現代にみられる子どものイメージに関する大学入試小論文の解答例です。
子どものイメージに関する大学入試小論文の解答例
現代では子どもが無垢で純粋であるというイメージにより、過剰に大人からの保護や援助を受けることのできる対象として見られる傾向が強い。こうしたイメージが子どもを社会からの責任から逃れさせてしまう原因だと私は考える。
未成年が罪を犯した場合、責任能力や判断能力が不十分であるという理由で減刑される場合が多い。若者に更生する機会を与えるという面がある一方、こういった認識は若者が物事への責任を体感できる機会を奪っているとも言える。また犯罪という場面以外に、モラトリアムになる若者の増加や子供の親離れが遅れるなど、現代社会において近代の子ども観は少なからず子どもに悪影響を与えていると考える。
子どもに対する現代の考えが完全に誤ったものとは限らない。しかしそれによる子どもの行動が変化することにも目を向け、これからの見方を再考する必要がある。
子どものイメージに関する大学入試小論文の添削・アドバイス
1. 主張の強調と根拠の明確化
現在の主張をより強調し、根拠を具体化すると、読み手にわかりやすく伝わります。例えば、「子どもが責任を体感する機会を奪われている」という主張の背景として、具体的なエピソードや研究結果を示すと説得力が増します。
例:「現代社会では、未成年による犯罪が増加している中で、『未熟』を理由に減刑されるケースが多々あります。ある研究によれば、減刑によって結果的に再犯率が上がる傾向も見られます。」
2. 子ども観の変化についての補足
「近代の子ども観」が現代社会でどう変化しているのか、またその背景を簡単に説明することで、読み手が理解しやすくなります。
例:「産業化や都市化の進展に伴い、子どもが『純粋無垢』な存在として保護される傾向が強まり、結果的に、社会的な責任から遠ざけられる風潮が広がっている。」
3. 結論部分の再考
最後の段落で「再考する必要がある」と述べている点について、具体的な方向性を少し示すとよいでしょう。たとえば、「子どもに適度な責任感を育む方法」や「親と社会の役割の見直し」などに触れると、提案がより鮮明になります。
例:「今後は、子どもが成長過程で少しずつ社会的責任を経験できるような教育や支援の在り方についても再考し、バランスの取れた子ども観を築くことが重要である。」
子どものイメージに関する大学入試小論文の全体修正案
現代において、子どもは無垢で純粋であるとされ、過剰な保護や支援の対象とみなされる傾向が強い。このようなイメージが、子どもが社会的責任から遠ざかる一因であると私は考える。
たとえば未成年が犯罪を犯した場合、判断能力が不十分であるとして減刑されることが多い。これは若者に更生の機会を与えるという意義を持つ一方で、彼らが自分の行動に対する責任を感じる機会を奪っているともいえる。また、犯罪の場面以外にも、若者のモラトリアム期間の長期化や親離れの遅れなど、現代の「保護されるべき子ども」という観点が、成長において少なからず悪影響を及ぼしていることが見受けられる。
もちろん、現代の子ども観がすべて誤っているわけではない。しかし、社会全体で子どもの自立心や責任感を育む環境を再構築し、彼らが適度な範囲で社会と関わりを持てるようなサポートの在り方についても再考する必要があるだろう。
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