【2021年度】横浜市立大学国際商学部の小論文解答例「雇用の問題」

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【2021年度】横浜市立大学国際商学部大学入試小論文解答例です。改題です。

【改題】
(問1)「日本にある日本企業の日本による」イノベーションなどという発想は無意味であるという意見がある。それでは、多様な人材を企業が雇用するメリットとデメリットはどのようなものがあるだろうか。400字以内であなたの考えを書きなさい。

(問2)グラフ1・2を読み取れることは何か。それを踏まえて、高度外国人材(研究者も含む)の定着のために日本企業が取り組むべきことを400字以内であなたの考えを書きなさい。

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【ある人の例】横浜市立大学国際商学部の小論文(2021年度改題)

(問1)多様な人材を企業が雇用するメリットは他国との繋がりが強くなること。他国の人の考え方や新たな視点がわかること。年齢に応じた対策などがしやすくなることの3点を挙げる。デメリットの場合は、企業内のチームワークの低下が起こる可能性があることだ。メリットにおいての理由は、他国との繋がりや他国民による新たな見方という点においては、外国文化特有の思考を得ることが可能になること。さらには他国の人とコミュニケーションを取ることにより、雇用者の言語の幅が広がりグローバル化に対応しやすくなるからだ。

そしてまた、幅広い年齢層を雇用することで、それぞれの年齢に応じた考え方やその年齢ならではの体験を通しての視野を獲得することが可能になることも理由の1つである。次にデメリットの理由は、言語による壁だ。多国籍が故に言葉が通じずチームワークが低下する恐れがある。だが、長期的に見れば、いずれは壁がなくなり利益に繋がる。

(問2)グラフ1、2より読み取れることはグラフ1では日本の研究者の流出人数が世界でもイギリス、フランスに次いで多いこと。グラフ2では日本で働く場合の否定的な評価が日本に住む魅力と比べて3倍になっていることである。これは日本の働き方や日本独特の習慣などが原因だと考える。

日本の年功序列制度や、上司との上下関係の厳しさ、日本独特のマナーなどは海外ではあまり推進されておらず慣れていない。さらに長時間労働も問題であると考える。近年度々起こる過労自殺のニュースは日本の労働環境問題を浮き彫りしている。よって私は、高度外国人材の定着のために日本企業は、日本独特の風習を強制させるのではなく、様々な他国の人々の習慣や文化に眼を向け取り入れていくことが必要だと考える。

グローバル化が進む現代で他国に遅れを取らないようにするために、そのようなことを推進していくことが日本企業の発展に繋がり、日本全体の利益となるだろう。

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【添削・アドバイス】横浜市立大学国際商学部の小論文(2021年度改題)

(問1)
1.段落構成を整理する
現状ではアイデアが一文の中に詰め込まれているため、少し読みづらい印象があります。以下のように段落ごとにテーマを整理するといいでしょう。

冒頭: 多様な人材を雇用することのメリットとデメリットを述べる。
メリット1: 他国との繋がりや視点の多様性
メリット2: 年齢層の幅による新たな視野の獲得
デメリット: 言語や文化の壁
結論: 長期的な利益への可能性

2.日本語表現の改善
語順や表現が少し堅い部分や曖昧な部分がありますので、以下の例を参考に修正を加えてみてください。

修正例:
冒頭「多様な人材を企業が雇用するメリットとして、以下の三点が挙げられる。第一に、他国との繋がりが強化されること。第二に、他国の人々の考え方や新たな視点を学ぶ機会が増えること。第三に、幅広い年齢層を雇用することで、年齢に応じた柔軟な対策が可能になることである。一方、デメリットとしては、企業内でのチームワークが低下する可能性がある。」

メリット1「他国との繋がりや新たな視点の獲得は、外国文化特有の考え方や価値観を取り入れる機会を提供する。さらに、外国人とコミュニケーションを図ることで、雇用者の言語スキルが向上し、企業全体がグローバル化に対応しやすくなる。」

メリット2「また、幅広い年齢層を雇用することにより、各世代特有の考え方や経験に基づいた新たな視点を得ることができる。これにより、年齢に応じた柔軟な戦略や施策を展開する可能性が広がる。」

デメリット「一方で、多国籍な人材を雇用する場合、言語や文化の違いによる壁が生じる可能性がある。これにより、短期的にはチームワークが低下する懸念がある。しかし、長期的に見れば、こうした壁を克服することで、組織全体が一体となり、最終的には企業の利益に繋がると考えられる。」

3.結論を補強する
文章の最後に、提案やポジティブな結論を添えると、読後感が良くなります。たとえば以下のように結ぶと良いでしょう。

結論例「したがって、多様な人材の雇用は、短期的には課題を伴うものの、適切な対応と努力を通じて、企業に多くの利益をもたらす可能性を秘めている。このため、企業は多様性の受け入れと共に、言語や文化の壁を克服するための環境づくりを進めるべきである。」

(問2)
1.序論の補強
冒頭で述べている「グラフ1」「グラフ2」について、内容をもう少し詳しく説明するといいですね。。また、「この問題に注目する理由」や「取り上げる意義」を簡単に触れると、文全体の意義が明確になります。

例:グラフ1では、日本の研究者の流出人数が世界でもイギリス、フランスに次いで多いことが示されている。これは日本の国際競争力に関わる重要な問題だ。また、グラフ2からは、日本で働く場合の否定的な評価が日本に住む魅力を大きく上回っていることが分かる。このデータは、日本の労働環境が海外から見てどのように映っているかを示しており、対策が急務であることを物語っている。

2.具体的な例の追加
「年功序列制度」「長時間労働」「過労自殺」など、問題点を挙げていますが、それぞれに具体例や統計データを追加すると説得力が増します。

例:年功序列制度は、例えば能力や成果が十分であっても、若い世代の昇進や給与増加が抑えられる傾向がある。この制度は、特に成果主義を重視する高度外国人材にとって魅力的ではない。また、過労自殺に関しては、2019年には労災認定された過労自殺の件数が84件に上ったというデータもある。このような事例が日本の労働環境の厳しさを象徴している。

3.提案の具体性を向上させる
「日本独特の風習を強制させるのではなく、他国の文化を取り入れるべき」との提案は適切ですが、どう取り組むべきかをもう少し具体的に述べるとよいでしょう。

例:例えば、日本企業は国際的な働き方の基準を導入するべきだ。フレックスタイム制やリモートワークの推進、多様な文化や価値観を理解するための研修プログラムの実施などが効果的と考える。また、外国人社員が日本の文化に順応しやすいよう、言語や生活支援の体制を整えることも重要だ。

4.結論を簡潔にまとめる
最後の段落はもう少し簡潔にまとめ、日本全体に与える影響を明確に示すと締まりが良くなります。

例:このような取り組みを進めることで、日本企業は高度外国人材の流出を防ぎ、国際競争力を高めることができる。それは結果的に、日本全体の発展と利益につながるだろう。

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【全体修正案】横浜市立大学国際商学部の小論文(2021年度改題)

(問1)
多様な人材を企業が雇用することには、以下の三つのメリットがある。第一に、他国との繋がりが強化されることである。第二に、他国の人々の考え方や新たな視点を学ぶ機会が得られることである。第三に、幅広い年齢層を雇用することにより、年齢に応じた柔軟な対策が可能になる点である。一方で、デメリットとして企業内のチームワークの低下が挙げられる。

まず、他国との繋がりや新たな視点の獲得について述べる。多様な人材の雇用により、外国文化特有の価値観や考え方を取り入れる機会が生まれる。これにより、従来の視点にとらわれない柔軟な発想が促される。また、外国人とのコミュニケーションを通じて、雇用者自身の言語スキルが向上するだけでなく、企業全体がグローバル化に対応しやすくなるという利点もある。

次に、幅広い年齢層の雇用について考える。さまざまな年齢層を採用することで、各世代特有の経験や価値観を生かした意見やアイデアが得られるようになる。これにより、年齢に応じた柔軟な戦略や施策を立案することが可能となる。このような多様性は、企業にとって新たな成長の可能性をもたらす。

一方で、多様な人材の雇用にはデメリットも存在する。その代表例が、言語や文化の違いによる壁である。特に、多国籍な人材を雇用した場合、短期的には言語の違いが原因で意思疎通が難しくなり、チームワークが低下する恐れがある。しかし、長期的に見れば、こうした壁を乗り越えることで、組織内での相互理解が深まり、結果として企業の利益向上に繋がると考えられる。

以上のように、多様な人材の雇用にはメリットとデメリットの両面がある。しかし、適切な対応策を講じることで、短期的な課題を克服し、多様性の受け入れが企業の成長に寄与する可能性が高い。したがって、企業は多様性を積極的に活用する姿勢を持つと同時に、言語や文化の壁を克服するための環境整備を進めるべきである。

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