【大学入試小論文】食料安全保障の重要性と日本の課題・対策を考察する書き方のポイント

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グローバル化が進む現代において、世界各国が直面している重要なテーマの一つが「食料安全保障」である。気候変動や紛争、人口増加、輸入依存などにより、安定した食料供給が揺らいでいる。特に日本は食料自給率が低く、海外の動向に左右されやすいという特徴を持つため、この問題は国民生活に直結する深刻な課題である。本記事では、大学入試小論文で「食料安全保障」をテーマにした際の構成方法、現状分析のポイント、具体的な対策提案の書き方をわかりやすく解説する。

【問題】この2つの新聞記事の内容を踏まえ、まず日本の農政・食料安全保障が抱える課題を簡潔にまとめた上で、「食料安全保障」確保の観点から、私たちは何をなすべきかについて具体的に提言してください。なお、論述にあたっては、「政府は何をなすべきか」「農業従事者は何をなすべきか」「消費者は何をなすべきか」という論点を取り込み、600字前後で論述してください。【2023年度】島根県立大学地域政策学部(編入学試験)の小論文解答例「食料安全保障」です。改題となっています。

【改題】農産物の貿易は、食糧安全保障において極めて重要な問題です。グラフの内容を踏まえて課題を説明し、それに対するあなたの意見を700字以内で説明しなさい。
食料安全保障グラフ①
食料安全保障グラフ②

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【大学入試小論文】食料安全保障の重要性と日本の課題・対策の書き方のポイント

1. 要約(冒頭で示すべき主張)

1. 要約(冒頭で示すべき主張)
食料安全保障は国民の生活基盤に直結する重要課題であり、気候変動や国際情勢、輸入依存など複合的な要因で脆弱化している。短期的な安定確保(備蓄・輸入多様化)と長期的な自給力強化(農業改革・技術導入・持続可能な生産)を両輪で進めることが必要である、という立場を冒頭で明確に書くと読み手に論旨が伝わりやすい。

2. 小論文の基本構成(時間配分を意識)

2. 小論文の基本構成(時間配分を意識)

  1. 導入(30〜60秒):問いの重要性・現状を簡潔に提示し、解答の立場(論点)を明示する。
  2. 現状分析(3〜4段落):原因・背景(国内外)、影響を論理的に整理する。
  3. 具体的対策(2〜3段落):短期・中長期の政策や技術、地域・個人レベルの対応を提示し、効果と課題を評価する。
  4. 反論処理・留意点(1段落):提案の限界や副作用を簡潔に示し、代替案や緩和策を述べる。
  5. 結論(1段落):主張を再確認し、将来への展望や行動喚起で締める。

※制限時間内の練習では「導入:現状分析:対策:結論=1:3:3:1」を目安にすると、論点に深みを持たせやすいです。

3. 現状分析で押さえる切り口(使える観点)

3. 現状分析で押さえる切り口(使える観点)

  • 国内の脆弱性:食料自給率、耕地面積や農業従事者の高齢化、産地の集約度(単一作物依存)などの構造的リスク。
  • 国際要因:輸出国の生産不安、貿易規制・輸出管理、紛争や国際価格の変動。
  • 環境要因:気候変動(干ばつ・豪雨)、病害虫の拡大、土壌や水資源の問題。
  • 社会経済要因:人口動態(高齢化・都市化)、消費パターンの変化、サプライチェーンの集中化。

4. 具体的対策の示し方(短期〜長期)

4. 具体的対策の示し方(短期〜長期)

短期(緊急安定化)
  • 国家備蓄の見直し・拡充と流通の迅速化
  • 輸入先の多様化と貿易協定の戦略的活用
  • 食の浪費削減やフードロス対策の強化(消費者啓発)
中長期(自立性・持続性の強化)
  • 農業の生産性向上(スマート農業・品種改良・ICT活用)
  • 農村の担い手確保(若手就農支援、兼業・企業参入の促進)
  • 環境保全と両立する持続可能な生産(減農薬・土壌改良・水管理)
  • 地域循環型の食料システム(地産地消・6次産業化)で供給の多様化を図る

各対策は「実行主体(国・自治体・民間・個人)」「効果」「コスト・課題」をセットで示すと評価が高くなります。

5. 文章表現・論理展開のテクニック

  • 明確な主張文(序論の最後):例)「よって、我が国は短期的安定化と長期的自給力強化を並行して進めるべきである。」
  • 因果関係を示す:「〜だから」「〜そのため」「結果として」などで論理の流れを明確に。
  • 比較と具体例:国内外の事例や身近な例(地域産直、備蓄体験)を用いて説得力を高める。
  • 接続語の活用:重要な接続語(しかし、したがって、一方で、例えば、具体的には)を使い分ける。
  • 数値は慎重に:出典なしで具体的な数値を挙げると誤りの元。出題資料にある数値は積極的に活用する。

6. 評価される論点の作り方(加点ポイント)

  • 複数の観点(経済・社会・環境・技術)からのバランスの良い分析
  • 提案に現実性(実行主体・費用感・副作用への配慮)があること
  • 因果の流れが明瞭で、主張と結論にブレがないこと
  • 資料や事例を適切に引用して論拠を補強していること

7. よくある失敗例(減点につながるポイント)

  • 抽象論に終始し、具体性がない(誰が・どうやって実行するかが欠如)
  • 立場が不明確、序論と結論で主張が食い違う
  • 因果を飛ばして結論だけ述べる(論理の飛躍)
  • 出題資料と無関係な話題に脱線する

8. 便利な表現例(使えるフレーズ)

  • 導入: 「食は国家の根幹であり、〜」
  • 原因提示: 「一因は〜にある」
  • 比較提示: 「〜と比較すると」
  • 提案提示: 「そこで私は〜を提案する」
  • 結論: 「以上より、〜すべきである」

9. 書き上げた後のチェックリスト(必ず確認)

  1. 序論で主張が明確になっているか。
  2. 各段落の最初に要旨(主題文)があるか。
  3. 因果関係・論理の流れに飛躍がないか。
  4. 具体例や実行主体が示されているか。
  5. 用語・漢字ミス、誤字脱字がないか。
  6. 字数制限を守っているか(必要なら結論を簡潔に)。

10. 練習課題(演習用)

下の問いで実際に600字〜800字を一度書いてみてください。

  1. 「日本の食料安全保障は何が弱点か。短期的・長期的に有効な対策を示し、実行上の課題を論じよ。」
  2. 「地産地消を推進することは食料安全保障にどう寄与するか。利点と限界を論じよ。」

完成したら、導入での主張/段落ごとの主題文/結論の三点を自分で抜き出して、論理の一貫性を確認しましょう。

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【ある人の例】食料安全保障の課題の小論文解答例

食料安全保障において、日本や韓国は主に輸入に依存した食料貿易を行っている。これと対照的に、インドや豪州、ブラジルなどは輸出量が輸入量を上回る積極的な貿易を展開している。

輸入に依存する国々が直面する問題は、世界経済の変動に対して脆弱性を抱えていることである。例えば、円高ドル安となれば一時的に輸入が有利となるが、逆に円安ドル高になれば食料輸入にかかるコストが増大する。この問題を解決するためには、国内での生産力向上が重要である。国が必要な食糧の一部を自給自足できるようになれば、外部の変動に対する抵抗力が高まる。国内生産の向上は、持続可能な農業の実践や技術の導入、農業者への経済的支援を通じて実現されるべきである。たとえば、日本国内ではドローンを活用した農薬散布や、AIを用いた収穫量の最適化といったスマート農業技術が導入されつつある。これにより、作業効率の向上とコスト削減が期待されている。また、輸出主導の発展途上国とも協力し、互いに補完し合う形で国際的な食料バランスを構築することが求められる。

一方で、発展途上国が行う輸出主導の貿易は、その国の農家にとって主要な収入源となっている。しかし、輸出先が見つからなかった場合や、輸入国が関税の引き上げや貿易取引の停止を決定した場合、収入が減少し、貧困問題が一層深刻化する可能性がある。この問題を解決するためには、単一の貿易国に依存するのではなく、多国間での貿易を進めることが重要である。たとえば、柔軟な多国間協定を通じて、関税や貿易制限に弾力的に対応できる仕組みを構築することが、食料貿易の安定性を高める有効な方法である。また、国際的な農業支援プログラムを通じて発展途上国への技術移転を進めることも効果的である。実際に、ブラジルでは日本の技術協力により、米の生産効率が向上した事例がある。このような協力を他の国にも拡大することで、持続可能な貿易の基盤を強化できる。

以上のように、食料安全保障の向上には、国内での生産力の向上と多国間貿易の強化が欠かせない。短期的には柔軟な多国間貿易の枠組みを整備し、発展途上国を含む貿易の安定化を図ることが必要である。長期的には国内生産力を高めることで、各国が外部の変動に左右されない食料供給の体制を確立することが求められる。新たな展望を見据え、国際協力のもとで食料安全保障を進化させることは、我々全員の責任である。これにより、持続可能な未来を構築するための第一歩を共に踏み出すことができるだろう。

日本の食料安全保障の図解

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