女性の社会進出についての大学入試小論文解答例【全学部共通】です。
・日本は、世界でも珍しい「M字カーブ」になり、20代から就業率が減少し、30~34歳で底打ちして再び上昇
・背景として、「学び、働き、産む」という過重負担が女性にのしかかっている。育児は女性という固定観念がそこにある。正規雇用でなく、非正規雇用で働く女性も多い。
女性の年齢別労働力率について、次の3つのグラフから読み取れる時系列的変化及び各国の特徴を論じ、その要因を推察しなさい。
女性の社会進出についての大学入試小論文解答例
図1と図2、3を比較すると、いずれの国においても15~19歳の女性の労働力人口の割合が30%から10~20%へと大幅に低下していることが確認できる。この変化は、1985年当時、貧しい家庭の女性が学校に通わず親の仕事を手伝っていたり、大量生産・大量消費の時代背景から工場労働に従事していたりする状況が一般的であったことを示唆している。しかし、その後の教育制度の整備や義務教育の普及に伴い、多くの子供たちが学校教育を受けるようになり、若年層の労働力人口の減少につながったと考えられる。
一方で、30代の女性の労働力人口はどの国でも40年間で顕著に増加している。この背景には、育児と仕事を両立する女性や、未婚で仕事に専念する女性が増えたことが挙げられる。これらの変化は、女性のライフスタイルや社会的役割が多様化していることを反映している。
さらに、日本と韓国では、いずれの時代においても30代の女性の労働力人口が他の年代に比べて低くなる「M字型」傾向が見られる。これは、子育てのために離職する女性が多いことを示している。一方、スウェーデンやフランスでは、1965年から1985年にかけて30代の女性の離職率が大幅に減少している。これは、育児休暇制度の充実や児童手当の拡充といった政策により、国全体で女性が働きやすい環境を整備した成果といえる。このような社会的支援の充実は、女性の労働参加率向上に寄与していると考えられる。
【理解を深める】女性の社会進出への施策
- 女性の社会進出…1980年代以降、急速に男女平等と女性の社会進出が進んだが、依然として女性の労働環境・賃金・就職などは厳しいとされる。
- 男女雇用機会均等法…1985年に女子差別撤廃条約に批准。これを受けて男女雇用機会均等法(1986年)が制定された。1997年、2006年に改正。女性差別やセクシャアル・ハラスメント(セクハラ)防止が企業に義務づけられた。
- ポジティブ・アクション…男女雇用機会均等法では、差別的取り扱いとは不利な扱いだけでなく、有利な扱いも含む。しかし、待遇の確保の支障となる事情を改善するために女性を有利に取り扱う措置(ポジティブ・アクション)は認められている。
- パートタイム労働法…1993年制定。パートタイマーと正規雇用労働者の格差是正が目的。パートには女性が多いため、男女格差の是正につながると期待。
- 労働基準法の改正…男女雇用機会均等法改正と同時に実施。女性の深夜労働が解禁となる。
- 育児・介護休業法…1991年に成立、1995年に改正。育児・介護を目的とした休業を労働者の権利と認めた。時間外労働の免除なども規定。男性の育児・介護休業も認められているが、現状、休業をするのは大部分が女性である。
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