【2023年度】島根県立大学地域政策学部の小論文解答例「食料安全保障」

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【2023年度】島根県立大学地域政策学部(編入学試験)の小論文解答例「食料安全保障」です。改題となっています。

【問題】この2つの新聞記事の内容を踏まえ、まず日本の農政・食料安全保障が抱える課題を簡潔にまとめた上で、「食料安全保障」確保の観点から、私たちは何をなすべきかについて具体的に提言してください。なお、論述にあたっては、「政府は何をなすべきか」「農業従事者は何をなすべきか」「消費者は何をなすべきか」という論点を取り込み、600字前後で論述してください。

【改題】農産物の貿易は、食糧安全保障において極めて重要な問題です。グラフの内容を踏まえて課題を説明し、それに対するあなたの意見を700字以内で説明しなさい。

日本の食料安全保障の図解

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【ある人の例】食料安全保障の課題の小論文解答例

食料安全保障において、日本や韓国は主に輸入に依存した食料貿易を行っている。これと対照的に、インドや豪州、ブラジルなどは輸出量が輸入量を上回る積極的な貿易を展開している。

輸入に依存する国々が直面する問題は、世界経済の変動に直面する際に脆弱性を抱えていることだ。例えば、円高ドル安となれば一時的に輸入が有利となるが、逆に円安ドル高になれば食料輸入にかかるコストが増大する。この問題を解決するためには、国内での生産力向上が重要だと考える。国が必要な食糧の一部を自給自足できるようになれば、外部の変動に対する抵抗力が高まる。国内生産の向上は、持続可能な農業や技術の導入、農業者の支援などを通じて実現されるべきだろう。また、輸出主導の発展途上国とも協力し、互いに補完し合う形で国際的な食料バランスを構築することが求められる。

一方で、発展途上国が行う輸出主導の貿易は、その国の農家にとって主要な収入源となっている。しかし、輸出先が見つからなかった場合、収入が減少し打撃を受ける可能性がある。また、輸入国が関税の引き上げや貿易取引の停止を決定した場合、これまでの収入が見込めなくなり、発展途上国では貧困問題が一層深刻化するだろう。これを解決するためには、単一の貿易国に依存するのではなく、多国間での貿易を進めることが重要だと考える。たとえば、関税や貿易制限に弾力的に対応できる柔軟な多国間の協定が、食料貿易の安定性を高める方法だと考える。

以上のように、食料安全保障の向上には、国内での生産力の向上と多国間貿易の強化が欠かせません。これにより、国々は外部の変動に対してより強靭であり、持続可能な食糧供給を確保できる。新たな展望を見据え、国際協力のもとで食料安全保障を進化させることが、持続可能な未来を構築する第一歩となると考える。

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【添削・アドバイス】食料安全保障の課題の小論文

1.具体例の補強「持続可能な農業や技術の導入、農業者の支援」という部分は重要ですが、具体例を加えることで説得力が増します。たとえば、「スマート農業技術の導入」「地域特産品のブランド化」「政府による価格保証制度」などを具体的に挙げると、伝わりやすくなります。

例:持続可能な農業の一環として、日本ではスマート農業技術の導入が進んでいる。具体的には、ドローンを用いた農薬散布や、AIによる収穫量予測などが挙げられる。これにより、農作業の効率化とコスト削減が可能となり、生産力の向上が期待される。

2.課題の優先順位を明確にする
現在、国内生産力の向上と多国間貿易の強化という二つの大きな課題が提示されていますが、どちらがより優先されるべきかを少し明確にすると良いでしょう。たとえば、「短期的には多国間貿易の強化が必要だが、長期的には国内生産力の向上が基盤となる」などと補足することで、読者に具体的な行動の優先順位を示せます。

3.発展途上国に対する視点の補強
発展途上国の課題についても触れていますが、解決策がやや一般的です。「多国間貿易協定」に加え、具体的な支援策(例:国際的な農業支援プログラムの強化や技術移転)を示すことで、より実現可能な提案になります。

例:発展途上国の輸出依存を緩和するためには、国際的な農業支援プログラムを通じて技術移転を行うことが有効である。たとえば、ブラジルでは日本の技術協力により、米の生産効率が飛躍的に向上した事例がある。このような協力関係を他の国にも広げることが求められる。

4.結論部分の強調
最後の段落の「新たな展望を見据え、国際協力のもとで食料安全保障を進化させることが、持続可能な未来を構築する第一歩となる」という部分はよい結論ですが、行動を促すニュアンスを加えると、より印象的になります。

例:新たな展望を見据え、国際協力のもとで食料安全保障を進化させることは、我々全員の責任である。これにより、持続可能な未来を構築するための第一歩を共に踏み出せるだろう。

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【全体修正案】食料安全保障の課題の小論文

食料安全保障において、日本や韓国は主に輸入に依存した食料貿易を行っている。これと対照的に、インドや豪州、ブラジルなどは輸出量が輸入量を上回る積極的な貿易を展開している。

輸入に依存する国々が直面する問題は、世界経済の変動に対して脆弱性を抱えていることである。例えば、円高ドル安となれば一時的に輸入が有利となるが、逆に円安ドル高になれば食料輸入にかかるコストが増大する。この問題を解決するためには、国内での生産力向上が重要である。国が必要な食糧の一部を自給自足できるようになれば、外部の変動に対する抵抗力が高まる。国内生産の向上は、持続可能な農業の実践や技術の導入、農業者への経済的支援を通じて実現されるべきである。たとえば、日本国内ではドローンを活用した農薬散布や、AIを用いた収穫量の最適化といったスマート農業技術が導入されつつある。これにより、作業効率の向上とコスト削減が期待されている。また、輸出主導の発展途上国とも協力し、互いに補完し合う形で国際的な食料バランスを構築することが求められる。

一方で、発展途上国が行う輸出主導の貿易は、その国の農家にとって主要な収入源となっている。しかし、輸出先が見つからなかった場合や、輸入国が関税の引き上げや貿易取引の停止を決定した場合、収入が減少し、貧困問題が一層深刻化する可能性がある。この問題を解決するためには、単一の貿易国に依存するのではなく、多国間での貿易を進めることが重要である。たとえば、柔軟な多国間協定を通じて、関税や貿易制限に弾力的に対応できる仕組みを構築することが、食料貿易の安定性を高める有効な方法である。また、国際的な農業支援プログラムを通じて発展途上国への技術移転を進めることも効果的である。実際に、ブラジルでは日本の技術協力により、米の生産効率が向上した事例がある。このような協力を他の国にも拡大することで、持続可能な貿易の基盤を強化できる。

以上のように、食料安全保障の向上には、国内での生産力の向上と多国間貿易の強化が欠かせない。短期的には柔軟な多国間貿易の枠組みを整備し、発展途上国を含む貿易の安定化を図ることが必要である。長期的には国内生産力を高めることで、各国が外部の変動に左右されない食料供給の体制を確立することが求められる。新たな展望を見据え、国際協力のもとで食料安全保障を進化させることは、我々全員の責任である。これにより、持続可能な未来を構築するための第一歩を共に踏み出すことができるだろう。

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