【大学入試小論文】ベーシックインカムの是非を考察|賛成・反対の視点と解答例を紹介

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近年、すべての国民に最低限の生活費を無条件で支給する「ベーシックインカム」が注目を集めています。働き方の多様化やAIによる雇用の変化、生活保護制度の見直しなど、社会の転換期においてその是非を問う声が高まっています。大学入試小論文でも、こうした経済制度や社会保障の在り方をテーマにした出題が増加傾向にあります。この記事では、ベーシックインカムの賛否両論を踏まえた大学入試小論文の解答例と、書き方・構成のポイントをわかりやすく解説します。

【問題】BI(べーシックインカム)導入のメリットに対し、どのような反論や批判が可能であるか。あなたの考えを400字で論じなさい。
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【予備知識】べーシックインカムの是非について

ベーシックインカムとは?

政府が全国民に対して、年齢・所得・雇用状況に関係なく無条件で一定額の現金を定期的に支給する社会保障制度です。最低限の生活を保障することを目的としています。

べーシックインカムのメリット

べーシックインカムのメリット図解

  • 貧困の撲滅・格差縮小…所得に関わらず一定額が支給されるため、国民の最低限の生活を支援し、貧困に陥るリスクを大幅に抑制できます。
  • 行政の効率化・簡素化…複雑な社会保障制度を統合し、審査や事務手続きを大幅に簡素化することで、行政コストを削減できます。
  • 緊急時の迅速な対応…コロナ禍や自然災害などの緊急事態において、支給手続きが不要で迅速に国民に資金を届けることができます。
  • 少子化対策への効果…子育て資金の不安が軽減され、夫婦の望むライフプランが実現しやすくなり、出生率向上が期待できます。
  • 労働環境の改善…最低限の収入が保障されることで、労働者の交渉力が向上し、より良い労働条件を求めやすくなります。
べーシックインカムのデメリット

べーシックインカムのデメリット図解

  • 膨大な財源の確保…日本で月7万円を支給する場合、年間100兆円以上の財源が必要。現在の国家予算に匹敵する規模の資金調達が課題です。
  • 労働意欲の低下懸念…無条件の収入保障により、働く意欲が削がれ、社会全体の生産性低下を招く可能性があります。
  • 社会保障との重複…既存の社会保障制度との調整が困難で、二重給付や制度間の整合性確保が大きな課題となります。
  • インフレーション圧力…大量の現金支給により需要が急増し、物価上昇を招く可能性があり、経済の安定性に影響を与える恐れがあります。
  • 産業構造への影響…労働供給の変化により、特定の産業で人手不足が深刻化し、経済構造の大幅な変化が生じる可能性があります。
まとめ

ベーシックインカムは貧困撲滅や行政効率化など多くのメリットがある一方で、膨大な財源確保や労働意欲への影響など重要な課題も存在します。世界各国で実験的導入が進む中、慎重な検討と段階的な実施が求められています。

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べーシックインカムの是非についての大学入試小論文解答例

本文ではBI(べーシックインカム)を、生存を保障することを目的としているものだと述べ、人々の生活向上におけるメリットが述べられている。その中に地方に住むことのメリットが書かれているが私はこの考え方に反対である。

人間の労働意欲はやはり現段階よりも良いものを得たいという意識や、それを必要とすることによる向上心によって生まれる。そのため他者と自分の比較が重要な意味を持つ。しかし本文で述べられているような、個人の意欲に応じて住む場所が決められてしまえば、地方での個人の向上心と都市部にすむ人々の向上心の差は広がる一方だろう。すべての人が向上心を持たずに地方に住むことを選択しているわけではないが、必然的に都市部と地方での格差が何かしらの面で生じる可能性が高いと言える。

これらのことより、BI(べーシックインカム)は表面上社会問題を解決しているように見えるが、新たな問題を生む可能性を秘めているとも言えるため、さらなる検討が必要だと考える。

べーシックインカムの是非についての講評・添削

この文章は、BI(ベーシックインカム)に対する批判的な視点を明確に述べており、地方と都市部の格差に焦点を当てた興味深い議論を展開しています。いくつかのを以下に示します。

序論部分を整理し、問題提起を明確にする
最初の段落で「本文では…」とありますが、どの具体的な主張を批判するのかを明示すると、読者が論旨をつかみやすくなります。例えば、本文のどの部分が問題であるかを具体的に述べると、より明確な対立軸が生まれます。

例:「本文ではBI(ベーシックインカム)が、生存を保障し、地方での生活の安定に寄与するものとされています。しかし、私は地方に住むことがBIの恩恵として語られている点に異議を唱えたいと思います。」

地方と都市部の向上心に関する議論を具体化する
「向上心」や「比較が重要な意味を持つ」という部分を、より具体的な例やデータに基づいて説明すると説得力が増します。どのような状況で地方と都市部の「向上心」に差が生まれるのか、実際のケースを挙げるとよいでしょう。

例:「例えば、都市部ではより多くの企業や教育機関が集中しており、競争環境が整っているため、個々のスキル向上やキャリア形成の機会が多いと言えます。一方、地方ではそのような機会が限られることが多く、結果として、自己啓発や意欲の格差が拡大する懸念があります。」

結論部分で主張を補強する
最後の結論部分では、BIに対する新たな視点や代替案についても少し触れると、読者に「さらなる検討が必要」という主張がより深く響きます。また、具体的にどのような「さらなる検討」が必要かを示すことで、提案としても力強い結論になります。

例:「そのため、BIを導入するにあたっては、地方と都市部の格差を縮めるための労働機会の確保や教育制度の改善など、補完的な施策が必要となります。これにより、BIが生む可能性のある新たな社会問題に対処できるのではないかと考えます。」

べーシックインカムの是非についての全体修正案

本文ではBI(ベーシックインカム)が、生存を保障し、地方での生活の安定に寄与するものとして述べられている。しかし、私は地方に住むことがBIの恩恵として語られている点に異議を唱えたい。

人間の労働意欲は、現状よりも良いものを得たいという向上心や必要性から生まれるものであり、他者との比較が重要な役割を果たす。もし、本文で述べられているように、BIの影響で地方に住む選択が増えた場合、地方と都市部の間で意欲や向上心に差が生じる可能性がある。都市部には多くの企業や教育機関が集中しており、競争環境が整っている一方で、地方ではそのような機会が限られることが多い。これにより、地方と都市部の自己啓発やキャリア形成において格差が広がる恐れがある。

したがって、BIは一見すると社会問題を解決しているように見えるが、同時に新たな問題を生み出す可能性を秘めていると言える。BI導入にあたっては、労働機会の確保や教育制度の改善など、地方と都市部の格差を縮めるための補完的な施策を併せて検討する必要があると考える。

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