インバウンド観光の課題と解決策:大学入試小論文の解答例と考察

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アフターコロナ禍において、日本の観光産業は外国人観光客の増加により活況を呈している。しかし、観光客の集中による交通混雑や環境負荷、地域住民との摩擦など、いわゆる「オーバーツーリズム」の問題が顕在化している。大学入試の小論文では、こうした現代的課題を踏まえた上で、具体的かつ論理的な解決策を示すことが求められる。本記事では、インバウンド観光の課題と解決策に関する小論文の解答例をわかりやすく整理する。

【問題】今後日本が観光立国になるために、インバウンドにおいて重要と思われる諸問題からひとつを取り上げて、その問題を改善するために今後どのような取り組みを行う必要があるかについて異分野融合的観点から850字以内で自分の考えを述べなさい。
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インバウンド(外国人観光客)の課題と解決策のポイント

インバウンド(外国人観光客)の課題と解決策のポイント
1. インバウンドの課題(問題点)
1. インバウンドの課題(問題点)①
1. インバウンドの課題(問題点)②

言語の壁

案内板やメニューが日本語だけで、外国人が理解できない。
店員や交通機関スタッフとのコミュニケーションが難しい。

観光地の混雑・環境問題
  • 人気観光地が観光客で混雑し、地域住民に迷惑。
  • ゴミや騒音など、地域の環境負荷が増える。
文化やルールの違いによるトラブル
  • マナーの違い(列に並ばない、ゴミを置きっぱなしなど)。
  • 日本の習慣・ルールを知らないための摩擦。
経済的な偏り

大都市や有名観光地に観光客が集中し、地方が恩恵を受けにくい。

安全・治安面

言語や情報の不足から、事故やトラブルに巻き込まれる可能性。

2. 解決策のポイント
2. 解決策のポイント①
2. 解決策のポイント②

多言語対応
  • 案内板・看板・メニューを英語や中国語、韓国語などに対応。
  • 翻訳アプリやQRコードで情報を提供。
観光の分散化
  • 地方観光やオフシーズン観光を促進。
  • 人気スポットだけでなく、地域の穴場も紹介。
マナー・文化教育
  • 外国人向けに簡単なマナーやルールを事前に案内。
  • SNSやアプリで観光客に注意喚起。
地域経済への還元
  • 地元の店や宿泊施設を利用してもらう仕組みづくり。
  • 地方体験ツアーや伝統文化体験の提供。
安全・安心の確保
  • 緊急連絡先や医療情報を多言語で提供。
  • 観光地のスタッフに外国語対応を教育。

以下、金沢大学観光デザイン学類の合格者のものとなります。

インバウンドの課題について小論文の解答例

コロナが収まり、日本の観光産業はかつてない回復を遂げている。インバウンドの増加は経済効果をもたらす一方で、地域社会にはさまざまな課題を生じさせる。特に、観光客の集中による「オーバーツーリズム」は深刻な問題である。私は、この解決策として、日本に宿泊税を導入すべきであると考える。なぜなら、観光客も一時的に地域社会の一員としてその地域の資源やインフラを利用する以上、適切な負担をする責任があるからである。

京都市を例にとると、インバウンドの急増によって交通機関の混雑が顕著になっている。特に市内バスでは、観光客がスーツケースを持ち込むことで、地域住民が乗車できない事態が発生している。宿泊税によって得た財源を地下鉄運賃の引き下げに充てれば、一部の観光客が地下鉄に移行し、バスの混雑緩和につながる。このように、宿泊税は単なる徴収手段にとどまらず、オーバーツーリズムを抑制しつつ地域交通の改善を図る政策的手段となり得る。

宿泊税の導入に対しては、観光客の不満も想定される。しかし、旅行者も滞在期間中は地域社会の利用者であり、一定の負担を負うことは合理的である。地域住民は住民税を納めているのと同様に、観光客も滞在中は「地域参加者」としての義務を果たす必要がある。

実際、イタリアのベネチアでは2023年1月より訪問客に入島税を徴収しており、オーバーツーリズム抑制の一助となっている。日本においても、宿泊税導入の意義を訪日前に航空機内で周知するなど、教育的手法と組み合わせることで、観光客自身が地域との共創を意識することが可能である。

以上のことから、日本で宿泊税を導入するとともに、教育的な情報提供を組み合わせることが、オーバーツーリズムの解消と観光地の持続的発展に資する。宿泊税は、インバウンドの経済効果を享受しつつ、地域社会との調和を図る有効な手段であるといえる。

インバウンドの課題についての考察

【新たな構成案】
「異分野融合的観点」という条件があるので、題意に沿っていることをより明確にする構成の仕方もあります。

原文をもとに、一部肉付けした構成は以下のようになるのかな。※キーセンテンスのみ。

・現状日本におけるインバウンドには、オーバーツーリズムという課題がある。
・この解決策には、交通整備の観点から宿泊税、テクノロジーの観点からダイナミックプライジングを融合的に取り入れることで解決が図られると考える。
・宿泊税については、~である。実際、イタリア~の成功例もある。
・一方、ダイナミックプライジングについては、現在導入されているものからテクノロジーを活用し、よりリアルタイムで価格の適正化を図る。~。
・以上のように、オーバーツーリズム解消には、交通整備とテクノロジーという観点から融合的に解決を図っていく必要がある。

【変動価格制(ダイナミックプライジング)】
同じ商品やサービスだったとしても、需給に応じて価格を変動させる仕組み
最近、様々な業界で導入されています。身近な例だと飛行機代や旅館・ホテルの料金はGWやお盆休みや年末年始等の大型連休の時に値段が上がっています。また、鉄道料金・電車代に導入しようとする動きは、JR等の鉄道各社だけではなく、国土交通省も検討を開始しています。
→インバウンドにあてはめると、これにより旅行日が分散するのかな。

【一般論】オーバーツーリズム以外のインバウンドの課題

<受け入れ側の観点>
・飲食、宿泊など観光関連業種の人手不足
・観光地の住民と観光客のトラブル

<旅行者側の観点>
・インバウンドのニーズが多様化、個別化しており、それに対応できていない。
・無料Wifiスポットが少ないなど、IoTやデジタル活用・普及の遅れ。

<メタ的な観点>
・観光資源の乱用。歴史的な建造物や景観が観光開発によって適切に保護されず、劣化する可能性がある。
・CO2排出など環境悪化。航空機、鉄道、バスなど長距離の移動による温室効果ガスの排出は計り知れない。
・観光地格差。人気があるところばかりに集まるのでオーバーツーリズムとなっている。もっと魅力ある観光地が増えれば、観光客は分散するのかな。

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