「大人とは何か」という問いは、抽象的でありながらも人間の成長や社会性を問う本質的なテーマです。大学入試小論文では、自分なりの定義を示しつつ、社会的責任や精神的成熟、他者との関わり方をどう捉えるかが重要になります。
本記事では、「大人とは」というテーマに対する大学入試小論文の解答例を紹介し、論理展開の方法や具体的な書き方の工夫を解説します。抽象的テーマを論理的に整理する力を身につけ、入試本番に活かしましょう。
【問い】大人になるために必要なことについて、あなたの考えを800字以内で述べよ。
大人についての前提知識
基本的な定義として、成長して一人前になった人のことを指します。単に年齢だけでなく、精神的な成熟と社会的責任を持つ人として定義されます。
多角的な視点

- 年齢的側面…法的に成人となる年齢
- 身体的側面…体の発育完成
- 精神的側面…思慮分別の獲得
- 社会的側面…責任能力の保持
"大人であろうとすることが大人である"

- 大人らしさの特徴…「大人らしい」とは、精神状態や物事の見方が成熟していることを意味します。自己責任を持ち、他者への配慮ができ、冷静な判断力を持つことが重要な要素です。
- 歴史的変遷…戦国時代の日本では、武士の子は12-13歳で元服し、大人としての覚悟と振る舞いが求められました。現代では法的成人年齢は18歳ですが、精神的な成熟はより個人差があります。
- 哲学的考察…大人と子どもの境界は明確ではありません。年齢だけでは決まらず、経験、責任感、社会への貢献意識など、複合的な要素によって形成されます。

「大人とは」についての小論文解答例
私は大人になるためには、自分の行動に責任を持つことが不可欠だと考える。「大人」という言葉には、様々な意味が込められており、それは個人の視点や社会の期待によって異なる。共通して言えることは、大人とは自己責任を伴う存在であると定義できるだろう。
まず、「子供」と「大人」には明確な違いがあります。その最大の違いは、子供には親という責任者がついていることだ。子供が問題を起こした場合、親はその解決の責任を負う。例えば、ある家庭の子供が他者に怪我を負わせた場合、治療費を負担するのは親の責任でしょう。子供は親の支えを受け、成長する過程で徐々に自立していく。しかし、大人は自らの過ちに対処し、その結果を受け入れる必要がありる。大人になるとは、自己責任を全うすることと言えるでしょう。
次に、大人にとって重要なのは仕事への責任だ。大人は責任を果たすために、覚悟と自己管理が必要である。その一例として、19歳の若者のエピソードがある。彼は苦しい境遇から抜け出すために、被災地で働き始めた。そこで学んだ教訓の中で、仕事に対する真摯な姿勢があった。先輩からのアドバイスにより、任された仕事を最後までやり遂げることの重要性を理解し、責任感を持って仕事に臨んでいくこととなった。大人になるとは、他者に頼らず自己責任を持ち、課せられた仕事を責任をもって遂行することも含まれるでしょう。
大人になると、子供時代よりも多くの自由が手に入りますが、それに伴い責任も増加する。一人前として扱われ、権利が与えられる一方で、社会から期待される責任も増していく。これらの理由から、大人になるためには自らの行動に責任を持つことが不可欠であると結論づける。
「大人とは」についての小論文の講評(抜粋)
論文は大人になるための責任の重要性を理解しやすく示しています。子供と大人の違いや、仕事における責任感の例を通じて、自己責任の概念を具体的に説明しています。また、被災地で働く19歳の若者のエピソードを通じて、責任感の重要性を実際の経験から示している点はよかったです。
【改善点】
(原文○)「その最大の違いは、子供には親という責任者がついていることだ」
(修正案)「子供は親によるサポートを受けるが、大人は自己責任を負う」
(原文△)「大人になると、子供時代よりも多くの自由が手に入りますが、それに伴い責任も増加する。」
(修正案)「大人になると、自由が増える一方で責任も増す」
・論理展開を明確化…子供と大人の違い → 仕事を通じた責任 → 自由と責任の両立 → 結論、という流れで整理。
・表現を学術的に精緻化…「でしょう」や「〜と言えるでしょう」を「〜である」と断定調に統一し、論理的な印象を強化。
・具体例の位置づけを強化…19歳の若者のエピソードを単なる事例で終わらせず、「大人になるとは何か」の論旨に結びつけた。
大人とは|全体修正案
私は、大人になるためには、自らの行動に責任を持つことが不可欠であると考える。「大人」という言葉には多様な意味が込められており、個人の視点や社会の期待によって解釈は異なる。しかし共通して言えるのは、大人とは自己責任を担う存在であるという点である。
まず、「子供」と「大人」の違いは、責任の所在にある。子供には親という保護者が存在し、行為の結果に対する責任は親が引き受ける。例えば、子供が他者を怪我させた場合、治療費を負担するのは通常親の責任である。子供は親の支えを受けながら徐々に自立へと向かうが、大人はもはや他者に依存できず、自らの過ちに対処し、その結果を引き受けなければならない。大人になるとは、自己責任を引き受ける主体へと成長することだと言える。
次に、大人にとって重要な責任の場は仕事である。仕事は単なる生計の手段ではなく、社会的役割を果たす行為であり、他者との信頼関係を築く基盤である。ここで象徴的な例として、被災地で働き始めた十九歳の若者の体験を挙げたい。彼は厳しい環境の中で、任された仕事を最後までやり遂げることの重みを学んだ。先輩からの助言を通じて、仕事に対して責任感を持つことの重要性を理解し、自らの成長につなげていった。この経験は、大人になるとは自己責任を自覚し、与えられた役割を果たす覚悟を持つことであることを示している。
さらに、大人は子供時代よりも多くの自由を手にするが、それと同時に社会から課せられる責任も増していく。権利と自由は責任と不可分であり、責任を果たしてこそ一人前として認められる。大人になるとは、自由と責任を両立させ、社会の一員として役割を果たしていくことに他ならない。
以上より、大人とは自らの行為に責任を持ち、社会的役割を果たす主体であると結論づけたい。自己責任を引き受ける覚悟こそが、大人と子供を分ける決定的な要素なのである。
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