日本語の乱れについての大学入試小論文解答例

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日本語の乱れについての大学入試小論文解答例【文学部】人文科学系です。

【問題】日本語の乱れの象徴とされる「ら抜き」が着実に浸透していることをはじめ,「すごっ」「早っ」など何でも語幹で感嘆を示したり,メタボ,就活などの略語が定着したりしている。この日本語の変化の現実について,あなた自身はどのように考えるか。あなたの考えを600字以内で書きなさい。
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【ある人の例】日本語の乱れについての大学入試小論文解答例

昨今、日本語が乱れているという指摘がある。確かに一度聞いただけでは分からない言葉があるが、それらの全てが使用語句として不適切で日本語を乱しているとは言えない。それらは話し言葉であり、流行り言葉であり短命なのであるからだ。

平成27年の文化庁の「国語に関する世論調査」によるとら抜き言葉を60%以上の男女が使うとある。これは、ら抜き言葉の使用が認められたかのような印象を人々に与えた。ら抜き言葉は尊敬語と可能形を区分する機能があるが、さ入れ言葉の「さ」は単に余分である。また、形容詞を一層、際立たせようと語尾の「い」を取り小さな「っ」を付ける。今の自分の感覚を相手に端的に伝えられると思うからだろうか。それらの言葉は話し言葉として使われる。某企業主催の年末に発表される「今年の新流行語大賞」は人々の興味を集めるイベントではあるが、選ばれた言葉は、流行り言葉の代表ではあるが永く使い続けられるわけではない。むしろ、逆に時間の経過に伴い使われなくなり、自然に淘汰されるのである。ある職業の符丁や隠語などとは違い、定着するものもあるが短命なものが多いのである。

日本語は、高コンテクストな言語といわれ言外の意味を察知する。話し言葉と書き言葉の違いを知り、カジュアルとフォーマルの区別を付け使い分けることが大切だ。人々が好み使い続ける言葉が生まれてきたら、それは決して日本語を乱れさせる言葉ではないのではないだろうか。

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【添削・アドバイス】日本語の乱れについての大学入試小論文

1. 構成の明確化
文章全体が一貫しているものの、少しだけ段落を分けると、いいです。特に、言葉の変化や使用例を説明している部分(例えば、ら抜き言葉や流行語)と、言語の特性について述べている部分を分けることで、内容の区切りがより明確になります。

修正前:一度聞いただけでは分からない言葉があるが、それらの全てが使用語句として不適切で日本語を乱しているとは言えない。それらは話し言葉であり、流行り言葉であり短命なのであるからだ。

修正後:昨今、日本語が乱れているという指摘がある。確かに一度聞いただけでは分からない言葉も存在する。しかし、それらの全てが不適切で、日本語を乱しているわけではない。これらの言葉は主に話し言葉であり、流行語として一時的に使われるものであるため、長期間にわたって定着するものではないからである。

2. 事実の補強
「平成27年の文化庁の『国語に関する世論調査』」について言及している部分ですが、具体的な調査結果や背景をもう少し詳しく触れることで、信憑性が増します。たとえば、「ら抜き言葉を60%以上の男女が使う」という数字がどのような文脈で調査されたのか、具体的なデータがあるとさらに説得力が増すでしょう。

修正前:平成27年の文化庁の「国語に関する世論調査」によるとら抜き言葉を60%以上の男女が使うとある。

修正後:平成27年の文化庁の「国語に関する世論調査」によると、60%以上の男女がら抜き言葉を使用しているという結果が示された。この調査結果は、ら抜き言葉の使用が広まっていることを示唆しており、その使用が一部では許容されつつあるという印象を与えた。

3. 語句の選択
一部の表現について、少しだけ改良の余地があります。

「流行り言葉であり短命なのであるからだ」という部分は、もう少し柔らかい表現に変えてみても良いかもしれません。「流行語は一時的なものであるため」といった表現にするといいです。「さ入れ言葉の「さ」は単に余分である」とありますが、「余分」という表現は少し強すぎるかもしれません。「意味が重複している」といった表現がより中立的であるかもしれません。

修正前:さ入れ言葉の「さ」は単に余分である。

修正後:さ入れ言葉の「さ」は、意味が重複していることが多いと考えられる。

4. 結論部分の強調
結論部分では、「人々が好み使い続ける言葉が生まれてきたら、それは決して日本語を乱れさせる言葉ではないのではないだろうか。」と述べていますが、ここを少し強調して締めくくるとより印象的になります。たとえば、「人々に愛され、使われる言葉は日本語の豊かさを反映するものであり、それが言語の進化の一部である」といった表現を加えると、より深い意味が伝わりやすくなるかもしれません。

修正前:人々が好み使い続ける言葉が生まれてきたら、それは決して日本語を乱れさせる言葉ではないのではないだろうか。

修正後:人々が好んで使い続ける言葉が生まれてきた場合、それは決して日本語を乱すものではなく、むしろ日本語の豊かさと多様性を反映する言葉であると言えるだろう。言葉の変化は、文化の進化の一部であり、自然な流れに沿ったものである。

5. 整合性
「ら抜き言葉」や「さ入れ言葉」の具体的な使用例について触れていますが、流行語についてももう少し詳細に触れてみてもよいかもしれません。特に、どのような言葉が流行語として登場し、なぜそれが短命に終わるのかを具体例を挙げて説明すると、より説得力が増します。

修正前:「今年の新流行語大賞」は人々の興味を集めるイベントではあるが、選ばれた言葉は、流行り言葉の代表ではあるが永く使い続けられるわけではない。

修正後:例えば、某企業主催の「今年の新流行語大賞」は多くの人々の関心を集めるイベントであり、選ばれる言葉はその年の流行を反映するものである。しかし、選ばれた言葉が長期間使われ続けることは少ない。流行語は一時的なものであり、時間の経過とともに使われなくなり、自然に淘汰されていく傾向がある。

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【全体修正案】日本語の乱れについての大学入試小論文

昨今、日本語が乱れているという指摘がある。確かに一度聞いただけでは分からない言葉も存在するが、それらの全てが不適切で日本語を乱しているわけではない。それらは話し言葉であり、流行語として一時的に使われるものであり、長期間にわたって定着するものではないからである。

平成27年の文化庁の「国語に関する世論調査」によると、ら抜き言葉を60%以上の男女が使用しているという。この調査結果は、ら抜き言葉の使用がある種の許容を得たかのような印象を与えることとなった。ら抜き言葉は、尊敬語と可能形を区別する機能を持つが、さ入れ言葉の「さ」は意味が重複している場合が多い。また、形容詞をより強調しようと語尾の「い」を取り、小さな「っ」を付けることがある。これにより、自分の感覚を相手により端的に伝えようとしているのだろう。このような言葉は主に話し言葉として使われる。

某企業が主催する年末の「今年の新流行語大賞」は、多くの人々の関心を集めるイベントであり、選ばれる言葉は流行語の代表例となる。しかし、選ばれた言葉が永く使われ続けるわけではない。むしろ、時間の経過とともに使われなくなり、自然に淘汰されていくのが常である。ある職業の符丁や隠語とは異なり、流行語は短命であることが多い。

日本語は高コンテクストな言語であり、言外の意味を察知する能力が求められる。話し言葉と書き言葉の違い、またカジュアルな言葉とフォーマルな言葉の使い分けを理解することが重要である。人々が好んで使い続ける言葉が生まれてきた場合、それは決して日本語を乱すものではなく、むしろ日本語の多様性と豊かさを反映する言葉であると言えるだろう。

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