言葉の二面性の大学入試小論文解答例【文学部・教育学部】人文科学系です。
【要約】 言葉は、その地に住む先人が生存のために必要不可欠な生産活動をする上での条件の中から見出した事象や着目した側面に名を付けて発達した。後人がこうした語を手がかりに 外界を認識し、言葉を加えたり変更したりしながら生存を維持してきた点において、言葉は積極的な指針として働く面を感じ取る事ができる。一方で、先人の精神の営みや時代状況を反映した言葉を後人に選択の余地なく継承させる事は、人の意識を拘束する弊害の面である。
【問題】この文章を読んで、言葉の二面性について考えたことを論述しなさい。字数は800字程度とします。
言葉の二面性の小論文解答例
(主張)言葉は、先人が作ったその言葉を指針とした後人の活動を可能にする一方で、先人の時代とは精神の営みや時代状況が変化した世界で生きる後人の意識を拘束する弊害がある。
→主張のあとには、理由をもってくるのが一般的です。
(例と根拠)言葉が後人の意識を拘束する例として、「男尊女卑」という言葉がある。日本では江戸時代から、男性は生まれた時点で女性より身分が高いと考えられており、人々も男尊女卑を指針として、男性中心の流れに沿って動いていた。ところが第二次世界大戦後は男女の地位を平等にすべきという風潮が国内に流れた。女性に参政権が認められ、女性の社会進出が増加した。それにも関わらず、現在でもなお男女の格差が日本に存在する。これは、人々の意識の中にまだ「男尊女卑」という言葉が残っているからである。これが、筆者の言うところの言葉がもつ弊害であると考える。
(具体策)では、言葉がもつ指針と弊害という二面性において、弊害を解消するためには、どうすればいいのだろうか。私は、時代の流れに沿って、新しく強いスローガンを政府が打ち出していくべきだと考える。例えば男尊女卑という言葉の弊害をなくすためには、男女平等な社会を促進する政策を新たに導入することが最善策だと言う人もいるかもしれない。しかし、実際に1986年に施行された男女雇用機会均等法をはじめ、国内では男女平等な社会作りが進んでいるが、今でも男女格差は埋まらない。それに対し、2015年に安部政権が打ち出した「一億総活躍社会」のような強いスローガンは、老若男女問わず誰もが自分自身に可能性を感じたように、人々の意識から変えることができる。
(まとめ)一度人々の意識と深く結びついてしまった言葉を取り払うには、新しく強いスローガンに上書きすることが必要である。そのためには、国民に対し最も影響力の強い政府が、時代に沿ったスローガンを打ち出していくべきであり、それがマスメディアによって拡散されることにより、人々は常に時代に沿った言葉を自らの指針とし、言葉のもつ弊害を回避して、先人が作った言葉に縛られずに生活できるようになると考える。
言葉の二面性の小論文の添削一部公開
【添削➊】
(原文×)そのためには、国民に対し最も影響力の強い政府が、時代に沿ったスローガンを打ち出していくべきであり、それがマスメディアによって拡散されることにより、人々は常に時代に沿った言葉を自らの指針とし、言葉のもつ弊害を回避して、先人が作った言葉に縛られずに生活できるようになると考える。
(修正〇)そのためには、国民に対し最も影響力の強い政府が、時代に沿ったスローガンを打ち出していくべきである。それがマスメディアによって拡散されることにより、人々は常に時代に沿った言葉を自らの指針にできる。そうやって、言葉のもつ弊害を回避して、先人が作った言葉に縛られずに生活できるようになると考える。
⇒一文が長いので、一旦区切っていきましょう。「~あり、」「~し、」など句読点で続けていくと一文が長くなりがちなので、「~である。また、」「~である。そして、」などと続けていきましょう。
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