行政サービスの効率性・採算性の問題についての大学入試小論文解答例

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行政サービスの効率性・採算性の問題についての大学入試小論文解答例です。

【問題】過疎地域における行政サービスの維持に関する筆者の主張を400字程度で要約したうえで、課題文における筆者の主張をふまえて、過疎地域における行政サービスを継続すべきか否かについてあなたの立場を明らかにした上で、行政サービスの効率性・採算性の問題を含め、その行政サービスをどうすべきかについて、あなたの意見を述べなさい。(字数の総数は要約部分も含めて1000字以内とする。)
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行政サービスの効率性・採算性の問題についての小論文解答例

集落機能の低下が行政サービスの維持を困難にしていると言う錯誤がしばしば起きている。こういった論理の飛躍が生じるのは、効率性・採算性を重視し過ぎているからだ。行政サービスとは、暮らしや経済のために必要であるから公共の名の下に確保されているのだ。過去の過疎対策は、条件の有利・不利を度外視して行われていたのだが、現代では過疎地域の切り捨て論が広く謳われている。あまりに財政面を重視しすぎることから、過疎地域の人々も多数派の考えを投影し過ぎてしまっている面がある。

しかし、大人数地域の効率が良いというのは見かけに過ぎない。そういった地域では巨大な投資が行われており莫大な経費がかけられている。一方、過疎地域は自立的な面が強く地域自身の行動が活発である。物事を一面的に捉え不合理であると言い放ち過疎地域消滅を力説するのはいかがなものだろうか。

筆者は過疎地域における行政サービスの維持について効率性・採算性の側面のみで過疎地域消滅を進めるのは危険であると主張しているが、私はこの主張に反対である。今や国民自身が効率性・採算性をなかんずく重視しているからだ。

例えば、近年著しい都心への一極集中が行われている。この都心への一極集中は日本のGDPの大幅な成長にも貢献し、都心では多岐にわたって専門性が高まっている。これは外国人観光客増加などにも広く貢献しており、過疎地域に財源を当てることはこの傾向を断絶させかねないのである。

しかし、過疎地域における行政サービスの維持が困難となっている別の問題については考える必要がある。こういった地域をただ切り捨てるといった訝しげな姿勢をとり続けていてはこれ以上の過疎地域の発生を招きかねないからだ。そこでなぜ過疎地域が発生するのかといった問題に着目すべきである。行政サービスの効率性・採算性に関する問題に対して画一的なアプローチをしてきたからではないだろうか。国民は専門性を追求し、結果として都心に移るのであれば、その地域の名物を活かし大衆に魅力を伝えることが大切だ。効率性・採算性を重視することによって生じた悪い噂はその地域における行政サービスの維持が合理的であることを知らしめるために魅力を国民に訴えかける事が必要なのである。

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行政サービスの小論文解答例の添削・アドバイス

文章全体として、過疎地域の行政サービス維持の問題に対する視点が丁寧に構築されています。

1.主張の明確化
最後のパラグラフでは、「行政サービスの維持が合理的であることを知らせるために魅力を国民に訴える必要がある」という趣旨を述べていますが、この主張がやや曖昧で理解が難しい印象があります。もう少し具体的に、「過疎地域の持続可能性や利点を伝えることが行政サービス維持につながる」という結論を明確に伝えるとよいでしょう。

2.論理の流れの整理
文章の構成を通じて、「効率性・採算性が重視されすぎることで、過疎地域の切り捨て論が生まれている」という主張を軸に進めていますが、議論の途中で「都心の一極集中がGDP成長や観光に貢献している」という別の視点が挟まれています。この点については、都心集中の利点とそれに伴う地方の衰退という対比がよりスムーズに繋がるようにすると良いでしょう。

3.文言の修正提案
「効率性・採算性をなかんずく重視している」 →「特に効率性・採算性を重視している」に修正すると、現代の一般的な言い回しに近づきます。
「訝しげな姿勢をとり続けていては」 →「軽視し続けていては」といったように、分かりやすい言葉に置き換えると、文章の流れが自然になります。
「過疎地域の名物を活かし大衆に魅力を伝えることが大切だ」 →「過疎地域の特色や資源を活かし、その魅力を広く発信することが重要である」にすると、具体的な対策案が示されて印象が強まります。

4.より具体的な提案の追加
最後の部分で提案している「魅力を国民に訴えかける」という点については、具体例を挙げるとより説得力が増します。たとえば、「観光資源の開発」「地域産業の育成」「リモートワークなどの施策」など具体的な取り組みがあれば、読者にとってイメージしやすくなります。

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行政サービスの小論文の全体修正案

集落機能の低下が行政サービスの維持を困難にしているという誤解がしばしば生じている。こうした論理の飛躍が発生する背景には、効率性や採算性を過度に重視する風潮がある。しかし、本来、行政サービスは生活や地域経済を支えるために公共の名の下に提供されるものであり、利益追求のみに基づくものではない。かつての過疎対策は、地域の条件に関係なく行われていたが、現在は過疎地域の切り捨て論が一般的になりつつある。こうした流れにより、過疎地域の住民も財政効率を重視する多数派の考え方に影響を受けている側面がある。

しかし、大都市部の効率性が優れているという見方は、単に表面的なものに過ぎない。大都市圏では巨大な投資が行われ、多額の維持費用がかかっている。一方、過疎地域では、地域の自立性が高く、住民が主体的に地域活性化のための行動を起こすことが多い。過疎地域の一側面だけを捉えて「不合理」と判断し、消滅を推進することが果たして適切だろうか。

筆者は、過疎地域における行政サービス維持を効率性や採算性の観点のみから判断し、その消滅を推し進めることには危険が伴うと主張しているが、私はこの主張に対して異議がある。現代においては、国民全体が効率性や採算性を特に重視する価値観を持つようになっているからである。

例えば、近年の都心への一極集中は、専門性の向上と外国人観光客の増加などを通じて、日本のGDP成長にも大きく貢献している。こうした状況において、過疎地域に多額の財源を投入することは、国全体の経済的な発展を妨げる可能性がある。

しかし、過疎地域における行政サービスの維持が困難になっているという別の問題も看過すべきではない。過疎地域をただ切り捨てるだけでは、さらに多くの地域が過疎化し、日本全体の地域バランスが崩れる危険がある。そこでまず、なぜ過疎地域が発生するのか、その要因に着目すべきである。これまで、効率性や採算性の観点のみで画一的な行政サービスを提供してきた結果、地域の特性を活かした発展が阻害されてきたのではないだろうか。

過疎地域の特産品や観光資源などの特色を広く発信し、大衆にその魅力を訴えることで、効率性を重視した行政サービスの維持が現実的かつ有意義であることを国民に理解してもらう必要がある。効率性と地域の魅力を両立させるアプローチを模索し、過疎地域の持続可能な発展につながる方策を講じることが求められる。

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