【2022年度】大分大学経済学部(総合型選抜)の小論文解答例「子ども時代の影響」改題です。
問1. 日本では、2019年10月から幼児教育・保育が無償化され、幼児教育への関心がますます高まっています。一方、子どもの出身階層つまり親の社会経済的地位による子育て格差が問題となっています。すべての資料を利用し、親の社会経済的地位が子どもの幼児教育にどのような影響を与えるかについて、400字以内で分析しなさい。
問2. 問1の分析結果に対して、あなたの考えを400字以内で述べなさい。
【改題】子どもの頃に「自然体験」や「友だちとの遊び」などの体験が豊富な人ほど,「もっと深く学んでみたい」といった意欲・関心、「電車やバスに乗ったとき,お年寄りや身体の不自由な人には席をゆずる」といった規範意識,「社会や人のためになる仕事をしたい」といった職業意識が高くなる傾向がみられた。という青少年の発達段階に応じた適切かつ効果的な体験活動の推進に関する調査研究結果がある。このように、子ども時代の経験が、なぜ大人になった時の資質や能力に影響を与えると思われるか、あなたの考えとその根拠を述べよ。
【ある人の例】子ども時代の影響の小論文解答例
子どもの頃に友だちと遊ぶ、自然体験をするなどの経験はおとなになってからの意欲や意識に影響するという調査研究結果がある。遊びや体験を通して得た感覚が時を経ても、自分に影響し続けると考える。
例えば、体を動かす鬼ごっこやスポーツをして友だちと遊ぶことは、身体の発達のみならずコミュニケーションやルールを知る。円滑に楽しく過ごすことで友だちとの良好な関係を築く社会性を学ぶ。社会性は自分とは違う人の多様性を知り、相手を思いやる気持ちを育む。また、自然体験では用意された道具の使い方を覚えることや自分自身で工夫する創造性を得る。創造性は利便性のある物を手にしたりすることにより探求心が生まれる。さらに、自分の興味を原動力として何かを作りだす独創性を生み出す。独創性は限りないアイディアの源泉となる。子ども時代の遊びや体験は、いわいる白紙状態の心のキャンパスに子どもの経験を描くのである。また、反対に辛いこと、悲しいこと、痛いことなど不幸な経験はそれらが傷となって子どもの心に残ってしまうのである。おとなや社会は決して彼らを傷つけず、守る存在であるべきだ。
子どもは友だちと遊ぶことや自然体験を経て、人との関わり方、役立つことを発見する喜び、好奇心の満足を彼らは心に刻む。そして、子どもの時代の経験は彼らの糧となり、その後も彼らの思考や行動に作用し続けるのである。
【添削・アドバイス】子ども時代の影響について
1.文の構造を整理する
文がやや長くなりがちなため、短い文で区切ると分かりやすくなります。また、同じような内容が繰り返される箇所があるため、簡潔にまとめるとよいでしょう。
【例文】子どもの遊びや自然体験は、大人になってからの意欲や行動に影響を与える。遊びを通じて学んだ感覚や経験は、成長後も自分自身に根強く作用するためである。このような経験が、子どもの人格形成において重要な役割を果たす。
2.接続詞の工夫
接続詞を工夫することで、論理の流れがスムーズになります。
【例文】鬼ごっこやスポーツを通じた遊びは、身体の発達だけでなく、コミュニケーション能力やルールを守る大切さを学ぶ機会となる。さらに、友だちとの関わりを通じて、社会性を身につけるきっかけにもなる。この社会性は、大人になった後の人間関係にも良い影響を与えると考えられる。
3.表現の明確化
具体例を挙げる部分で、「何を学ぶのか」「どのように影響を受けるのか」をさらに明確にすると説得力が増します。
【例文】自然体験では、用意された道具の使い方を学ぶだけでなく、限られた環境の中で自ら工夫する力を養う。たとえば、森での遊びでは、葉っぱや枝を使って簡単な道具を作ることを通じて、創造性や問題解決能力を高めることができる。このような創造性は、後の学びや仕事における新しい発想の基盤となる。
4.主張と事例のバランス
「遊びや自然体験が重要である」という主張と、それを裏付ける具体例や根拠のバランスを意識すると、論理が強化されます。
【例文】遊びや自然体験が子どもの成長に重要である理由の一つは、好奇心を育む点である。たとえば、川で魚を探す遊びを通じて、子どもは自然界の仕組みに興味を持ち、探求心を刺激される。こうした経験は、単なる娯楽に留まらず、学びへの意欲を高める効果がある。したがって、子どもの遊びや体験を積極的に支援することは、教育や社会において重要な課題である。
【全体修正案】子ども時代の影響について
子どもの頃に友だちと遊んだり、自然体験をしたりすることは、大人になってからの意欲や行動に深い影響を与える。遊びや体験を通じて得た感覚や学びは、時間が経過しても、本人の心に根強く残り続けるからである。
例えば、鬼ごっこやスポーツを通じて友だちと遊ぶことは、身体の発達を促進するだけでなく、コミュニケーション能力やルールを守る重要性を学ぶ機会となる。また、遊びを通じて友だちとの良好な関係を築き、社会性を身につけることができる。社会性は、異なる価値観を持つ他者との関わりを学び、相手を思いやる気持ちを育む基盤となる。
さらに、自然体験では、用意された道具の使い方を学び、限られた素材を使って自分なりに工夫する力を養う。例えば、森で遊ぶことにより、自然の中で創造性や問題解決能力を高めることができる。このような創造性は、将来の学びや仕事において新しい発想を生み出す原動力となる。
一方で、辛い経験や悲しい出来事は、心に深い傷として残ることがある。したがって、大人や社会は、子どもを傷つけることなく、守るべき存在であるといえる。子どもたちは、遊びや自然体験を通じて人との関わり方を学び、好奇心を満たすことによって、心の中に喜びを刻む。そして、これらの経験が後の思考や行動に影響を与え、彼らの人生を形作っていくのである。
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