【2021年度】横浜市立大学国際商学部の小論文解答例「ダイバーシティ・多様な人材雇用」です。
【ある人の例】多様な人材を企業が雇用するメリットとデメリットの小論文解答例
多様な人材を企業が雇用するメリットとして、1つの問題に対して様々な観点から取り組むことが可能になることが挙げられる。人種、性別、年齢などの異なる多様な人材を雇用することで、それぞれが異なったアイディアを持ちよることが可能になる。結果として議論が活発化し、より洗練された答えを出すことができるようになると考える。
一方、デメリットとして、思想、信仰宗教などによる根本的な価値観の違いが挙げられる。ある国の人にとっては、何の問題のない、常識的なことであっても、別の国の人にとっては到底受け入れ難いものである、といったときがある。この場合、両者における考えの違いがあまりに大きく、議論が全くまとまらないということが考えられる。
【添削・アドバイス】多様な人材を企業が雇用するメリットとデメリットの講評
1.具体例の追加
抽象的な説明だけでなく、具体的な事例を加えるといいです。(※字数が600文字以上の場合)
メリットの部分
「例えば、グローバル企業が多国籍の人材を雇用する場合、各国の文化や市場に関する知見を活かし、新製品のアイディアやマーケティング戦略を多角的に構築できる。」
デメリットの部分
「例えば、宗教的価値観の違いによって、あるチームメンバーが特定の曜日に働けないという状況が生じた場合、他のメンバーに負担がかかる可能性がある。」
2. 課題解決への提案
デメリットの部分で終わるのではなく、それをどう克服できるかについて触れると、バランスの取れた文章になります。
「しかし、このような価値観の違いを克服するためには、チーム内でのオープンなコミュニケーションや、多様性を受け入れる文化の醸成が重要である。具体的には、定期的な研修や意見交換の場を設けることで、相互理解を深めることができる。」
3. 言葉の選び方
「可能になる」「考えられる」といった表現が繰り返されているため、文章が単調に感じられます。類義語や異なる表現を活用しましょう。
「それぞれが異なったアイディアを持ちよることが可能になる」
→ 「それぞれの個性や専門性を生かした多様なアイディアが集まる」
「議論が全くまとまらないということが考えられる」
→ 「議論が行き詰まり、意見が一致しない場合もあり得る」
【全体修正案】多様な人材を企業が雇用するメリットとデメリットの小論文
多様な人材を企業が雇用するメリットとして、1つの問題に対して多角的なアプローチが可能になる点が挙げられる。人種、性別、年齢などの異なる背景を持つ人材を採用することで、各自が独自の視点や経験に基づくアイディアを提供できる。例えば、グローバル市場を対象とした商品開発において、多国籍のチームであれば各地域のニーズを反映した戦略を構築しやすい。これにより、議論が活発化し、より洗練された結論に至る可能性が高まると考えられる。
一方で、デメリットとして、思想や信仰、文化的背景による価値観の違いが挙げられる。例えば、宗教的理由であるメンバーが特定の曜日に働けない場合、他のメンバーへの負担が増えることがある。また、ある国では常識的とされる行動が、別の国の人々には受け入れ難いこともある。このような場合、意見の対立が激化し、議論が停滞するリスクも否定できない。
しかし、これらの課題を克服するためには、互いの違いを尊重し、共通点を見出す努力が重要である。具体的には、社員同士の相互理解を深めるための研修や定期的なディスカッションの場を設け、多様性を組織の強みとして活用できる環境を整える必要がある。
【豆知識】ダイバーシティに関する視点
<メリット>
・多様な価値観を持つ世界中の顧客ニーズにマッチするような商品開発やサービス提供が可能
・少子高齢化に伴い人手不足の深刻化してきおり、それを補う働き手の確保につながる
・多様な人材は異なる文化や消費者のニーズに敏感であり、これが企業が国際市場でより柔軟に適応し、競争力を強化につながる。
<デメリット>
・コミュニケーションの部分で課題(情報を正確に伝えることが難しかったり、誤解を与えたりと予期せぬ認識の齟齬が発生する可能性)
・アイデアや意見が出過ぎて、生産性が落ちる可能性
・多様なチームをリードするためには、リーダーシップスキルや文化的な理解が求められ、これが不足するとチームの調和が損なわれる可能
↓
<解決策>
・ダイバーシティに関する指針を明確にすることが大事
・一人ひとりの従業員の意見を尊重する
・属性に囚われることなく成果で評価する
■トレーニングと教育プログラムの導入
異なるバックグラウンドを持つ従業員向けのトレーニングや教育プログラムを提供することで、相互理解やコミュニケーションスキルの向上が期待できます。これにより、異なる価値観や文化に対する理解が深まり、チーム全体の協力が促進されます。
■ダイバーシティを尊重する企業文化の構築
企業は、異なるバックグラウンドを尊重し、受け入れる文化を醸成する必要があります。リーダーシップからの積極的なサポートや、異なる意見を歓迎する風土を醸成することで、価値観の衝突や対立を最小限に抑えることができます。
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