2022年度)の小論文の添削一部公開

1.(原文△)加えて、地域の活力、経済の低迷を招き、生活と地域社会に影響を及ぼしている。従って、農山村には耕作以外にも若者のなせることがあるといえるのではないだろうか。
(修正案)加えて、地域の活力、経済の低迷を招き、生活と地域社会に影響を及ぼしている。従って、農山村には耕作以外にも若者のなせることがあるといえる。

2.(原文△)援農ボランティアをインターンシップ制度とすることで、学生が農業体験するなか、生産、消費などの経済活動の地域内での循環が生まれ暮らしやすくなることで、就農を促すことができるのではないだろうか。
(修正案)援農ボランティアをインターンシップ制度とすることで、学生が農業体験するなか、生産、消費などの経済活動の地域内での循環が生まれ暮らしやすくなるので、就農を促すことができると考える。

⇒「~ではないだろうか。」は、「ではなぜ、人口が減り続けるのか。」のように問題提起としてはいいですが、自分の意見の場合は言い切っていいです。この文が、エッセイだったら、含みを持たす意味で使用してもいいです。

農山村地域の農業の課題

農山村地域の農業の課題

1. 高齢化と後継者不足
  • 日本の農業従事者の平均年齢は68歳を超えており、労働力の高齢化が深刻。
  • 若者の都市流出により、後継者が見つからず離農する農家が増加。
  • その結果、農地の管理が行き届かなくなり、耕作放棄地が拡大している。
2. 耕作放棄地の増加
  • 農地を維持・管理できず放棄される土地が全国的に増加。
  • 生産力の低下だけでなく、景観の荒廃や獣害の拡大、災害リスクの増大につながる。
3. 農産物価格の低迷と収益性の課題
  • 輸入農産物との競争や市場価格の変動により、農家の所得が安定しにくい。
  • 小規模経営の多い農山村では、規模の経済が働きにくく、収益向上が難しい。
4. 地域インフラと流通の問題
  • 山間部や過疎地域では、交通・流通コストが高い。
  • 販路の確保が難しく、地元消費に依存せざるを得ない場合もある。
5. 環境変化と気候変動
  • 豪雨や猛暑など異常気象の頻発により、農業生産が不安定化。
  • 水資源の確保や土壌流出防止など、環境保全型の農業への転換が求められている。
6. 地域社会の衰退
  • 人口減少により、集落機能や共同作業(農道整備、水路管理など)が維持できなくなっている。
  • 農業の課題は単に生産面にとどまらず、地域社会の持続可能性そのものに直結している。
今後の展望(対策の方向性)
  • 担い手の確保:農業の魅力発信や農業法人化による雇用促進。
  • 耕作放棄地の活用:再生利用、太陽光発電や観光資源としての活用。
  • スマート農業の導入:ICTやAI、ドローンを活用し、省力化と効率化を図る。
  • 地域資源の活用:地産地消や6次産業化によって、収益性を高める。
小論文
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