商店街の衰退の現状についての大学入試小論文解答例です。
【問題】商店街の衰退について、現状をやむを得ないと受け入れるか否か。本文を参考にしながら、あなたの考えを加味し「消費者の利益」と 「他の諸価値」という二つの視点を対比させて、あなたの考えを述べよ。
【ある人の例】商店街の衰退の小論文解答例
商店街の衰退について、現状をやむを得ないと受け入れる。
交通手段の変化や情報技術革新により、多くの消費者が商店街で買い物をすることがなくなった。このように商店街は消費者の利益がないため、さびれてきた。消費者なしに商売は成立しないし、商売が成立しなければ、満足な生活を送ることは困難である。生活に苦しむ人を社会からなくすための一歩として現状を受け入れるべきだ。
実際に私の友人の両親は以前、商店街で商売をしていた。利益がほとんどなく、金銭的な問題に苦しみ、食事は栄養バランスが偏っているのはもちろん、量が少なく、体調をよく崩していた。しかし、閉店して安定した収入が得られる仕事に就いてから、友人は毎日元気に登校するようになり、笑顔も増えた。
確かに商店街は、人の優しさを肌で感じられるような地域コミュニティの場所であるかもしれない。しかし、私の住んでいる町の近くに商店街はないが、近隣の方と毎日あいさつし、交流がある。それに加え、ショッピングセンターではあらゆる年齢層の方が買い物を楽しむ様子が見受けられる。すなわち、商店街のない町が人との交流がない、さびしい町ではない。
以上のことより、商店街がなくなることは地域のコミュニティの断絶を意味しない。経営そして生活に苦しむ人を減らすためにも商店街の衰退の現状を受け入れるべきだ。
【添削・アドバイス】商店街の衰退の小論文
1.主張の明確化
冒頭の主張「現状をやむを得ないと受け入れる」をもう少し具体的に表現すると良いでしょう。例えば、「商店街の役割が時代とともに変化している現状を認め、新たな地域社会の在り方を模索すべきだ」とすることで、前向きな印象を与えられます。
2.背景説明の強化
冒頭部分で商店街衰退の理由について述べていますが、分かりやすくするために、少し補足を加えると良いでしょう。
例えば
・交通手段の変化 → 「車社会の普及や郊外型ショッピングモールの増加」
・情報技術革新 → 「オンラインショッピングの普及」
これらを具体的に説明すると、商店街が衰退した背景がより理解しやすくなります。
3.具体例の活用と配分
友人のエピソードは説得力がありますが、文章全体に占める割合がやや大きいため、少しコンパクトにまとめることを検討してください。
以下のように修正できます。
例「実際、私の友人の両親もかつて商店街で商売をしていましたが、利益が少なく、生活が厳しい状況に直面していました。しかし、閉店後は安定した収入を得られる仕事に就き、家庭全体の生活が向上しました。」
このようにすることで簡潔さが増し、文章のバランスが良くなります。
4.反論への配慮
商店街の価値を認めつつ、その限界を指摘する部分(地域コミュニティの役割)について、もう少し深く掘り下げると説得力が増します。
例えば、次のような補足を加えると良いでしょう。
「確かに商店街は、人とのつながりを育む場としての価値がありました。しかし、現在ではSNSや地域イベントなど、商店街以外の場でもコミュニティを形成する手段が増えています。」
5.結論の再構築
結論部分では「衰退の現状を受け入れる」という主張を補強するために、ポジティブな視点を追加すると良いでしょう。
例えば「商店街の衰退をただ嘆くのではなく、地域社会全体の新しい形を模索することで、より多くの人が幸せに生活できる環境を目指すべきです。」
【全体修正案】商店街の衰退の小論文
商店街の衰退について、現状を受け入れる。交通手段の発展やオンラインショッピングの普及により、多くの消費者が商店街を利用しなくなった。商店街が提供する価値が現在の生活スタイルに適合しなくなった結果、衰退が進んでいると言える。この現状を受け入れ、新しい地域社会の形を模索することが必要である。
実際、私の友人の両親もかつて商店街で商売をしていた。しかし、利益がほとんどなく、家計は厳しい状況にあった。閉店後は安定した収入が得られる仕事に就き、家庭全体の生活が向上したことで、友人は以前よりも学校生活を楽しみ、笑顔が増えた。商売に苦しむ人々が新たな道を見つけることは、本人だけでなく家族や周囲の人々にも良い影響を与える。
確かに商店街は、地域コミュニティの中心として重要な役割を果たしてきた。しかし、現代ではSNSや地域イベント、ショッピングセンターなど、新たな交流の場が存在している。私の住む町には商店街がないが、住民同士が日常的に挨拶を交わし、交流を深めている。商店街がないからといって人のつながりが失われるわけではない。
以上のことから、商店街の衰退は必ずしも地域コミュニティの断絶を意味しない。商店街の現状を受け入れ、そこから新しい地域社会の在り方を構築することが、多くの人々がより良い生活を送るための第一歩となるのだ。
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