2019年度の久留米大学医学部看護学科(看護学科)小論文では、「環境問題を1つ挙げ、『私たちにできること』についてあなたの考えを述べなさい(600字以内)」という設問が出されています。この記事では、出題の背景をふまえながら、どのような観点で環境問題を捉え、看護・医療の文脈も意識した小論文としての書き方・構成のポイントを解説します。受験生の皆さんが「環境×看護」という視点で自らの考えを論理的に展開できるよう、実例をもとにわかりやすく整理しています。
テーマ:「環境問題を一つ挙げ、『私たちにできること』についてのポイント
① 出題意図の理解

この設問は、単なる環境問題の知識を問うものではなく、
- 社会的課題を自分事として考えられるか
- 看護職を志す者としての倫理観・行動意識を持っているか
- 論理的に自分の考えを表現できるか
を評価する目的があります。
したがって、環境問題そのものを詳しく説明するよりも、「自分の立場で何ができるか」を具体的に述べることが重要です。
② 構成の基本(600字構成例)

【序論】問題提起(約150字)
「現代社会では~」といった一般的導入から始める。
地球温暖化、プラスチックごみ問題など、具体的に一つを挙げる。
「この問題は私たちの健康や生活にも深く関係している」という形で、看護・医療とのつながりを示す。
例:
現代社会では、使い捨てプラスチックの増加による海洋汚染が深刻化している。この問題は生態系だけでなく、人間の健康にも悪影響を与える可能性がある。医療や看護の分野においても、環境に配慮した行動が求められている。
【本論】原因と課題の分析(約200字)
- なぜこの問題が生じているのか、原因や背景を簡潔に述べる。
- 「便利さを優先する社会」「リサイクル意識の低さ」など、自分の視点で分析する。
例:
私たちは日常生活で便利さを優先し、安易に使い捨て製品を選んでしまう傾向がある。その結果、廃棄物の増加や資源の浪費が進み、地球規模の環境破壊につながっている。
【展開】「私たちにできること」(約200字)
- 設問の中心部分。自分自身の行動に即して述べる。
- 「看護を学ぶ者として」「医療に携わる立場として」という視点を入れると高評価。
例:
私たち一人ひとりが環境に配慮した選択を意識することが重要である。看護を志す立場としては、使い捨て資材の適切な使用や、節水・節電など小さな努力を積み重ねることで、環境保全に貢献できると考える。また、患者や地域住民への啓発活動も、看護の一環として実践できる。
【結論】まとめ・将来への展望(約100字)
- 自分の考えをもう一度簡潔にまとめる。
- 「看護職として社会に貢献したい」という前向きな姿勢で締めくくる。
例:
環境問題は一人では解決できないが、一人の意識から変えていくことはできる。将来は看護職として、健康と環境の両面から人々の生活を支える存在になりたい。
③ 書き方のポイントまとめ

| 観点 | 内容 |
|---|---|
| テーマ選び | 自分が関心を持てる環境問題を一つに絞る(例:地球温暖化、マイクロプラスチック、食品ロスなど) |
| 看護との関連性 | 「健康被害」「生活環境」「医療現場の廃棄物問題」などと結びつける |
| 具体性 | 自分の生活・学び・将来像に基づいた行動を提示する |
| 論理性 | 「原因 → 課題 → 自分にできること → 将来」など明確な流れで書く |
| 語彙・文体 | 専門用語よりもわかりやすい表現を心がけ、主張を簡潔に伝える |
④ 総括
この年の小論文は、環境問題を通して「人と社会のつながりを考える姿勢」が問われたといえます。
看護学科では、単に知識や対策を述べるだけでなく、「他者の健康・福祉を支える意識」をどのように自分の中に持っているかが評価の決め手になります。
久留米大学看護学科小論文(2019)解答例「環境問題」
環境問題の一つとして、気候変動が深刻な課題だ。地球温暖化による気温上昇や異常気象が影響を与え、生態系や人間の生活に多大なリスクをもたらしている。これに対処するためには、個人や社会全体が協力して持続可能な行動を取る必要がある。
まず、エネルギーの使用を見直すことが重要だ。再生可能エネルギーへの移行やエネルギーの効率的な使用は、二酸化炭素の排出を削減し、気候変動に対抗する手段の一環だ。個人としては、省エネルギー機器の利用や不要な電力の浪費を避けることが求められる。また、低炭素な移動手段の利用や、電気自動車の普及にも貢献できるだろう。
次に、廃棄物の管理を改善することが重要だ。リサイクルの促進や使い捨て製品の削減は、資源の有効利用を促進し、環境への負荷を軽減する。自分たちの生活スタイルを見直し、環境に優しい商品を選ぶことも大切である。消費者の選択が企業の取り組みに影響を与えるため、環境への配慮を重視した商品を選択することで、サプライチェーン全体にポジティブな影響を与えることができる。
さらに、森林保護や植樹活動も環境保全の重要な要素である。森林は二酸化炭素の吸収源であり、生態系の多様性を維持する役割も果たしている。個人としては、環境保護団体への支援や、地元の植樹活動への参加など、森林保護に資する活動に参加することができる。
以上のように、環境問題への対応は個人や社会全体の協力が不可欠だ。持続可能な行動を積極的に取り入れ、自らの生活を見つめ直すことで、私たち一人一人が環境への貢献を実現できると考える。
【一般論】環境問題と個人ができること
気候変動(温暖化)
個人の対応策: 再生可能エネルギーの利用促進、省エネルギー機器の導入、節電行動、低炭素な交通手段の選択(自転車、電気自動車など)。
プラスチック汚染
個人の対応策: プラスチックごみの削減(使い捨て製品の減少、リフィル容器の利用)、リサイクルの積極的な参加、ビーチクリーン活動への参加。
森林破壊
個人の対応策: 持続可能な木材の使用、不法伐採を防ぐための支援、植樹活動への参加、森林保全団体への寄付。
水資源の枯渇
個人の対応策: 節水意識の向上(水漏れの修理、使い水の再利用)、持続可能な農業と食事の選択、地元の水質保護プロジェクトへの参加。
生態系の破壊
個人の対応策: 野生生物の保護を支援する団体への寄付、持続可能な開発への賛同、生態系に配慮した観光活動の選択。
大気汚染
個人の対応策: 交通手段の改善(歩行、自転車、公共交通機関の利用)、エコカーの普及促進、エアコンや暖房の効率的な使用。
過剰な資源利用
個人の対応策: リサイクルの活用、不要な消費の抑制、中古製品の利用、環境に配慮した商品の選択。
環境教育の不足
個人の対応策: 環境問題について学び、理解を深める努力、環境保護団体への参加、地域での啓発活動のサポート。
環境問題は、個人ができることは幅広く、日常生活から小さな行動の積み重ねが大きな変化を生むことがあります。環境への配慮を意識し、行動に移すことが大切です。
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