【2024年度】共立女子大学建築デザイン学部(公募制推薦)の小論文解答例「空き家問題」です。
【ある人の例】共立女子大学建築デザイン学部(2024)の小論文解答例「空き家問題」
空き家を増加させないためには、一度 古い家を壊して新しい家を作るならではなく、古い家をリノベーションする必要があると考える。古い家からインスピレーションを受け、1つ1つの家のクオリティを上げることが大事なのだ。そうすることで住宅としての価値を生み出せると思う。
高度経済成長期は狭いとして、いかに多くの住宅を建てるかが求められていた。しかし、現在は住宅の数ではなく質が求められると思う。多様性を受け入れる流れのある現代では、全ての人は暮らしやすい家を作ることに力を入れる必要があるのだ。今こそ空間や環境との調和を意識し、質の高い家を作り上げる期間ではないだろうか。ここで間違えていけないのは「昔の家は良くない」と考えてしまうことだ。
確かに、戦後の家は、数に焦点をあてていたため、これからの時代には需要が低いかもしれない。しかし、低コストでアパートを建てる技術や狭い範囲での収納方法は現代に生かせるだろう。数の需要が低下したため、昔のアパートの2部屋を隔てている壁を壊して広くし、1部屋を作ることもできる。昔のアパートは壁が薄く、取り外しやすい、全てを崩壊させないため、低コストでリフォームできる環境にもでき環境にも優しいのだ。過去と現在と未来で別々に住宅としての価値を探すのではなく、それぞれの時代の良さを受け継いで無駄のないリノベーションシステムを作りたいと考える。
【添削・アドバイス】共立女子大学建築デザイン学部(2024)「空き家問題」
<添削1>
最初の部分では「リノベーションの必要性」を主張していますが、もう少しスムーズに進めるとより説得力が増します。
例: 「空き家の増加を防ぐためには、古い家を壊して新しい家を建てるのではなく、既存の建物をリノベーションして活用することが重要だと考える。古い家には、その時代ならではの価値があり、それを生かしつつ現代に合った形で改良することが必要だ。」
<添削2>
「住宅の質」に言及している部分で、時代の変化に伴うニーズの違いをもう少し具体的に説明するとよいでしょう。
例: 「高度経済成長期には、限られた土地にできるだけ多くの住宅を供給することが重視されていた。しかし、現代では住宅の数ではなく、居住者のニーズに合わせた質が求められている。今後は、住宅の質を高めることで多様なライフスタイルに対応し、誰もが快適に暮らせる空間を提供することが大切だ。」
<添削3>
戦後の住宅についての具体的な活用例が少し散漫に感じられるので、リノベーションによるメリットをさらに明確にするとよいです。
例: 「戦後の住宅は、コスト削減と効率的な建設に重点が置かれていたため、現代のニーズにそのまま応えることは難しいかもしれない。しかし、例えば、狭いスペースを有効活用する収納技術や低コストでの建設技術は今でも参考にできる。また、古いアパートの間仕切りを取り除いて広い空間を生み出すことで、現代的なライフスタイルに合わせたリノベーションも可能だ。」
<添削4>
最後の部分では、リノベーションの意義をより強く伝えると良いでしょう。
例: 「過去の住宅と現代の住宅、そして未来のニーズを別々に捉えるのではなく、それぞれの時代の良さを組み合わせた持続可能なリノベーションを進めることが、無駄を省きつつ価値を生み出す鍵となるだろう。」
【全体修正案】共立女子大学建築デザイン学部(2024)「空き家問題」
空き家の増加を防ぐためには、古い家を壊して新築を建てるのではなく、既存の住宅をリノベーションして再活用することが重要だと考える。古い住宅には、その時代特有の魅力や工夫が詰まっており、それらを活かしながら現代のニーズに応じた改良を加えることで、新たな価値を生み出すことができる。
高度経済成長期には、限られた土地に多くの住宅を供給することが重視されていた。しかし現在では、住宅の数ではなく、質が求められる時代になっている。多様なライフスタイルを受け入れる現代社会において、全ての人が快適に暮らせる住環境を整えることが急務である。今こそ、空間と環境との調和を意識し、高品質な住宅を提供する時期なのではないだろうか。
過去の住宅に目を向けると、戦後に建てられた住宅は数を重視していたため、現代のニーズにはそのまま応えられないかもしれない。しかし、狭いスペースを有効に活用する収納技術や低コストで建設する技術は、今でも生かすことができる。例えば、古いアパートの壁を取り除き、広い一部屋として再構築することで、現代のライフスタイルに合った住空間を提供することも可能だ。
過去、現在、未来の住宅価値を別々に考えるのではなく、それぞれの時代の良さを受け継ぎ、無駄を省いたリノベーションシステムを構築することが、これからの住環境づくりにおいて重要な課題となるだろう。
【豆知識】空き家問題の対策
1. 空き家の利活用促進
•リノベーション補助金: 空き家をリノベーションする際に補助金を提供し、再利用を促進する政策。古民家や空き家の改修費用を軽減することで、新たな入居者や事業者を誘致します。
•空き家バンクの運営: 空き家情報を登録・公開し、売買や賃貸を支援する制度。地方自治体が空き家所有者と潜在的な購入者や借り手をつなぐ役割を果たします。
•サブリース契約の促進: 民間企業や自治体が空き家を借り上げ、賃貸物件として提供するモデル。空き家所有者に対して安定した収入を提供しつつ、利用価値を高めます。
2. 税制優遇の見直し
•固定資産税の減免: 空き家を解体した場合や、再利用した場合に固定資産税の減免を行うことで、放置されることなく積極的に利用されるインセンティブを提供します。
•非利用空き家への課税強化: 長期間利用されていない空き家に対して税金を引き上げることで、早期の利用促進や売却を促す制度。
3. 空き家の強制的な除去や管理
•特定空家等の指定と強制措置: 老朽化して危険な空き家を「特定空家」に指定し、所有者に対して修繕や解体を命じる制度。所有者が対応しない場合、自治体が代わって解体し、費用を請求することができます。
•空き家管理サービスの提供: 空き家の管理や保全を専門業者が行う制度を自治体が支援し、空き家の荒廃や防犯対策を進めます。
4. 地域活性化と定住促進
•移住促進プログラム: 地域に移住する若年層や子育て世代に対して空き家を安価で提供したり、移住者向けの支援金を支給する政策。特に過疎地域での空き家問題に対する解決策として用いられています。
•地方創生政策との連携: 地域振興策として、企業誘致やテレワーク支援、農業体験などを行い、移住や定住を促進することで、空き家問題を間接的に解決します。
5. 中古住宅市場の活性化
•中古住宅の流通促進: 新築住宅に比べて中古住宅の取引が少ない現状を改善するため、リフォームや保証制度の充実を図り、中古物件を安心して購入できる環境を整備します。
•中古住宅の購入支援: 中古住宅購入者に対する住宅ローンの金利優遇や補助金を提供し、中古物件への関心を高めます。
6. 地域コミュニティの再編成
•空き家コミュニティスペースへの転換: 空き家をコミュニティスペースやコワーキングスペース、観光施設などに再利用し、地域の活性化に貢献する政策。空き家が地域の資源として活用されることで、放置されることを防ぎます。
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