地球温暖化は現代社会が直面する最も深刻な課題の一つであり、大学入試小論文でも頻出のテーマです。原因や影響を多角的に捉え、持続可能な社会に向けた解決策を論理的に展開できるかどうかが評価のポイントになります。
本記事では、地球温暖化をテーマにした小論文の解答例を提示するとともに、書き方の流れや構成の工夫について解説します。環境問題への理解を深めつつ、実際の試験で活用できる表現力と論理展開の方法を学びましょう。
【問題】図1~3は大気中と海水中の二酸化炭素濃度および海水のpHの推移を示したものである。この図から読み取れることについて以下の注意事項に従ってあなたの考えを800字以内で述べなさい。



地球温暖化についての現状
大気中二酸化炭素濃度

- 産業革命前(1850年頃)…280ppm
- 現在(2024年)…420ppm ↗ +51%増
- 年間増加率…約2.0ppm/年 ↗
海洋のCO₂吸収と変化

- 海洋CO₂吸収割合…約30%
- 海水中CO₂濃度…増加継続
- CO₂吸収能力…低下傾向
海洋の変化
- 大気中CO₂の約30%を海洋が吸収
- 海水温上昇により吸収能力が低下
- CO₂が溶けることで海水が酸性化
海水pH(海洋酸性化)

- 産業革命前のpH…約8.2
- 現在のpH…約8.1
- 10年あたりpH低下率…0.018
- 2100年予測pH…約7.8
酸性化の影響
- 貝類・サンゴの殻形成困難
- 海洋生態系への深刻な影響
- 水産業・観光業への経済的影響
- 食物連鎖への広範囲な影響
相互関係と影響

- 負のフィードバック循環
- 大気CO₂増加 → 海洋吸収 → pH低下
- 海水温上昇 → CO₂吸収能力低下
- 海洋酸性化 → 生態系破壊 → 炭素循環悪化
- 結果として地球温暖化が加速
地球温暖化についての小論文解答例
この図から読み取れる現象は三点ある。第一に、大気中の二酸化炭素濃度が一九五〇年以降、途絶えることなく上昇し続けている点である。第二に、海水中の二酸化炭素濃度も一九九〇年以降、同様に増加傾向を示している。第三に、海水のpHが一九九〇年代から低下し続けており、海洋の酸性化が進行していることが読み取れる。
これらの現象の背景には、人間活動の拡大が深く関係している。大気中の二酸化炭素濃度上昇の主因は、工業化の進展に伴う化石燃料の大量消費である。工場や自動車などから排出される二酸化炭素が大気中に蓄積し、温室効果を高めている。また、海洋は地球上の炭素循環において重要な役割を担うが、大気中の二酸化炭素濃度が増加することで、海水への吸収量も増加し、結果として海水の酸性化が進む。この「海の酸性化」は、サンゴ礁や貝類など炭酸カルシウムを主成分とする生物に深刻な影響を及ぼすだけでなく、海洋生態系全体のバランスを崩す要因となっている。
もしこの状況が放置されれば、地球の自然環境や気候システムは回復不能な変化を被り、人間の生存基盤そのものが脅かされるだろう。したがって、今後は各国が一層の協調を図り、二酸化炭素排出量の削減に向けた実効的な取り組みを強化することが不可欠である。特に、工場などの産業部門においては、エネルギー効率の向上や脱炭素技術の導入を進めるとともに、再生可能エネルギーへの転換を加速させる必要がある。火力発電や原子力発電に依存したエネルギー構造から脱却し、太陽光発電、風力発電、バイオマス発電、さらには地熱や床発電など、多様なクリーンエネルギーを組み合わせることで、持続可能なエネルギー社会の実現が見えてくるだろう。
しかし、政府や企業の努力だけでは限界がある。私たち一人ひとりの生活意識の変化もまた、気候変動対策の柱の一つである。例えば、通勤や通学の際に自家用車を使わず、電車やバスなどの公共交通機関を積極的に利用すること、やむを得ず車を使用する場合でも、電気自動車やハイブリッド車など環境負荷の少ない車を選ぶことが重要だ。また、買い物の際にはマイバッグや水筒を利用し、使い捨てプラスチックの削減に努めることも有効である。これらの行動は一見小さな努力に見えるが、社会全体で積み重ねれば大きな変化を生み出す力となる。
さらに、農業や食生活の面でも地産地消を推進することで、輸送過程で発生する二酸化炭素排出量を削減できる。地域内で生産されたものを地域で消費するという循環型の経済は、環境負荷を軽減するだけでなく、地域社会の活性化にもつながる。地球環境の保全と地域の共生は、相反するものではなく、むしろ両立を目指すべき課題である。
私たちは「環境問題」という言葉を耳にするたびに、その規模の大きさゆえに自分とは無関係な遠い問題だと感じがちである。しかし、日々の電気の使い方、交通手段の選び方、消費行動のあり方など、私たちの生活そのものが地球環境の未来を左右している。つまり、持続可能な社会の実現には、一人ひとりの意識と行動の変革が欠かせない。
小さな行動の積み重ねこそが、最も確実な変化を生む力となる。地球にやさしい選択を日常の中で意識的に行うことが、結局は私たち自身の命と生活を守る最も近い道であると、私は考える。
地球温暖化についての講評一部公開
地球温暖化に関する情報を明確に説明し、対策を提案しています。問題提起や提案がしっかりとされており、基本的な構造も整っています。より具体的な情報や背景を加え、提案をより実現可能なものにすると、論文がより深い洞察と影響力を持つものになるでしょう。
【改善点】
論文の構成:論文の構成や論理的な流れが明確であるかを確認してください。導入、本文、結論が適切に設定され、内容が整理されていることが重要です。
引用と根拠:あなたの主張や提案を支持するために、信頼性の高い情報源やデータを引用しましょう。科学的な研究、統計データ、学術論文などを引用できるときは、積極的に記述しましょう。
提案の具体性:提案した対策が具体的で実現可能なものであることを確認しましょう。エネルギー転換や省エネルギー生活などの具体的なアクションプランを示すことができるとよかったです。
原因の詳細な説明:大気中の二酸化炭素濃度の増加の原因が「工場や自動車などの大気汚染」とされていますが、これをもう少し具体的に説明し、科学的な背景やメカニズムを追加するといいです。
【より高みを目指して】
自分が分かること、知っていることを羅列しただけの印象です。
そういう印象をもたれるのは、「接続詞(赤)」の使い方に工夫がないからです。また、「話し言葉に近く回りくどい(青)」箇所が目立つからでしょう。
地球温暖化についての添削一部公開
(添削➊)接続詞について
また、また、また、と3連続! いつまで、またが続くのってなってしまいます。
Aが最重要であるって言っているのに、さらに、また、また、また、ってのもおかしいですよね。最重要って何?ってなります。
案としては、
これらが続けば、地球上の自然、気候、地形に異常をきたし、やがては人々の命や生活を守れなくなるだろう。
考えられる対策は大きく5つある。
1つ目は~だ。
2つ目は~だ。
3つ目は~だ。
4つ目は~だ。
そしても最も重要なのは~だ。
というように、箇条書き風にして、最後に最重要なことを持ってくるとか。工夫の余地はあります。
(添削➌)話し言葉に近く回りくどいことについて その1
(原文×)また、私たちも日ごろの生活の中で、省エネ生活をすることが重要だ。例えば、自動車での通勤を電車、バスと言った公共機関を使うようにし、どうしても移動する際に自動車が必要な場合はガソリン車ではなく、電気自動車やハイブリッド車といった環境に優しい自動車を使い、また、微々たるものではあるが、レジ袋やペットボトルなどのゴミとなってしまうものからマイバッグや水筒などの繰り返し使えるものを積極的に使い、二酸化炭素排出を抑える努力を惜しまないようにするべきだ。
(修正案)2つ目は、私たちの日常生活で、省エネを日課にすることだ。例えば、緊急の場合の除き、自動車での通勤を電車、バスと言った公共機関を使用だ。自動車を電気自動車やハイブリッド車への転換も一つだろう。ゴミを減らすのも有効だ。たとえば、レジ袋やペットボトルでなく、再利用可能なマイバッグや水筒などにする。このように日常で可能な省エネはある。
⇒一文が長すぎです。
(添削➎)話し言葉に近く回りくどいことについて その2
(原文×)小さい事だと思えることでも、日々、意識して地球にやさしい生活をすることが、結局は、私たちの地球、命、生活を守る近道なのだと、私は考える
(修正案)このように二酸化炭素の排出削減に目を向けて生活することが、地球の環境保全、ひいては私たちの生活を守るのだと私は考える。
⇒一貫して、二酸化炭素の排出削減について述べてきているわけですから、簡潔に、このように二酸化炭素の排出削減に目を向けて生活することが、大事なんだというニュアンスのまとめでいいですよね。
よく挙げられる地球温暖化に対する対策
■温室効果ガスの削減
- 再生可能エネルギーの促進 (太陽光、風力、水力など)
- エネルギー効率の向上 (省エネルギー機器の利用など)
- 無ガス排出のオプションの検討 (電気自動車、電気化石燃料、非発生エネルギー供給)
■持続可能な交通手段の促進
- 公共交通機関の拡充と利用の促進
- 歩行や自転車の利用の奨励
- 道路輸送の効率化と渋滞の軽減
■森林保護と森林再生
- 恒久的な森林保護地域の設定と拡大
- 森林の持続可能な管理と再植林プログラムの推進
- 適切な森林伐採や荒廃の防止
■持続可能な農業と食品生産
- 有機農業や持続可能な農業手法の促進
- 食品の廃棄物削減と再利用の推進
- 低温の保存とトランスポートの効率化
■建築物と都市のエネルギー効率の向上
- エネルギー効率の高い建物の設計と建設
- 施設のエネルギー消費の監視と削減
- 持続可能な都市計画と排水処理の改善
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