【平成30年度】琉球大学農学部の小論文の解答例「外来生物の影響」

外来生物 小論文
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【平成30年度】琉球大学農学部の小論文の解答例「外来生物の影響」改題です。

【問題】「環境への様々な影響」に関して、外来生物は、その地域の環境に具体的にどのような影響を及ぼすと考えられるか。また、環境保全の観点から、それらにどのように対処すべきか、あなたの考えを述べなさい。
【改題】外来生物の影響を生態系、農業、健康の観点から論述せよ。
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【ある人の例】外来生物の影響について解答例

生態系の面から外来生物の問題点として挙げられることは在来種が減少してしまうことだ。外来種は在来種と比較して、環境の変化に強く、雑食であることが多い。そのため、在来生物のエサを食べて成長する。在来生物は十分な食料にありつけず個体数が減少する。また、エサがなくなった時、外来生物は在来生物までも捕食してしまうためさらに個体数は減少する。そして最悪の場合、絶滅してしまう可能性もある。

農業の面では農作物が食い荒らされるということが挙げられる。土地開発が進み、山が切り開かれたことで野生生物の住み家とエサが減少した。それにより、山から下り、エサを探すようになっているのが現状だ。特に、スイカやブドウ、カボチャなどの糖度の高い作物は狙われやすい。かじられてしまった作物は出荷することができないため、農家は減収となってしまう。また、栽培機器を壊したという事例もあり、農家の頭を悩ませている要因の一つだ。

健康の面では感染症が挙げられる。外来生物の中にはアライグマのような見た目の愛らしい動物が存在する。その容姿に魅了されて接近してしまう人が数多くいる。外来生物は時に接近した人を敵と認識し攻撃する可能性がある。ひっかかれたり、噛まれたりすることで傷口から外来生物の持つ病原菌に感染するおそれがある。これは後遺症を引き起こしたり、治療が遅れたりした場合には死の危険性も十分に考えられる。

これらの解決策としては動物の命に責任を持ち、最後まで育てることだ。外来生物は元々人間の都合上、日本に輸入された。しかし、買うことのできなくなった一部の人の身勝手な理由により捨てられ、繁殖したのだ。ワナを仕掛け、殺処分していくことも大切だ。しかし、これ以上の外来生物の増殖を防ぐためにも、一度飼うと決めた動物の命は最後まで面倒を見てあげるべきだと考える。

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【添削・アドバイス】外来生物の影響について

1. 構成の工夫
全体の構成はしっかりしていますが、解決策を最後に持ってくることで論理がより強化されます。その際、「健康の面」「農業の面」などの各視点ごとに段落をしっかり区切ると、いいですね。

2. 専門用語や表現の一貫性
「個体数が減少」「感染するおそれがある」「頭を悩ませる」など、具体性のある表現を使っていますが、さらに専門的な語彙を取り入れると、文章全体の信頼性が高まります。例えば、「絶滅の可能性」ではなく「在来種の生態系からの排除」などの表現を使うことで、より科学的な印象を与えられます。

修正前:外来種は在来種と比較して、環境の変化に強く、雑食であることが多い。そのため、在来生物のエサを食べて成長する。
修正後:外来種は在来種と比べ、環境の変化に強く、雑食であることが多い。そのため、在来生物の餌を奪いながら成長する。この結果、在来生物の個体数が減少するばかりか、最悪の場合、絶滅に至る可能性もある。

3. 事例の具体化
「スイカやブドウ、カボチャ」など具体例を挙げているのは良いですが、さらに具体的な被害例やデータを入れると説得力が増します。例えば、「年間〇〇億円の損失が生じている」などの統計があると良いです。

修正前:特に、スイカやブドウ、カボチャなどの糖度の高い作物は狙われやすい。
正後:特にスイカやブドウ、カボチャなどの糖度の高い作物が狙われやすい。例えば、ある地域ではイノシシによる被害が年間〇〇トンにも及び、農業収入に大きな打撃を与えているという報告がある。

4. 解決策の説得力向上
解決策の部分で、「命に責任を持つ」という提案は感情的に響くものですが、具体的な施策や成功例を追加するとさらに現実味が増します。例えば、地域の動物保護活動やペットの輸入制限などを挙げると良いでしょう。また、「殺処分」の必要性に触れる際は、その是非についても簡単に議論を示しておくと偏りを感じさせません。

修正前:外来生物は元々人間の都合上、日本に輸入された。しかし、買うことのできなくなった一部の人の身勝手な理由により捨てられ、繁殖したのだ。
修正後:外来生物の多くは、かつて人間の利益や娯楽のために輸入された。しかし、飼育が困難となった一部の個体が無責任に放棄された結果、自然界で繁殖し、生態系に大きな影響を及ぼしている。

5. 最後のまとめの工夫
最後に、外来生物の問題の重要性を再度強調し、「私たち一人一人ができること」を短く付け加えると、いいですね。

修正前:ワナを仕掛け、殺処分していくことも大切だ。しかし、これ以上の外来生物の増殖を防ぐためにも、一度飼うと決めた動物の命は最後まで面倒を見てあげるべきだと考える。
修正後:外来生物問題を解決するためには、捕獲や殺処分といった対策が必要である。しかし、それ以上に重要なのは、外来生物の増加を未然に防ぐことである。一度飼育を始めた動物の命に責任を持ち、最後まで育てることが求められる。また、個々人が外来生物の影響について理解を深め、社会全体で問題に取り組むことが重要である。

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【全体修正案】外来生物の影響について

生態系の面から見た外来生物の問題点として、在来種の減少が挙げられる。外来生物は在来生物と比べて環境の変化に強く、雑食性を持つことが多い。そのため、在来生物の餌資源を奪い、成長することが多い。この結果、在来生物は十分な餌にありつけず個体数を減らし、最悪の場合、絶滅に至る危険性すらある。また、餌が不足すると、外来生物が在来生物を捕食し始める場合もあるため、生態系への悪影響は極めて深刻である。

農業の面では、外来生物が農作物に与える被害が問題となっている。土地開発により野生生物の生息地や餌が減少したことで、動物たちが山から下りて農地を荒らす事例が増えている。特にスイカやブドウ、カボチャといった糖度の高い作物は外来生物の標的となりやすい。一度かじられた作物は商品価値を失うため、農家の減収につながる。さらに、栽培設備の破壊も報告されており、農業経営を圧迫する深刻な要因となっている。

健康の面でも外来生物の影響は無視できない。アライグマのように見た目が愛らしい動物も多く、人が接近してしまうことがある。しかし、外来生物は人間を敵と認識し、攻撃する場合がある。その際、噛まれたりひっかかれたりすることで、外来生物が持つ病原菌に感染するリスクが高まる。このような感染症は、後遺症を引き起こす場合や治療の遅れが命に関わるケースもあり、注意が必要である。

これらの問題に対する解決策としては、動物の命に責任を持ち、最後まで育てることが最も重要である。外来生物の多くは、もともと人間の利益や娯楽を目的として輸入されたものである。しかし、飼育が困難となった一部の個体が無責任に放棄された結果、自然界で繁殖し問題を引き起こしている。これ以上の外来生物の増加を防ぐためにも、動物を飼う際にはその命に対する責任をしっかりと自覚すべきである。

さらに、捕獲や殺処分といった直接的な対策も並行して行う必要があるが、それに加えて外来生物に関する教育を充実させ、社会全体で問題意識を共有することが求められる。外来生物問題は一部の地域だけでなく、日本全体、さらには世界的な課題である。この問題を解決するためには、私たち一人ひとりが自らの行動を見直し、具体的な行動を起こすことが重要である。

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