【2021年度】同志社大学社会学部小論文「障害者福祉」解答例と書き方のポイント|社会的共生をどう論じるか

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2021年度の同志社大学社会学部の小論文テーマは「障害者福祉」でした。このテーマでは、障害のある人々の社会参加や共生のあり方について、自らの意見を論理的に述べる力が問われます。本記事では、実際の出題傾向を踏まえつつ、答案作成の流れや構成のコツ、そして合格レベルの解答例を紹介します。福祉や多様性に関する小論文対策を進めたい受験生は必見です。

【問2】自閉症の著者が、自らが望む支援のあり方について述べた『あるがままに自閉症です』(東田直樹)を読み、この文章に対するあなたの考えを自由に論述せよ。【2021年度】同志社大学社会学部の小論文解答例「障害者福祉」です。学校推薦型選抜です。
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小論文「障害者福祉」の書き方のポイント

1. 出題の意図を理解する

1. 出題の意図を理解する
2021年度のテーマ「障害者福祉」では、単なる制度や政策の知識を問うだけでなく、「社会のあり方」や「人々の意識の変化」をどう捉えるかが重視されます。出題側が期待する観点は主に次の通りです。

  • 障害のある人を「支援される側」だけでなく、共に社会をつくる主体として捉えられるか。
  • 「共生社会」実現のために、個人・社会・制度の三つの視点から論を展開できるか。
  • 形式的な平等ではなく、実質的な平等(合理的配慮や社会的バリアの除去)を理解しているか。

要するに、「障害者福祉=他者への援助」ではなく、誰もが生きやすい社会を構築する視点を示すことが求められます。

2. 構成の立て方(基本構成モデル)

2. 構成の立て方(基本構成モデル)

序論
  • テーマに対する自分の問題意識を明確にする。例:「障害者福祉の本質は“支援”ではなく“共生”であると考える。」
  • 社会の現状(差別・制度・意識の課題など)を簡潔に提示する。
本論
  • 具体的な事例を用いて、課題と解決の方向性を論理的に説明する。
  • 取り上げる例(例示):
    • バリアフリーやユニバーサルデザインの重要性
    • 法制度(障害者差別解消法等)の限界と運用上の課題
    • 教育現場や職場でのインクルーシブな取り組み
  • 社会全体がどう変わるべきか、自分の立場を明確に述べる。
結論
  • 自身の主張を再確認し、今後の社会のあり方を提案する。例:「障害を個人の問題としてではなく、社会の構造的課題として捉え、誰もが尊重される共生社会を目指すべきである。」

3. 論述のポイントと注意点

3. 論述のポイントと注意点

観点 ポイント 具体的アドバイス
語彙・表現 人権・尊厳に配慮した表現を使う 「障がいのある人」など、尊重を意識した言い回しを心がける。
論理展開 感情論に流れず客観性を保つ 「かわいそうだから助ける」ではなく、「社会が障害を生み出している」という視点を示す。
事例の使い方 具体性で説得力を高める 学校のバリアフリー化や障害者雇用の実例を挙げると説得力が増す。
結論 序論と結論の一貫性を保つ 序論で掲げた問題意識と結論がずれていないか必ず確認する。

まとめ

同志社大学社会学部の小論文では、単なる制度知識よりも「人と社会の関係性をどう捉えるか」という社会学的視点が評価されます。合格答案に向けては、次の点を意識してください。

  • 「障害=社会の中にあるもの」という視点を持つこと。
  • 「共生社会の実現」というゴールを明確に描くこと。
  • 自分の意見を根拠とともに論理的に展開すること。
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【ある人の解答例】同志社大学社会学部(2021)の小論文解答例

現代社会において、自閉症の人を含む障害者、高齢者、健常者など、すべての人が偏見や差別にとらわれることなく共生できる社会を築くことが求められている。文部科学省が2012年に行った調査によると、全国の公立小中学校で発達障害の可能性があるとされた児童生徒は6.5%に上る。これは1クラスに2人程度いる計算になる。この調査は通常学級の児童生徒を対象にしているため、特別支援学級の生徒などを含めると、さらに高い割合となる可能性がある。このデータからも分かるように、私たちの身近には発達障害を抱えながら生活している人が存在している。

現在の日本では、障害者や高齢者を含むすべての人が共生できる社会を目指し、政府主導でさまざまな取り組みが進められている。しかし、現実には差別や偏見が根強く残っているのも事実である。では、私たちはどのように行動すべきだろうか。以下に具体的な提案を述べる。

第一に、法整備の強化である。障害者が差別や偏見なく生活できる社会を実現するためには、障害者差別解消法や障害者基本法のさらなる拡充が必要である。これらの法律を基に、教育現場や企業において、障害者への合理的配慮を義務化し、実効性を高める仕組みを作るべきである。また、障害者支援に関わる予算の拡充も求められる。

第二に、情報発信と啓発活動の強化である。障害について社会全体の理解を深めるために、インターネットや新聞、本などのメディアを活用した情報発信が重要である。特に、自閉症を含む発達障害については、正確な情報を提供し、その特性や困難に対する具体的な対応方法を広く周知する必要がある。たとえば、動画やイラストを用いた視覚的にわかりやすい資料を作成し、学校や職場で共有することが有効である。調べるという行為そのものが、相手を理解しようとする前向きな姿勢を生み出し、共生社会への第一歩となると考える。

第三に、教育や交流の場の創出である。自閉症や発達障害についての理解をさらに深めるためには、講演会やオンラインでの対話の場を設けることが有効である。自閉症の当事者やその家族の声を直接聞くことで、一般の人々は障害の特性だけでなく、当事者が日々感じている喜びや苦労を具体的に知ることができる。また、学校教育において障害に関する授業を設け、子どもたちが幼少期から多様性への理解を深めることも重要である。このような教育を通じて、次世代を担う若者が、差別や偏見のない社会の実現に寄与することを期待したい。

以上の取り組みを通じて、すべての人が共生できる社会の実現が可能になると考える。障害者、高齢者、健常者が互いに支え合いながら生きる社会を築くためには、一人ひとりが関心を持ち、行動することが不可欠である。共生社会の実現は容易ではないが、具体的な一歩を積み重ねることで、誰もが生き生きと暮らせる未来を切り開くことができると信じる。

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