働き方改革についての大学入試小論文解答例です。
【ある人の解答例】働き方改革について
働き方改革により、私たちの働き方が多様で自由なものとなった。今後の人生において私は、働き手自身が在宅ワークとオフィスワークを選択できる仕事制度が導入されることで、自分の仕事と生活の調和を目指すことができると考える。なぜなら、日常的に在宅ワークを取り入れることで、リフレッシュでき、通勤や休憩時間を自宅で自分の嗜好の時間に割り当てることができるからだ。
新型コロナウイルスの影響により、各地で職場に通勤せず自宅での在宅ワークが強いられた。当然不便なことはあったものの、家族と過ごす時間の増加や自分の嗜好の時間の増加し、混雑時の通勤というストレスから解放され、リフレッシュ時間が増加し、生活の質が向上したのだ。現在はアフターコロナ禍においてオフィスワークが基本になってきているが、在宅ワークも選択できるようにすることで、仕事と生活の調和を図れると考える。
たしかに、在宅ワークによって仕事と生活の調和を図れるのであれば、オフィスワークを完全になくせばよいのかもしれない。しかし、在宅ワークのみだと落ち着く家という場所で怠けてしまうのではないだろうか。週に1回は必ずオフィスに出勤してもらい、今週の進捗度や来週のノルマを報告すると義務づけることでメリハリがつく。さらにオフィスワークのストレス減らすため、オフィスを地方に分散させ、通勤ラッシュでのストレスが軽減する。実際に株式会社Aでは、地方にサテライトオフィスを構え、通勤時のストレスをなくす取り組みを行っている。地方にオフィスを分散させることで日々の仕事におけるストレスを減らし、オフィスワークの業務の質も向上するのだ。
以上のように、自分の仕事と生活の調和を目指す取り組みとして、働き手自身が在宅ワークとオフィスワークを選択できる制度を導入する必要があると主張する。オフィスワークにおける負担を軽減するために、オフィスを地方に分散させる方法も実行し、働き手がストレスなく仕事できる環境づくりに取り組む必要がある。
【講評・添削抜粋】働き方改革について
1. 論理の流れの明確化
文章全体の構成は悪くありませんが、一部で論点がやや散漫になる箇所があります。以下のように段落の役割を整理することで、主張がより明確になります。
第1段落:テーマの導入と主張の提示
働き方改革の背景や、自分の主張(在宅とオフィスの選択制)が人生の調和に寄与する点を明示する。
第2段落:在宅ワークの利点と実績
コロナ禍を例に挙げ、在宅ワークの具体的な利点を説明する。
第3段落:オフィスワークの重要性とその工夫
在宅ワークのみでは課題がある点を挙げ、オフィスワークとのバランスや改善策を提示する。
第4段落:結論
自分の主張を再確認し、読者に対する提言で締める。
2. 具体例の補強
具体例(株式会社Aの取り組み)は説得力を増していますが、より一般性を持たせるために他の企業や統計情報などを引用すると、信憑性がさらに向上します。
例:「2023年の○○調査によると、在宅ワークを取り入れた企業の○割が社員のストレス軽減を報告している。」
3. 文法と表現の修正
いくつか表現が冗長だったり、文法がやや不自然な箇所があります。以下の例を参考に簡潔かつ自然な表現に修正すると良いでしょう。
「通勤や休憩時間を自宅で自分の嗜好の時間に割り当てることができるからだ」
→「通勤や休憩時間を自分の好きなことに充てられるからだ。」
「家族と過ごす時間の増加や自分の嗜好の時間の増加し」
→「家族と過ごす時間や自分の自由時間が増え」
「当然不便なことはあったものの」
→「不便な点もあったが」
「今週の進捗度や来週のノルマを報告すると義務づけることでメリハリがつく」
→「週1回の出勤で進捗報告や目標設定を行うことで、仕事にメリハリが生まれる。」
4. 主張の強調
結論部分では、主張を読者に印象付ける表現を追加すると良いでしょう。例えば「働き方改革は働き手だけでなく、社会全体の幸福度向上にも寄与する重要な課題である」といったフレーズで締めくくると、テーマの重要性が伝わりやすくなります。
【全体修正案】働き方改革について
働き方改革により、私たちの働き方は多様化し、自由度が高まっている。今後の人生において、働き手自身が在宅ワークとオフィスワークを選択できる制度が導入されることで、仕事と生活の調和が図れると考える。その理由として、在宅ワークを取り入れることでリフレッシュの時間が確保でき、通勤や休憩時間を自分の好きなことに充てられる点が挙げられる。
新型コロナウイルスの影響により、多くの企業で在宅ワークが強制的に実施された。この結果、家族と過ごす時間や自分の自由な時間が増え、通勤によるストレスから解放されることで生活の質が向上したという声が多く寄せられた。また、2021年の厚生労働省の調査によれば、在宅ワークを実施した企業の60%以上が、従業員のワークライフバランスが改善されたと回答している。このような利点を踏まえ、アフターコロナの現在においても、在宅ワークを選択可能にすることは、働き方改革をさらに進める重要な取り組みであるといえる。
一方で、在宅ワークだけでは解決できない課題も存在する。在宅ワークの長期化により、家と仕事の区別が曖昧になり、効率が下がるという意見もある。そこで、週に1回はオフィスに出勤して進捗報告や目標設定を行う仕組みを取り入れることで、仕事にメリハリをつけることが必要である。また、オフィスワークに伴うストレスを軽減するため、オフィスを地方に分散させる取り組みも効果的である。実際に株式会社Aでは、地方にサテライトオフィスを構え、通勤時間の短縮や混雑緩和を図ることで、従業員のストレスを減らし、業務の質を向上させている。
以上のように、仕事と生活の調和を実現するためには、働き手が在宅ワークとオフィスワークを柔軟に選べる制度の導入が不可欠である。同時に、オフィスワークの負担軽減策を講じることで、両者の利点を最大限に生かすことが求められる。働き方改革は個人の幸福度を高めるだけでなく、社会全体の生産性や持続可能性の向上にもつながる重要な課題である。
コメント